ヤマハ JOG(1983)

掲載日:2013年12月27日 絶版原付    

文/櫻井 伸樹

YAMAHA JOG(1983)

激動の時代に生まれた
ニュースプリンター!

「HY戦争」という言葉をバイク乗りなら一度は聞いたことがあるだろう。これは1979年から1983年にかけて起きた、ホンダとヤマハによる熾烈な販売競争である。当時シェアナンバーワンだったホンダにヤマハが宣戦布告したことから始まり、その主な販売製品は50ccのスクーターだった。それまでスーパーカブを始めとするミッション車が主流だった世界に自動変速機を搭載した、いわゆるソフトバイクが登場し、主婦の買い物の足として両社から膨大な数が販売された。しかしこれらのタイプは「おばちゃんバイク」と呼ばれ、若者からの支持は薄いものだった。

そして1983年にHY戦争が集結し、原付の販売台数が低迷していく中でヤマハが打ち出した打開策こそが、このJOGシリーズである。

フロントフェンダーからボディにかけて樹脂を多用したボディに、先進的なカラーリングが施されたJOGは、それまでの原付に比べ、圧倒的にスポーティなルックスを持っていた。

また乾燥重量49kgと、非常に軽量な車体に当時としては強力な4.5psエンジンを搭載。リミッターが装着されていなかった初期型は軽く70km/hを越えるパワフルさを誇った。

装備面でも充実しており、大型のリアキャリア、セルスターター、シートロック機構、ヘルメットホルダー、12Vの電装など非常に豪華なもの。このスペックで10万円を切る99,000円(初期モデル)という価格だったため、ミッションモデルしか興味のなかった多くの若者がハートを鷲づかみされ、JOGは瞬く間に人気者となっていったのである。

発売からたったの1年半で約30万台という、それまでのスクーター史上最大の売り上げを記録したJOGの大ヒットを受けて、1985年に登場したホンダの「DJ-1」は「打倒ジョグ」の頭文字ではないかと噂された。それほどJOGの人気は高く、発売から30年たった今でも、色あせることなく継続機種が販売されているのだ。

MACHINE SPEC

全長×全幅×全高 1,555×605×965mm
軸距最/最低地上高 1,075mm
車両重量 49kg
エンジン形式・種類 空冷2ストロークピストンリードバルブ単気筒
総排気量 49cc
内径×行程 40×39.2mm
圧縮比 7.2
最高出力 4.5ps/7,000rpm
最大トルク 0.54kgf-m/5,500rpm
始動方式 セルフスターター、キック
点火装置形式 CDI
潤滑方式 分離給油
燃料タンク容量 3L
クラッチ形式 自動変速
Fタイヤサイズ 2.75-10-2PR
Rタイヤサイズ 2.75-10-2PR
Fブレーキ形式 ドラムブレーキ
Rブレーキ形式 ドラムブレーキ
F懸架方式 テレスコピック
R懸架方式 ユニットスイング
価格 9万9,000円(1983年)

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