掲載日:2019年05月14日 試乗インプレ・レビュー
取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之
ベンリィとはもともと1960年代にホンダが小排気量スポーツモデルに冠していた名称だ。ベンリィ CB50はTボーンフレームにカブ系の横型エンジンを積んだベンリィ SS50(1967年発売)の後継モデルとして1971年にリリースされたもの。
しかし後継といっても、ベンリィ CB50は縦型エンジンとダイヤモンドフレームを採用していることから、全く新しいモデルと言っていいだろう。名称もホンダの4ストロークロードスポーツに冠せられる“CB”となり、同シリーズ最小排気量のスーパースポーツモデルとして位置づけられた。
エンジンは前年に発売されたベンリィCB90をベースにしているが、50ccのために新設計されたもので、最高出力は6.0ps/10,500rpm、最大トルクは0.41kg-m/8,500rpmを誇る。また、組み合わされるダイヤモンド型のパイプフレームも、軽量で高剛性なものを新たに設計して採用した。
当時50ccスポーツバイクは“ゼロハン”と呼ばれ、特に若者の乗り物として人気があった。小排気量では2ストロークエンジンが主流だったなかで、ベンリィ CB50は扱いやすい4ストロークでなおかつ高性能を誇り、人気車種となった。
実車を目の前にすると、ベンリィ CB50はスーパースポーツとして誕生したんだな、ということがよくわかる。まず目を引くのがクロームメッキを施され、光り輝くメガホンタイプのマフラーだ。スポーツイメージの高いメガホンタイプを50ccクラスで初めて採用した。
また、スポーツ走行には不可欠なタコメーターを、こちらもクラスで初めて装備。シートもテール部分がアップされたレーサーライクなデザインだし、スプリングがむき出しで、バネのピッチを2段にしたリアサスペンションも走りの良さを予感させる。細身で小ぶりな車体ながらも“いい走りをするぜ”というオーラを全身から発しているため、当時のライダー、特に若者には「これが50ccか!?」と驚きを持って迎えられたことだろう。
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