ヤマハ RZ50(1981)

掲載日:2014年01月22日 絶版原付    

文/櫻井 伸樹

YAMAHA RZ50(1981)

RZの名を持つスーパーフィフティ

バイク乗りならもちろん、バイクに乗らない人でも「RZ」という名称は聞いたことがあるんじゃないだろうか。まだまだ2ストロークマシンが全盛だった1980年に登場したRZ250はシンプルなネイキッドスタイルの2ストロードスポーツ。エンジンは当時の市販レーサーであるTZと同じボア・ストロークの水冷2スト並列2気筒を採用し、同クラスでは当時トップの35psを誇った。走行性能も素晴らしく、400ccクラスにも引けを取らない走りを見せることから「400キラー」などと呼ばれ、一躍時のバイクとなった。

紹介するこのRZ50は、そんな2輪の歴史でもスーパーヒーローと呼ばれるバイクの弟分にあたるため、その装備もRZの名にふさわしい豪華なものが奢られた。

ピストンリードバルブの水冷エンジンは当時の最高出力7.2PSを発揮し、6速ミッション、モノクロスサスなど、レーサー並みのメカニズムを装備。初期型はリミッターもついていなかったため、軽く70km/hをオーバーし、バイク小僧たちを驚愕させ、その頃のライバルだったホンダMB50やカワサキAR50S、スズキRG50γと峠で白熱のミニバトルを繰り広げた。

しかし1983年9月から最高時速60km/hの規制が入り、リミッターが装着され強力な走りは制限されてしまうようになった。その後は数度のモデルチェンジを繰り返した後、時代はフルカウルのレーサーレプリカブームへと突入。90年代始めにTZR50にその座をゆずる形で生産を終了した。

ところがフルサイズモデル復活の声が大きかったためか1998年には車体とデザインを一新してRZ50は再び登場した。

生まれ変わった2代目は、7.2PSを発生するクランクケースリードバルブの水冷2ストエンジン、6速ミッション、角パイプスイングアーム、モノクロスサス、前後17インチホイールなど初期型と似た構成に加え、電装12V化、セルモーターなど現代的な装備も加えられた。だがスポークホイールやダックテールなど、その外観はRZというよりTDレーサーや空冷モデル(RD系)をイメージさせるデザインで、車名こそ同じだが全く別物と言ってもいいルックスだった。

2000年代に入って排ガス規制が厳しくなり、次々に2ストマシンが減っていく中、国産車最後の2ストスポーツとして生産され続けていたが、2007年の規制によりついにこの50も生産終了となり、RZシリーズは27年の歴史に幕を下ろしたのだった。

MACHINE SPEC

エンジン種類 水冷2ストロークピストンリードバルブ単気筒
総排気量 49cc
ボア 40mm
ストローク 39.7mm
乾燥重量 75kg
最高出力 7.2PS/9,000rpm
最大トルク 0.62kgf-m/8,000rpm
始動方式 キック
点火装置方式 CDI
クラッチ形式 湿式多板
変速機形式 6段リターン
燃料供給方式 キャブレター
潤滑方式 分離給油
Fタイヤサイズ 2.50-18
Rタイヤサイズ 2.75-18
F懸架方式 テレスコピック
R懸架方式 スイングアーム
Fブレーキ形式 ディスク
Rブレーキ形式 ドラム
車体色 ホワイト、ブラック、レッド
価格 17万6,000円(1981年)

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