掲載日:2019年11月07日 フォトTOPICS
写真/増井 貴光 取材・文/小松 男
第二回 構図追求編
【この記事の目次】
■LESSON 01 まずは「日の丸構図」から
■LESSON 02 応用がしやすい「三分割構図」
■LESSON 03 意図的に奥行を生み出す「消失点構図」
■LESSON 04 コーナーを使って「S字構図」や「C字構図」にチャレンジ
■まとめ
スマートフォンの市場を世界的に俯瞰してみると、iPhoneとAndroidのシェアというのは、後者が圧倒的に多いのですが、我々の生活する日本においては、逆転現象が起きておりiPhoneのシェアが高いものとなっています。これはスマートフォン黎明期から高いパフォーマンスを発揮し続けてきたアップル=iPhoneに対する信頼を持っているという点が大きいと思いますが、高いカメラ性能が魅力となっていることも外せないでしょう。日々の生活を写真として残すことができるようになった今、多くのスマートフォンユーザーは、カメラ機能を色々な用途に使用するようになりました。もちろんAndroidモデルでも驚くほどのカメラ性能を誇る機種はありますが、それは一部のハイエンドモデルの話であり、普及モデルのカメラ性能はiPhoneに敵わないものも多く、よってiPhoneのシェアが高いのだといえます。
そのようなことも踏まえたうえで、ここではiPhoneを用いてどのようにすればカッコいいバイクの写真を撮ることができるのかを探っていきたいと思います。ただし一概にiPhoneとくくっても年代やモデル、使用OSによってカメラ機能、性能は変わりますので、その点も加味しつつ進めて行きましょう。
この企画では、iPhoneを使った素敵なバイク写真を撮るための指南役として、数々のバイク媒体で活躍する増井貴光カメラマンを講師とし、レクチャーを行っていきます。ここで紹介するテクニックは、iPhoneを用いたものですが、もちろん他のスマートフォンやコンパクトカメラなどでも応用することができるものがほとんどです。レクチャーを参考に、かっこいいバイク写真を収めてください。
例えば、バイクの写真に限らず、これまでのアルバムやスマートフォンに残る写真データなどを見返してみてください。無意識に撮った写真の多くは(特に記念写真などは)、中央に被写体が配置されているものが、多くはないでしょうか? これは日の丸構図というレイアウトのひとつであり、被写体に目を向かわせる際などによく使われるものです。ただし単に正面から構えてシャッターを切ると、面白みのない写真になってしまいがちです。そこで、アイポイントを高い位置にしたハイアングルや、逆にローアングルを用いるなどで、写真そのものに力をつけることができます。基本とも言える構図ですので、被写体を中央に置きながら、様々な角度から撮影をしてみて、どのように写真が変化するのかを試してみてください。
日の丸構図の作品例:
上の写真は、ほぼ目線の高さから撮影したものです。風景が広く入り、記録写真としては良いのですが、画の面白さという点においてはイマイチと言えるでしょう。下の写真は、ローアングルで構えて写しています。空の面積が大きくなり、広がりのあるカットとなっています。このように日の丸構図であっても、カメラを構える高さを変えるだけで、写真の画力を引き上げることが出来るのです。
これもiPhoneで撮影した日の丸構図のカットです。被写体を中央に配置し、低い位置から近寄っています。ひと工夫することで、とても印象的な写真にすることができます。
日の丸構図の次に使いやすいのが、三分割構図です。写真の画角を、縦横三分割にして捉え、各部分をパート分けすることで、まとまりのあるレイアウトを作ります。風景写真を撮る際などにも多く使われている構図であり、その中にバイクを配置することで、風景とバイクを上手くマッチングさせたカットを生み出すことができるでしょう。上下左右で分ける二分割構図などもあります。iPhoneのカメラには、グリッドライン(格子線)を表示させる機能があるので、構図を組み立てる際に活用してみましょう。
三分割構図の作品例:
海、陸、空を、ほぼ均等に三分割にした構図です。ここで重要なポイントとなってくることがあります。それは被写体となるバイクの配置です。実は三分割構図というレイアウトにおいて、画角を縦横に三分割し、その交点近辺に被写体を取り入れることで、その対象物を浮かび上がらせて見せるテクニックなのです。
こちらは縦位置カットでの三分割参考例。ここでも海、陸、空を三分割にしています。バイクに寄って撮影したことで、より存在感が増したワンカットとなっています。この三分割構図は、様々なシーンでの撮影で使え、とても便利なので、カメラ機能を使う際、頭の片隅に入れておくとよいでしょう。
iPhoneで撮影した三分割構図参考例です。手前のススキ、平原、空と、三分割にし、木の生えている部分をアクセントに取り入れています。どこまでも続いているかのような、奥行のある写真に仕上がっています。
消失点構図(放射構図)は、パースペクティブ(遠近法)を用いた構図です。簡単に言うと、近くにあるものを大きく、遠くにあるものを小さく見せることで、奥行感(遠近感)を、より強調させるということです。遠くの見えなくなる部分を“消失点”と呼んでおり、ハイアングルで俯瞰気味な角度で構えたり、逆にローアングルで下から煽り気味にするなどし、その点を中央に置いたり、四隅に寄せたりすることで、様々な写真を撮ることができます。
あまり意識せずにシャッターを切ると、被写体に対して平面でとらえていることが多いのですが、あえて奥行き感を作り出すことで、ダイナミックな写真にすることができるのです。そして奥行と広がりを強調して表現できる消失点構図は、iPhoneのように広角に強いカメラとの相性が良いのです。
消失点構図の作品例:
自衛隊施設を囲うフェンスを活かして、消失点構図を作り出しています。バイクはフロント部分が大きく、テールに向かって小さく見えていることで、画面から飛び出してきそうな迫力が出ています。直線道路などが撮りやすいので、ツーリング最中に、まっすぐ続く道に遭遇したら、充分に安全確認をしてから路肩にバイクをとめて、消失点構図を意識した写真にチャレンジしてみてください。なお、画角の四隅を対角線で分ける対角線構図への応用もできるので、その点を意識しても良いかもしれませんね。
上のカットを実際に撮影しているところ。ローアングル気味にカメラを構えていることが分かります。逆にハイアングルからバイクを俯瞰して撮影するなどし、自分の好みに合う一枚を探してみましょう。
人物写真でも消失点構図を用いることで、アーティスティックな一枚を撮ることができます。このカットは、ローアングルから見上げるように撮っていますね。脇に写り込んでいるヤシの木も、ポイントとなっています。
ふたつの曲線を取り入れ“S”のような曲がったものを画角に作り出すのがS字構図、そして“C”のように円の一部を欠けるように撮影するのがC字構図です。これらの構図を用い、バイクの撮影をするとなると、曲がった道などを画角に収めるというシチュエーションが多いと思います。世の中の道というのは、おおよそ曲がっているのですが、それを上手く写真に取り入れるのはなかなか難しいと思います。これまでの直線的なラインを組み合わせて生み出す構図よりも難易度が高く、上級者向けの構図テクニックと言えるでしょう。
S字構図の作品例:
曲がりくねった農道を画角内に取り入れた構図です。まっすぐに続く道と比べて、曲がっている道がアクセントとなり、写真の力を強めていることが分かります。ツーリングのイメージカットを上手く表現できています。ツーリング雑誌などの写真でもS字構図は頻繁に取り入れられています。もし機会があれば、写真の構図に注意して見るのも楽しいと思いますよ。
C字構図の作品例:
コーナーを“C”に見立てて、C字構図を作り出しています。バイクの置き写真でありながらも、コーナーというシチュエーションをつかい曲線を取り入れることで、躍動感のある写真になっています。S字構図に比べると、C字構図を作れる場面に遭遇する機会は多いかもしれません。
例えばこの写真のように、食べ物のカットにおいても、お皿の一部を欠けるように撮影したものはC字構図を用いたものです。インスタグラムなどのSNSで、食べ物の写真をよく見かけますが、C字構図を使っているものも多いです。
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