AC SANCTUARY RCM-001M(カワサキ Z1-R)

掲載日:2020年06月28日 プロが造るカスタム    

取材協力/サンクチュアリー本店
記事提供/ロードライダー編集部
※この記事はロードライダー特別編集『ザ・カスタムマシン2018』に掲載された内容を再編集したものです。

AC SANCTUARY RCM-001M(カワサキ Z1-R) メイン画像
AC SANCTUARY RCM-001(KAWASAKI Z1-R)

型式認証も得て公道に躍り出た
17インチ・オリジナルフレーム車

ACサンクチュアリーのコンプリートカスタム、RCM(リアル・コンプリート・マシン)。その1号機にして最新作「RCM USA A16-001」。見ての通り、オリジナルフレームが大きな特徴だ。

「RCMでは各部パーツやディメンションを17インチに合わせるよう探し、作り込んできました。ただZは、'70年代に前19/後18インチのホイールを履くことを前提に開発されてます。最新の17インチタイヤを履こうと補強を進めるほどに、フレーム重量は上がりますし、しなやかさも失われる。これを専用フレームにすれば、最新の思想で最適な剛性、最新17インチホイール&タイヤを履く前提でディメンション、より安全に走る17インチZが作れる。1度試しておきたかったんです」と同店代表・中村さんは基本の考えを語る。

パーフェクト17インチへのラストピースはフレーム。作ることは難しくなかったが、公道を走る認可制度がかつてと違い、ここへ来て格段に厳しくなっていた。

「それでグループ会社としてカリフォルニアにRCM USA Incを設立し、マニファクチャラーとしての認可を受けました。これで、RCM USAで作ったオリジナルフレームのZはアメリカで正式にナンバー取得し、公道を走れるようになりました。2016年式のA16という新車としてです」

次は日本への輸出。だが、'00年以降の新型車に次々と施行された、日本国内の規制も壁となる。

「中古車の輸入は問題ないのですが、A16はアメリカ製の新型バイクです。海外製輸入車同様に、日本で登録するには1_ブレーキ試験、2_加速走行騒音試験、3_排出ガス試験で、現在の規制に適合しなければなりません。キャブレター仕様だったRCM-001をF Iにして、マフラーなどを見直したのも、その規制クリアのため。前2者はいいとしても、排ガス試験は大変でした。何度も落ちながらも、何とかクリアできました」

こうして、晴れて国内規制に適合しナンバーを取得した001。

AC SANCTUARY RCM-001M(カワサキ Z1-R)画像01

「RCM-001は、実際にお客さまにA16 (国内限定数30台)をお届けする前に細部を詰めるための、先行開発車なんです。撮影時点ではナンバーを取得しただけで、インジェクションやサスのセッティング、ポジションや前輪荷重多め等の見直しを進行中です。もちろん、これらは当初から織り込み済みでしたから、完成までにはそうかからないと思います」

まさにRCM-Zの集大成となる001。同時に考えられている今後の発展も、楽しみにしたい。

詳細写真

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ACサンクチュアリーのオリジナルによるA16フ レ ー ム(上)と、開発段階のRCM-001(下)。まだ国内で検討作業中のもので、吸気はキャブレター仕様だった。大まかな車体構 成が分かるはず。この後、RCM USA Inc.が設立されて、このフレームもアメリカへと渡り、ほぼ新作となるモディファイが加えられた。

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フレームの刻印も「1R9S1003×× ××」と、アメリカで新規に打刻されたもの。Zの純正フレームとは全く違う。このフレームは全30機分、用意される。

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メーター下に誇らしげに光るのが「RCM USA」での製作を示すシリアルプレート。刻印されるA16は型式名、RCM- 001はその「001」、第1号機というわけだ。

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一般向けに販売されるA16のベースエンジンは丸ヘッドが基本だが、RCM-001には角ヘッド。ちなみにベーススペックはφ71mmピストンでの1045ccとなる。

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排ガス規制対応のため、4本のエキゾーストパイプのヘッダー部にはそれぞれ、2次エア供給システムが追加されている。マフラー自体、A16の専用品だ。

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吸気まわりにはPAMSのFIシステムを採用する。インジェクション本体上を2次エアホースが走り、右下にはシリンダーに刺さる温度センサーが見える。

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サイレンサーはナイトロレーシングのヴァリアントタイプを装着。エンドに付く煤は、排ガス試験への対応のためにリセッティングを繰り返した証。

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