掲載日:2019年04月27日 試乗インプレ・レビュー
取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之
「ベンリィ」の名は、ホンダが1960年代半ば以降に小排気量スポーツモデルに冠した名称。1970年1月に発売されたベンリィ CB90は、単気筒OHC縦型エンジンを搭載した、当時のスーパースポーツモデルだ。
プレス鋼板と鋼管を組み合わせた高剛性のダイヤモンドフレームに搭載されたのは、新開発の89ccエンジン。アルミ合金製のシリンダーヘッド、特殊バルブシート、吸排気効率の高いポート形状などを採用し、最大出力は10.5ps/10,500rpm、最大トルクは0.76kgm/9,000rpmという高回転、高出力を可能とした。
このエンジンに組み合わされたのが、5速リターン式ミッションや耐久性に優れた新機構のカムチェーンテンショナー、大容量の湿式多板クラッチなどのメカニズム。足まわりには大径18インチのホイールのほか、2段ピッチのコイルスプリングを採用したテレスコピック式のフロントサスペンション、高圧ガス短筒式ショックアブソーバー、雨天時の制動性を高めたブレーキなど、スポーティな走行をサポートする多くの装備を採用している。
スタイルはスラリと細身で、鮮やかなキャンディーブルーのタンクに白のストライプがとてもおしゃれで軽快なイメージだ。サイドカバー、ライトケース、フロントフォークとリアショックのアッパー部もタンクと同色に塗装され、メッキパーツも多いことから、高級感がある。タンクサイドのウイングマークとメーカー名も、立体的なエンブレムとなっている。
メーターや左右グリップのスイッチ類は極めてシンプルだが、現在のマシンのように機能がテンコ盛りになったスイッチに比べると潔く、逆に新鮮に映る。メインスイッチがタンク下左側にあり、ハンドルロックが別体になっているのも最近の車両にしか乗ったことがない人には興味深いかもしれない。
タックロールが施された厚めのシートやリアキャリアが装備されているのは、スーパースポーツとうたいながらも、まだ時代的にバイクが趣味の道具というより実用車として期待されていた側面もあったからではないだろうか。
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