【ホンダ スーパーカブ C125 試乗記】新しくなったエンジンで、さらにシティクルーズが快適に!

掲載日:2021年12月06日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/佐賀山 俊行

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HONDA Super Cub C125

2018年秋に国内デビューを果たしたスーパーカブC125がフルモデルチェンジを果たした。“働くバイク”の代名詞「スーパーカブ」から上質なシティコミューターが派生してから3年、どのような進化を遂げたのか? じっくりと試乗してみた。

ホンダ スーパーカブ C125 特徴

デザインはキープコンセプトで、エンジンは新設計
見た目は同じだが、走りの質は大きくアップ!

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スーパーカブシリーズのなかでも異色の1台といえるのが、スーパーカブC125(以下、C125)だ。スーパーカブといえば“働くバイク”のイメージだが、C125にビジネスバイク色は一切ない。

バックボーンフレームや空冷横型単気筒エンジン、自動遠心クラッチとシーソーペダルなど、スーパーカブの“ルール”は守りながらも、スタイリッシュなデザインの灯火類をはじめ、専用アルミキャストホイールやスマートキーなど、ビジネスバイクらしからぬ装備が特徴。そう、C125はスーパーカブでありながら、ビジネスバイクではない……上質なシティーコーミューターなのだ。

そんなC125が国内ではじめて登場したのが2018年9月。40万7000円という、スーパーカブとしてはもちろん、原付二種モデルとしても高額な価格設定ではあったが、大ヒットを記録したのは記憶に新しい。

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そして登場から3年を経て、この秋にフルモデルチェンジを果たした。

一見すると外観の違いはほとんどないと言ってよいだろう。わかりやすいのは、エンジンの形状とフロントフォークカバーに貼られた「ABS」ステッカーくらいである。

つまりデザインはキープコンセプト。たしかに外観は新時代のネオクラシック・カブとして完成されており、無理に変える必要がないということは理解できる。足周りも、フロントブレーキにABSを装備した以外には、大きな変更は加えられていない。

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今回のモデルチェンジで大きく変わったのはエンジンである。

新開発のエンジンは空冷4ストロークOHC123cc。ボア×ストロークは50.0mm×63.1とロングストローク設定となっている。ちなみに前モデルは空冷4ストロークOHC124cc、52.4×57.9mmでスクエアに近い設定。圧縮比は9.3から10.0へとアップしている。

これによって最高出力をアップさせる(9.7ps→9.8ps)とともに、燃費を66.1km/L→68.8km/L(WMTCモード値)へと向上。令和2年排出ガス規制に適合させつつ、パワーも燃費も改善させるとは、さすがホンダの技術力といえよう。

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さて、見た目は変わらなくても、走りは大きく変わったことが予想される新型C125……早速、公道へと走り出してみた。

ホンダ スーパーカブ C125 試乗インプレッション

重厚感がありつつも
カブらしい軽やかな走り

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C125は自動遠心クラッチを採用しているので半クラッチの必要がなく、それでいてギアチェンジを楽しめる。この独特の操作感はスーパーカブならではのものだ。

ニュートラルから1速に入れるにはシーソーペダルの前側を踏み込む。アクセルを開けると、車体重量110kgのC125は力強く発進する。少しだけエンジン回転数を上げ気味にしてから2速へ繋げると、ギアチェンジはじつにスムーズ。

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同系エンジンを積む新型モンキーやグロムが5速MTを採用しているのに対し、C125は先代と同じ4速。しかし、忙しなくギアチェンジをする必要がないため、こちらのほうが「カブらしい」と感じた。

スーパーカブ110のように軽快さを前面に出して、右に左にヒラヒラと走り回るのではなく、重厚感のある走りといった印象。余裕のパワーも相まって、例えるなら「カブ以上クルーザー未満」といった印象だ。

とは言っても、兄弟モデルのCT125よりも10kg軽い車体は、十分に軽やかな走りが可能。先程の話はあくまでもスーパーカブ110との比較であって、街中ではパワーと軽やかさのバランスは秀逸。シティコミューターとして、抜群の機動力を発揮してくれる。

幹線道路では余裕のパワーで、クルマの流れをしっかりリードすることが可能。振動が少なく、車体もしっかりしているので、高速域でも不安は一切ない。フロントディスクブレーキの効きも良いが、リアのドラムブレーキにも要注目。コントロール性が良く、減速時の速度調整のしやすさは高ポイントだ。

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さて、今回はちょっとしたツーリングとして遠出をし、ワインディングも堪能してみた。

キツめの上り坂では4速キープのままだと先行するクルマについていけないこともあり、3速、場合によっては2速まで落として加速する場面が何度かあった。豪華な車体に勘違いしがちだが、このあたりはやはり原付二種……こまめなギアチェンジが必要である。

しかし、前モデルから受け継ぐ車体はやはり優秀。安定した旋回性能でコーナーをクリアしていく。前後サスの動きやタイヤのグリップ感も秀逸で、スポーツモデルとまでは言わないが、少なくともビジネスモデルとはまったく異なる次元にあることは確実。

シーソーペダルによる独特の操作感もあり、実に楽しくワインディングを走り抜けることができた。

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ただし、いくら燃費が良いとはいえ、3.7Lの燃料タンクはツーリングでは少々心細く思った。デザイン重視なのは理解できるが、せめて5Lは欲しいと思ったのが正直なところ。航続距離は254km(WMTCモード値で換算)もあるのだから、十分といえば十分なのだが……。

登坂路や燃料タンク容量など思うところはあったによせ、結果としてエンジンを一新したスーパーカブC125は走りも楽しい! スクーターともスポーツモデルとも違う、そしてビジネスモデルとも異なる唯一無二のバイクとして、オーナーを満足させてくれる1台であることに間違いはないだろう。

ホンダ スーパーカブ C125 詳細写真

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ハンドルカバー、ウインカー、ヘッドライトを繋げるデザインは、初代スーパーカブを彷彿させるもの。しかし、あくまでも懐古趣味ではなく、灯火類にはLEDを採用し、現代的なセンスにみごとに落とし込んでいる。ヘッドライト下とレッグカバーに配されたエンブレムにも要注目だ。

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ハンドル周りはシンプルなデザインで扱いやすい。今回はモデルチェンジに合わせて、純正アクセサリーとして「グリップヒーター」(2万900円/税込)が設定された。冬もガンガン走るライダーには、同時購入がおすすめ!

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メーターは、中央に燃料、距離計(積算orトリップ)、時計はデジタル表示。その周りをアナログタイプのスピードメーターと各種インジケーターが囲む。クラシカルとモダンが融合したデザインだ。

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アルミキャストホイールはC125専用。ブラックをベースにしながら、切削加工によって美しい2トーン仕様となっている。スーパーカブといえばスポークホイールが王道だが、あえてキャストホイールにすることでC125ならではの特別感が出ている。チューブレスタイヤだから、パンク時の安心感も高い。

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今回のモデルチェンジにより、フロントブレーキには1チャンネルABSを標準装備。万が一の急ブレーキなどで、安全性と安心感を高めている。ABSを装備しつつも、車両重量は前モデルと同じ110kgをキープしているのも見逃せない点である。

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肉厚で座り心地のよいソロシート。試乗モデルのカラー「パールニルタバブルー」には真っ赤なシートを採用。新色のパールネビュラレッドには、グレーのツートンシートが採用されている。

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リアキャリアは小ぶりで、車体の美しさを邪魔しない造形となっている。もちろん荷かけフックもついて、キャリアとしての使い勝手も上々。それぞれの車体色と同色のピリオンシート(1万4300円/税込)が純正アクセサリーとして設定されている。

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エンジンは完全新設計の新型に変更。前モデルよりロングストローク化され、振動とノイズを低減。燃費も向上し、最高出力も0.1psアップしている。

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マフラーはクラシカルでシンプル。モダンで高級感のあるアルミキャストホイールとのコントラストが、このモデルの性格を物語っている。リアのドラムブレーキの効きは十分で、コントロール性も良い。

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フルカバーされたチェーンがスーパーカブらしさを演出。ブラックとシルバーの2トーンホイールがリアビューを引き締める。

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LEDテールランプは縦型でスタイリッシュなリアビューを演出。ウインカーは初代スーパーカブをオマージュしたデザインとなっている。もちろん、LEDを採用している。

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発売前は新型モンキーやグロムと同じ5速MTとの予想もあったが、結果は前モデルと同じ4速MT。しかし、シーソーペダルと自動遠心クラッチとの相性を考えると、個人的にも4速MTで正解だったと思う。シフトアームラバーなどによって、シフトチェンジはスムーズで、振動や音も軽減されている。

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スマートキーは、C125の特別感をもっとも感じさせるポイントといえよう。キー穴に挿す必要がないだけでなく、キーをポケットに入れたままでハンドルロックやシートロックの解除が可能。盗難防止アラームの設定もできる。

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