掲載日:2022年02月14日 試乗インプレ・レビュー
取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之
HONDA MONKEY125
ホンダのモンキーは言わずと知れた、レジャーバイクの元祖ともいえるバイクだ。長らく50ccモデルとして人気を博していたが、2017年に惜しまれながらも生産中止となった。その後、原付二種となる125cc版が2018年に登場。ボディサイズは大きくなったものの、従来モデルの「シンプル」「コンパクト」「愛らしさ」などの不変的な魅力を踏襲。排気量アップによる力強い走りや取り回しのしやすいサイズ感、親しみやすいデザインもあって、“遊べるバイク”を求めるライダーの心を掴み、人気モデルの座を手にした。
モンキー125のベースとなっているのは同じ原付2種のグロムだが、こちらは一足先にモデルチェンジが行われ、エンジンのロングストローク化とミッションの5速化を遂げている。今回モンキー125も同エンジンと5速ミッションを手に入れたというわけだ。
空冷4ストロークOHC単気筒のエンジン型式は変わらずだが、ボア×ストロークは従来52.4×57.9mmの124ccから50.0×63.1mmの123ccへとロングストローク化され、あわせて圧縮比も9.3から10.0に高められている。最高出力は9.4PSと変更はないが、発生回転数は6,750rpmと、従来モデルよりも250rpm低いものとなっている。
他にもリアサスのスプリングや最低地上高、エンジンケースカバーやマフラーエンドの形状など、細かい部分の変更はあるものの、バックボーンフレームや倒立フロントフォーク、クロームメッキが美しいフェンダー類、LED採用の灯火類、12インチのブロックタイプパターンのタイヤと前後ディスクブレーキなど、基本的な車体構成はほぼ変わっていない。ちなみに今回のモデルから全車フロントABSが標準装備となり、純正アクセサリーにグリップヒーターが設定された。
モンキー125のシート高は776mmで、リアサスのスプリング変更のためか従来よりも1mmアップしているが、足つきは良好だ。跨るとさすがは125cc クラスだけあって、50ccモデルとは車格が違い、身長170cmのテスターが乗っても窮屈さを感じない。厚めで大きなシートがお尻を包むようにホールドしてくれるので、とても座り心地がいい。これなら長時間乗り続けても疲れは少なそうだ。
走り出して、1速から2速、3速とシフトアップしていくと、加速感はけっこうマイルドな印象だ。決して遅い、という感じはないが、従来の4速モデルに比べると、アクセル開度の割にパンチが少なく感じられる。これは考えてみれば4速が5速になったんだから当然の話で、逆に従来モデルにあった「3速から4速に上げたら失速気味に」とか「シフトダウンしたら回転が上がりすぎて急減速」なんて、スピードとギアが噛み合わずギクシャクする場面はほとんどなくなった。要するに、いかにも4ミニ的な乗り味を残していた従来モデルに比べ、かなり「普通のバイク」的な乗り方が出来るようになったと言えるだろう。加速感のパンチの弱さについては、素早くシフトチェンジをするなど、よりスポーティな乗り方を意識することで、逆に乗る楽しさ、操る面白さが増したように感じる。
「普通のバイク化」は、サスペンションの動きからも感じられる。フロントサスについては従来から剛性の高い倒立フォークか採用され、路面追従性は良好なメージがあったが、リアサスは荒れた路面に突っ込んだ際に、どうしてもバタつきを感じることがあった。しかし今回のモデルチェンジでスプリングがダブルレートに変更されたことで、荒れた路面を「いなす力」はかなり上がったと感じた。
エンジンがロングストローク化したことによる変化はほぼわからないレベルだが、ミッションの5速化で「走らせる楽しみ」の幅がより広がり、振動も減った印象だ。さらにサスペンションの変更も加わって、流れの速いバイパスなどでの安心感も増し、ツーリングなどでの疲労感も軽減した。もちろん従来通り、カスタムなど「いじる楽しさ」もあるから、トータルでバイクとしての完成度は、かなりアップしたと言えるだろう。
メッキ仕上げのケースが美しいヘッドライト。ウインカーとともにLEDを採用している。
丸くシンプルなメーターは燃料計やツイントリップを装備。液晶の文字は直射日光下でもはっきり見える。
左側のハンドルスイッチはヘッドライト上下切り替えとホーン、ウインカーとなっている。
右側のハンドルスイッチはスターターボタンとキルスイッチのみというシンプルなもの。
燃料タンク容量は5.6L。ツートンカラーのタンクにオールドウイングマークの立体エンブレムが映える。
タックロールが施された分厚く大きめのシートは、高密度ウレタンを採用し、クッション性に優れている。
5速トランスミッションを採用した新エンジンは、ボア×ストロークを50.0×63.1mmとロングストローク化。あわせて平成32年(令和2年)排出ガス規制に適合させた。
左側の鍵付きサイドカバーの中にはシート固定ボルトを緩めるための六角レンチとヘルメットホルダー用のワイヤーが入っている。
ボルトを緩めてシートを外すと、裏側は書類入れとなっている。
シートを外すとバッテリーやヒューズに簡単にアクセスできるようになっている。
左サイドカバーの後方には、鍵穴カバー付きのヘルメットホルダーを装備している。
ツインタイプのリアショックはスプリングがダブルレートのものに変更され、路面追従性が向上。マフラーエンドの形状も変更されている。
ステップはラバー付きのもの。ブレーキペダルはスチール製で、肉抜きがされている。
ステップ、ペダル共にごく一般的な形状なので、カスタムで個性を出すのもいい。
フロントのタイヤサイズは120/80-12 65J、銘柄は「Vee Rubber」を履く。倒立フォークと組み合わされるブレーキは220mm径、ABSモデルのみとなった。
リアのタイヤサイズは130/80-12 69Jで、フロントより1サイズ太い。ブレーキディスク径はフロント同様220mmで、グロムと同じものだ。
ミッションの5速化にともなってスプロケットも変更された。あわせてホイールベースも1,155mmから1,145mmへと、わずか10mmだが短縮されている。
円を中心としたテールデザインは変わらずキュートなもの。灯火類はすべてLEDを採用している。
テスターは身長170cmで足は短め。シート高は776mmで、従来よりも1mmだけアップしているが、両足でもかかとまで接地するなど、足つき性は良好だ。
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