人気の輸入バイクが一堂に会する！ 第7回JAIA輸入二輪車試乗会・展示会レポート

世界中の輸入車ブランドを一挙にテスト！

2022年4月13日（水）～14日（木）の二日間に渡り、日本自動車輸入組合が主催する第7回JAIA輸入車二輪車試乗会・展示会が開催された。このイベントはインターネット上の情報サイトや雑誌媒体など、様々なメディアに向けて行われるものであり、ハーレーダビッドソン、BMWモトラッド、ドゥカティ、トライアンフ、KTM、ハスクバーナ、ピアジオグループ、ベネリ、キムコ、インディアン、カンナムと、世界各国の主要バイクメーカーの最新モデルを展示、試乗することができる。時折小雨が降る中でのイベントとなったが、各ブランドブースの模様、そして試乗したモデルのショートインプレッションをお伝えする。

ビタミンカラーで元気が湧き出る「KTM」と、
北欧デザインでまとめた「ハスクバーナモータイサイクルズ」

どちらもPIERERモビリティグループに属することから、いわゆる同門ブランドとも言えるKTMとハスクバーナモータイサイクルズは隣り合わせでブースを設置。レディトゥレースというキャッチコピーの下、オレンジをブランドイメージカラーとした車両が取り揃えられたKTMは、モデルを見て回るだけでも元気が湧き出るような気持ちにさせてくれる。一方のハスクバーナモータイサイクルズはスウェーデン生まれを感じさせる他と一線を画すデザインで参加者を惹きつける。両ブランドの中から発売間もないノーデン901を試乗することにした。

KTMではフルモデルチェンジを行ったばかりのRC390への注目が高かった。モトGPでの活躍も後押しし、スポーツモデルファンから多大な支持を受けている。今回は展示のみとなっていた。

2021年にフルモデルチェンジを果たしたフラッグシップアドベンチャーモデル、1290スーパーアドベンチャー。写真はオンロード志向の高いSバージョン。ダイナミックな旅を楽しめる一台に纏められている。

KTMが誇るフラッグシップネイキッドスポーツ、1290スーパーデュークから派生したスポーツツアラーの1290スーパーデュークGT。攻撃的なスタイリングが物語るエキサイティングさではあるが、乗りやすさも併せ持つ。

600～900ｃｃ程度のエンジンを搭載したミドルクラスが再注目されているが、その中でも890デュークは、速さと乗りやすさのバランスが高く、さらにKTMならではとも言える特徴的なデザインが魅力。

ストリートでのハスクバーナモーターサイクルズ人気を一気に高めたのが、カフェレーサースタイルのヴィットピレンとフラットトラックレーサースタイルのスヴァルトピレンの2モデルだ。125、401、701と幅広い排気量をラインナップ。

ノーデン901 プチインプレッション

3月に発売されたばかりのハスクバーナモーターサイクルズ初となるアドベンチャーモデル、ノーデン901。もともとオフロードモデル志向の強いブランドであること、現在ではKTMと親類関係にあることから、初めて手掛けるアドベンチャーバイクとはいえ、良く動く足まわりやコントロールしやすいシャシー、アップ/ダウン両方とも可能なシフトアシスト機構など手慣れた感も随所にみられる。890cc並列2気筒エンジンは、3000～6000回転の常用域が特に元気で楽しく走らせることができる。これならば街乗りからロングツーリングまで快適に付き合うことができるだろう。インパクトのあるデザインに目が奪われてしまうが、中身にこそ注目してみて欲しい。価格174万5000円。

スヴァルトピレンやヴィットピレンのデザインに通じる丸型ヘッドライトを採用。スクリーンが立ち上がり、ラリーレイドモデル的にも見えるフロントマスクだ。

扱いやすく気持ちよく吹け上がると定評を持つKTMデューク890系統の889.5ｃｃ水冷並列2気筒エンジンを採用。

フロント90/90R21、リア150/70R18というオフロード走破性を求めたタイヤサイズ。オンロードでのハンドリングはオフ車のそれ。

フル液晶ディスプレイメーターパネルは視認性が高く、インフォメーションも伝わりやすい。上部に防水スマートフォンケースが備わっている。

フロント周りのデザインから繋がる燃料タンクカバーは、ボリューミーな印象を受ける。タンク容量は19Lと十分。

クラッチレバーを操作せずともシフトアップ/ダウンが可能なシフトアシスト機構を備えている。ステップの位置も良い。

シートはボディラインから流れるようなラインでデザインされている。デザインコンシャスだけでなく厚手で乗り心地も良い。

トップケースベースにもなるリアキャリアも装備。荷物を満載にするようなロングツーリングに出かけたくなる。

超重量級クルーザーが総ぞろい
迫力ある「インディアン」ブース

アメリカ最古のモーターサイクルブランドとしても知られているインディアンモーターサイクル。北米大陸を優雅に横断するために作られたラグジュアリーツアラーから、FTRのようなフラットトラックレースで活躍するモデルまで様々な車両をラインナップ。サイドバッグを装備したバガーと呼ばれるバイクを駆り、競われるレース「キング・オブ・バガーズ」では、先日デイトナにて行われた第2戦において、インディアンは表彰台を独占。ポテンシャルの高さを我々に見せつけた。インディアンブースでは伝統と革新を併せ持つモデル陣が並べられていた。

フラットトラックレースでも輝かしい戦歴を持つインディアンだが、そのレーシングモデルであるFTR750をモチーフに生み出されたFTRは、ストリートで走らせて楽しいスポーツネイキッドに仕上がっている。

チャレンジャーダークホースはスポーティな運動性能と長時間ライドでも快適なキャラクターを併せ持っている。このチャレンジャーをベースとしたレーサーが、キング・オブ・バガーズで大活躍中なのだ。

インディアンのラインナップの中でも軽量かつスポーティなクルーザーとして人気の高いスカウトシリーズに新たに加わったスカウト ローグ。エイプハンガーバーやビキニカウルの装着などで個性的な印象。

パースート ダークホース プレミアムパッケージ プチインプレッション

インディアン パースートは、チャレンジャーをベースに豪華装備を追加したプレミアムツーリングバージョンとして2022年から加わったニューモデルだ。普段からフルドレッサーモデルに触れる機会があるが、その中でも巨大と思える体躯はスタイリングからして強い押し出し感をもたらす。取り回しこそ気を使うものの、一度走り出せばそのリッチな乗り心地に酔いしれることができる。剛性の高いシャシーや電子制御式プリロード機構を備えるリアサスペンションは軽快かつしなやかなハンドリングを生み出し、ワインディングでも想像以上に良く走る。防風性の高いフロントフェアリングや音質の良いオーディオ、そして大容量ケースは旅へと誘い出す魅力を持っている。価格398万9000円から。

堂々としたボディサイズは、今回のイベントに並べられたモデルの中でも最高峰クラス。全体的なバランスが良く、スラロームなどもヒラヒラとパスすることができた。400万円弱は高コスパだと言えるのではないだろうか。

フロント130/60B19、リア180/60R16のタイヤサイズは、大きなボディサイズでありながら安定感と軽快さを両立させるウェルバランス。フロントフェンダーに備わるインディアンマスコットもポイントになっている。

様々なインフォメーションを表示し、機能をコントロールすることができる7インチタッチスクリーンを搭載。フェアリングとトランクにスピーカーを備えるオーディオシステムの音質も良好だった。

排気量1768cc水冷Vツインエンジンを搭載。最大トルクは178Nm/3800rpmとなっており、レイン、スタンダード、スポーツからライディングモードを選ぶことができる。スポーツモードは過激。

大型のフロントフェアリングはフレームマウントとされる。上部のウインドシールドは、ボタン操作で上下に動かすことができる。防風性能は高く、不快な走行風からライダーやパッセンジャーを守る。

シート高は672ｍｍと抑えられた数値で設定されている上、座り心地の良い形状、内部構造となっている。シートヒーターも装備しており、ラグジュアリーなツーリングを楽しむことができる。

外見上は見えないが、リアサスペンションは電子制御式プリロード機構を備えており、タンデムや積載時など、タッチパネル操作で変更することができる。ケース類の総ストレージ容量は133リットルと大きい。

ベスパ、モト・グッツィ、アプリリアの合同連合
イタリアンビッグカンパニー「ピアッジオ」

イタリアンモーターサイクルカンパニーのピアッジオは、伝統的なスクーターブランドのベスパ、縦置きVツインエンジンを採用するイタリア最古のモーターサイクルブランドであるモト・グッツィ、スポーツモデルを多数輩出するアプリリアの3ブランドのニューモデルを取り揃えた。中でもアプリリアと言えば、4月3日に開催されたモトGP第3戦アルゼンチンラウンドにおいて、アレイシ・エスパルガロ選手が同クラス初優勝するという歴史的快挙を遂げたばかりだ。並べられた車両を見て回ると、どれも個性的であり、人の心を引き寄せる独特な魅力を感じさせるものばかりで、アレもコレも乗ってみたくなってしまったが、今回のイベントではアプリリアのニューモデル、トゥアレグ660を試乗することにした。

アプリリア RS660は、扱いやすく刺激的、優れたデザインを備えたミドルクラスのスーパースポーツモデル。ストリート、ツーリング、サーキットと幅広いステージでスポーツライディングを楽しめる。

RS660をベースにバーハンドルへの換装や、カウル形状に手が加えられたアプリリア トゥオーノ660。搭載する659cc並列2気筒エンジンは、最高出力95馬力を発生させるパフォーマンスを備えている。

2月に発売されたばかりのスポーツスクーター、アプリリア　SR GT 200。比較的高い車高やトレールタイプのタイヤを装着するアーバンアドベンチャーモデルとなっている。近日中にインプレッション記事を公開予定だ。

市街地で楽しいコンパクトモタードモデル、アプリリアSX125。ランニングコストを抑えられる原付二種区分なのでセカンドバイクとしてもお薦め。オフロードバージョンのRX125も併売されている。

ビンテージスタイルの中にもモダンな雰囲気を感じさせるモト・グッツィのV7シリーズ。手前はスクリーン、キャリア、エンジンガードなどが追加されたV7スペシャル、奥はスポーティなスタイルのV7ストーンだ。

ベスパもピアッジオグループの重要なメンバー。誰が見てもベスパだと分かるアイコニックなスタイリングは、老若男女問わず幅広い層から支持されている。手前がスプリントS150、奥がプリマベーラ150。

トゥアレグ660 プレミアムパッケージ プチインプレッション

2月に発表されたニューモデル、アプリリア トゥアレグ660。80年代後半にも同名のモデルが存在していたので、古くからのバイクファンは懐かしく感じるかもしれない。しかし最新のトゥアレグ660は全くの別物に仕上がっていた。RS660、トゥオーノ660と系統を同じくする660cc並列2気筒エンジンは、低回転域でのトルクがより増されており、その上ギア比も低く設定されているので、出だしでの瞬発力が向上している。それでいながらも高回転まで気持ちよく吹け上がるので、高速移動も楽しめる。フロント21インチ、リア18インチのタイヤはオフロード走破性も高い。リンクを介してスイングアームへセットされるリアサスは動きが良くしなやかな走りをもたらし、全地形対応型モデルに仕上がっている。価格154万円から。

車体エンド部分に埋め込まれるようにデザインされたテールランプ。ミゲール・ガルーツィが束ねるピアッジオ・アドバンスド・デザインセンターが手掛けた前衛的なスタイリングもトゥアレグ660のポイントだ。

採用される5インチTFTディスプレイは、表示されるインフォメーションの視認性が良い。ライディングモードは4パターンが用意されており、そのうちの２つはカスタマイズが可能となっている。

コンパクトなLEDヘッドライトとその上に大胆に備えられたスクリーンで構成されたフロントマスクは、印象に残るデザインだ。防風性能も高く、スタイリングと機能面をしっかりと両立している。

サスペンショントラベル量は前後ともに240ｍｍとオフロードモデルらしい数値。フロント21、リア18インチのタイヤサイズと相まって、高い走破性能を誇る。軽量なので未舗装路も率先して楽しみたい。

シート高は860ｍｍと高い。しかし車体がスリムなことと、乾燥重量187kgと軽量に作られていることから、シートの高さによる不安は少ない。フラットな座面で自由度が高いのもメリットだ。

RS660、トゥオーノ660と同系統のコンパクトな並列2気筒エンジンを採用。最高出力の80馬力を9250回転で発生する。セッティングやギア比などから低回転域からパワフルだが、高回転も楽しい。

RS660、トゥオーノ660と同系統のコンパクトな並列2気筒エンジンを採用。最高出力の80馬力を9250回転で発生する。セッティングやギア比などから低回転域からパワフルだが、高回転も楽しい。

リアサスペンションはKYB製フルアジャスタブルモノショックを、プログレッシブリンクを介してセットする。ホイールはチューブレスタイヤを使用できるクロススポークタイプとなっている。

欧州でも高い評価を受けている
スクーター大国台湾発「キムコ」

台湾は世界的に見てもスクーターの販売台数が多い国だ。その台湾において21年連続でトップセールスを快走しているのがキムコだ。キムコが手掛けるスクーターはコストパフォーマンスに優れており、欧州を中心に世界各国で高い人気を誇るものとなっている。他メーカーのOEMモデル生産を行うほか、高い技術力も人気の秘密だ。日本においても着実に販売台数を増やしシェアを広げてきており、アフターサービス体制も万全となっている。今回のイベントでも多数の車両を展示していた。

5月下旬から日本での販売が開始されることになったニューモデル、KRV180TCS。エンジン、駆動系、スイングアームを独立させた機構となっており、バネ下重量の軽減をした。スポーティな走りが期待できる。

X-TOWNシリーズは、国内ではCT250とCT125の2モデルが展開される。大柄なボディでありながらもフラットフロアを採用することにより使い勝手が良い。キムコが誇るプレミアムコミューターだ。

キムコはスクーターだけでなくATVの製造も行っている。他メーカーのATVは大排気量モデルが多い中、キムコは300ccなどの中間排気量モデルを手掛ける。日本でもレジャー施設などで採用されている。

個性的なキャラクターを
多数取り揃えた「ベネリ」

1911年にイタリアのペーザロにて誕生したモーターサイクルブランド、ベネリ。これまでに様々な紆余曲折を経て2016年に新生ベネリとなり、その後再び日本に上陸することとなった。モダンなルックスの中にもどこか懐かしさを感じさせるスポーツネイキッドモデル、レオンチーノ250や、コンパクトなストリートファイターモデル、TNT125など、ライバル不在とも言える個性的なキャラクターを持つモデルを多数ラインナップする。その中でも先日発表されたばかりのクラシックモデル、インペリアーレ400に注目が集まっていた。

アドベンチャーツーリングモデル、TRK251に、大型パニアケースやトップボックスなどのオプションを装備した車両を展示。何泊もするようなスケールの大きいロングツーリングに出かけたくなるパッケージだ。

他と一線を画す独特なデザインで纏められたモダンスポーツネイキッド、レオンチーノ250。前衛的な見た目とは違い、実際に走らせてみると意外なほど扱いやすく、ビギナーにも薦められる一台となっている。

1950年代に作られていたベネリをオマージュし誕生したクラシックスタイルモデル、インペリアーレ400。レトロでシンプルな見た目と、信頼性の高い機能を併せ持ち、幅広い層から注目を受けているニューモデルだ。

置き場問題を解決できれば
是非一台欲しい「カンナム」

スノーモービルや水上バイクなどのブランドを展開するBRP（ボンバルディア・レクリエーションプロダクツ）の中の一員であるスリーホイーラーブランド、カンナムもブースを展開した。フロント2輪、リア1輪の車体構成で、一般的なモーターサイクルとは違った楽しみを味わうことができる。二輪車免許を持っていなくとも、普通自動車免許で乗れることも大きなメリットとなっている。

カンナムのラインナップの中ではライトユーザー向けのモデルとなっているライカー。価格も151万3600円からと抑えらえており、初めてのスリーホイーラーとしても魅力的な一台となっている。