ツーリングが楽しくなるK&HのMT-09用シートの画像

ツーリングが楽しくなるK&HのMT-09用シート

  • 取材協力/K&H  撮影/富樫秀明  取材・文/中村友彦  構成/バイクブロス・マガジンズ
  • 掲載日/2018年2月27日

1990年代からシートの開発に力を注ぐようになったK&Hは、2000年になると独自の手法を確立し、近年では多種多様なモデルに対応する製品を販売している。同社が手がけるシートの特徴は、ツーリングでの快適性を大前提にしながら、各車各様のスポーツライディングが楽しめる構成になっていることで、そういった資質はもちろん、2017年夏から発売が始まったMT-09用にも継承されている。

独自の理論に基づいた構造を各部に導入することで
ノーマルの違和感を解消し、快適性と運動性の向上を実現

「どうして、こういう形になったんだろう?」2016年末に開発用のヤマハ・MT-09を購入し、日常の足に使うと同時に、数回のツーリングに出かけたK&Hの上山さんは、ノーマルシートにそんな印象を抱いたと言う。

もっとも、これまでに多種多様なシートを手がけて来た上山さんにとって、そういった印象はいつものことで、逆に言うなら、ノーマルに感じた疑問を解消することが、K&Hがシートを作る際の基盤になっているのだ。とはいえ、上山さんがMT-09のノーマルシートに感じた疑問は、いつも以上に大きかったようである。

「見通しがいい峠道やサーキットを走るだけなら、MT-09は非常に面白いバイクだと思います。ヤマハ製並列3気筒エンジンの吹け上がりは実に気持ちがいいし、クイックでシャープなハンドリングは日本車とは思えないほど刺激的。でもツーリングで長い距離を走ると……このバイクはすごく疲れるんですよ。その一番の原因は、前傾したシートの座面とライダーの骨盤が正対できないことですが、減速時に両腕に力がかかりやすいこと、リアの動きがわかりづらいことも、僕にとっては気になる要素でした」(上山さん)

実際の開発は約半年に及び、最初に完成したのは、MT-09ならではの運動性や爽快感に磨きをかけつつ、快適性を大幅に高めたハイシート。そしてハイシートで十分な手応えを感じた上山さんは、続いて足つき性と安定性の向上を念頭に置いたローシートに着手し、こちらも理想の特性を獲得できたと言う。

なお2014年に登場したMT-09は、2017年に大幅刷新を受けているが、K&H製シートは全年式に対応し、標準価格は5万6,160~5万8,320円(税込)となっている。

発売開始から約半年が経過した現在、ノーマルとは一線を画する乗り味が楽しめるK&H製シートは、全国のMT-09ユーザーの間で、かなりの高評価を獲得しているようだ。

座面形状やベースの構成に見るK&Hならではのこだわり

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K&Hの代表を務める上山 力さんは、シートを座るための部品ではなく、ハンドリングを左右する重要な機能部品と考えている。実際にシートを開発する際は、ハンドル/ステップとのバランス、前後サスペンションやディメンションの設定などを考慮しながら、座面形状やウレタンの硬度などを検討するそうだ。

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座面が前下がりのノーマルに対して、K&H製ハイシートは基本的にフラットで、ガソリンタンクに向かって徐々にせり上がっている。K&H製の実測シート高は、ノーマル(~2016年:815mm/2017年型~:820mm)より高い835mmだが、足が出しやすい形状で、ライダーの着座時のヒザの曲がりはノーマルより緩やかになる。

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数値的には2016年型以前と同じ815mmになるものの、前部の幅に配慮したK&H製ローシートは、ノーマルより良好な足つき性を実現。この製品も座面形状は基本的にフラットで、タンク側に向かってせり上がっている。なお2種のK&H製シートは、シートレールの露出部分をノーマルより増やすことで、視覚的な軽快感を獲得。

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裏面からベースを比較する。左がMT-09のノーマルで、右がK&H製。近年の2輪用シートのベースは、手で曲げると簡単に変形するPP製やABS製がほとんどだが、K&H製は一部車種用を除いて、肉厚で丈夫なFRP製を採用している。フレームとの接点になるゴム足の数は、ノーマルが8個、K&H製は15個。

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発泡・成型を終えた直後のスポンジ+ベース。写真はいずれもハーレー用。型の中で発泡したスポンジ表面には、内部より密度が濃くて硬いスキン層が形成されている。このスキン層は食パンで言うなら“ミミ”に相当する部分で、シートに適度な張りと弾力を与え、経年劣化やレザーと擦れるスポンジ表面の削れを防ぐことに貢献。

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インジェクション製法の場合、スポンジは単体で製造するのが普通だが(後にベースに接着するケースもあるが、スポンジの固定をレザーに依存する製品も多い)、K&H製は不確定要素をできるだけ少なくし、理想の乗り味を実現するため、ベースとスポンジを一体成型している。言うまでもなく、これは非常に手間のかかる手法だ。

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K&H製シートのレザーは、ほとんどの製品でブラックが標準。ただしセミオーダーシステムを利用すれば、自分好みのカラーや素材、ステッチ、パイピングが選択できる。艶やかな配色を採用する写真のシートはMT-07用。また、想定体重を60~80kgに設定しているスポンジの硬さに関しても、乗り手に合わせて調整することが可能だ。

K&H

K&H

K&H

住所/埼玉県朝霞市上内間木381-2
電話/048-456-3830
営業/10:00-19:00
定休/日曜、祝日、第1・3月曜

1976年に創業したK&Hは、もともとはFRPパーツの製作を得意とするカスタムショップで、これまでに独創的なカフェレーサーを数多く製作。1990年代からシートの製作に力を入れるようになり、以後は国内外の幅広いモデルに対応する製品を販売している。

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