掲載日:2019年04月27日 試乗インプレ・レビュー
取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之
実際に跨るとハンドルは高めで幅もある程度あり、ゆったりとしたポジションだ。エンジンの始動はキックのみだが、軽い踏力で簡単に火を入れることができた。排気音はアイドリング時には「ストトトト」という軽い音だが、アクセルを軽くスナップすると「バルルルル」という野太い音に変化する。音量も大きめで、昨今の排ガス規制でおとなしくなってしまったマシンのものより迫力がある。
走り出すと、エンジンの吹け上りは軽く、回せば回すほどフラットにパワーが湧き上がってくる感じで非常に扱いやすい。ハンドリングもとても素直でクセがなく、特に難しく考えなくてもリーンウィズで行きたい方向にスッと車体の向きが変わる印象だ。
サスペンションはカチっとした硬めの仕上がりで、特にフロントはコーナー手前で大げさにブレーキングしてもほとんど沈み込みがないぐらいハード。しかし18インチと大きめのタイヤのせいもあってか、ゴツゴツした乗り心地ではなく、細かい段差もしなやかに吸収してくれていた。乗っていると約50年も前の90ccクラスのバイクだというのを忘れ、現代でいえば125ccクラスに匹敵するような実力を秘めているのでは……と感じた。
試乗はホンダコレクションホールの中庭の小さな周回路でわずか10分程度だったため、このマシンの持つ真の実力を知るまでには至らなかったが、90ccクラスにしてかなりのスポーティさと上質な乗車感を併せ持っていることは十分にわかった。そして、当時のホンダが本気で小排気量のスーパースポーツを世に送り出した、そのマシンへの自信と心意気を存分に感じることができた。
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