【2018 PCX試乗記事】新設計フレームとスマートキーを装備 さらに魅力を高めてモデルチェンジしたPCX

掲載日:2018年05月18日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之

ホンダ PCX 試乗インプレッション

車体の安定感は先代よりも格段にアップ
アイドリングストップも引き続き搭載する

走り出すと、前モデルよりも明らかにスタートダッシュが力強くなっている。そのままアクセルを開け続けると、トルクの谷もなくフラットに滑らかな加速を見せ、あっという間に法定速度に達する。さらにその後のパワー感もまだまだ伸びしろのあるものだ。

また、走行時の安定性もさらに増した印象だ。PCXは14インチタイヤを採用しているため、従来から路面の段差を乗り越えた時の安定性は秀でていた。それが今回、タイヤ幅がアップしたことやリアサスのクッションストロークが増えたことなどで、さらに安定感と快適性がアップ。また、フレーム形式がダブルクレードルになったこともあるのだろう、特にコーナーリング中にアクセルを開け、タイヤや車体に負荷をかけた際にもしっかりと路面に追従し、挙動が安定していた。タイヤがワンサイズ太くなったことで、従来よりも安心してコーナーでの倒し込みができる。

ホンダ PCXの試乗インプレッション

PCXといえば、初代から搭載されているアイドリングストップ機能が目玉の一つだ。エンジンが暖まっている状態で信号待ちなどアイドリングが約3秒続くと、自動的にエンジンが止まる。再始動はアクセルを軽くひねるだけと、ライダーは何の意識もすることなく、省エネできる便利な機能だ。しかもセルモーターと発電機が一体化されたACGスターターを採用しているため、再始動は極めて静かでスムーズ。バッテリー電圧が低下している際には自動的に機能がキャンセルされるなど、頭のいいシステムでもある。

ホンダ PCXの試乗インプレッション

普段の走りではこの機能をオンにしておけば問題ない。ただ、アクセルオンでの再始動があまりにも敏感なため、信号待ちでのアクセルへの手の添え方によっては、ちょっと手を動かしただけで意図せずにエンジンが再始動し“あ、まだ発進じゃなかったのね”とすぐにエンジンが停止する、なんて場合が見られる。信号でのゴーストップの多い街中では、それがちょっと面倒に感じることもあった。それに、いくらアクセルオンでなめらかに再始動するとはいえ、ほんの少しのタイムラグがあることは確か。だから、朝の通勤時、横のマシンとのスタートダッシュには負けたくない……なんて場合も含め、時にはアイドリングストップ機能をオフにする、というのもアリだろう。ハンドル右のスイッチで簡単に機能のオンオフができるのは、とてもありがたい配慮だ。

125ccのPCXを選ぶ理由と、
新型が得たライバル車への優位性を考えてみる

ところでPCXには同じ車体で排気量が少し大きい、軽2輪カテゴリーのPCX150が存在する。中型以上の免許を持ち、大型バイクのサブマシンとして考えるなら、どちらを選ぶか悩む人も多いことだろう。双方のメリットの代表的なものとしては、125cc版は他の自動車保険(任意保険)に入っていれば、ファミリーバイク特約として保険料が安く済むことや、原付2種のため駐輪場の選択肢が広がること、一方の150cc版では高速道路に乗れることが挙げられる。通勤・通学などで比較的近距離や都市部でしか乗らず、4輪車や大型バイクも持っている、という人は125ccのPCXで十分だろう。

ホンダ PCXの試乗インプレッション

それに対して、郊外に住み通勤時に都市高速を使うしツーリング用途にも使いたい、あるいは現在250ccクラスのマシンを持っていてそれと乗り換えを考えている、という人は迷わずPCX150を選ぶといいだろう。ちなみに筆者は神奈川在住で、仕事や打ち合わせなどで都内に向かうのに東名高速や首都高をよく使い、ツーリングも大好きだから、もし買うなら150cc版のPCX150を選ぼうと思っている。動力性能は125cc版で十分だし、維持費も車両価格も125cc版が安い。ただ、免許やお財布事情が許すなら、PCX150の「もしもの際にいつでも高速に乗れる」というメリットは、個人的には捨てがたいと考える。

ホンダ PCXの試乗インプレッション

他社製スクーターでPCXのライバルとして考えられるのは、ヤマハのNMAXだろう。センタートンネルを持つスクーターで、軽2輪クラスの兄弟車種(NMAX155)を持つという点で、共通点が多いからだ。どちらも走りや高級感など、甲乙つけがたい存在といえるが、製品としての“味付け”には方向性の違いが感じられる。PCXは快適性やゴージャス感、省燃費に重きを置いているのに対し、NMAXは元気でスポーティな走りを前面に押し出している。どちらを選んでも後悔のない良くできたマシンだが、スマートキーの搭載やフレームの見直し、タイヤサイズのワイド化で走りの性能をアップしてきたPCXが、今回のモデルチェンジで一歩リードした感はあるだろう。

ホンダ PCXの詳細写真は次ページにて

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