テクニカルガレージ ラン ハヤブサ(スズキ ハヤブサ)

掲載日:2015年05月13日 プロが造るカスタム    

取材協力/テクニカルガレージ ラン

記事提供/ロードライダー編集部

※この記事はロードライダー特別編集『ザ・カスタムマシン2014』に掲載された内容を再編集したものです

TECHNICAL GARAGE RUN HAYABUSA(SUZUKI HAYABUSA)

快適でありながら快速という
素性のステルス・ハヤブサ

この車両はテクニカルガレージRUNのお客さんであり、代表・杉本さんの個人的な友人でもある俳優・大鶴義丹さんが所有する1台。ベースとなっているのは2000年式の初期型(ハヤブサのデビューは1999年)だから、発売の翌年に気になって入手、という流れであることは容易に想像がつく。要するに筋金入りのバイク好きということなのだ。

「乗るのも上手いし、メカにもかなり詳しい。言ったら、僕らとまったく変わらないです(笑)。サーキットでも結構いいタイムで走るし、ツーリングも一緒に行くし。チューニングするにあたっては、『ノーマル+αのパンチがほしい』っていう要望もあったので、ピストンを換えたりヘッドチューンしたりもしましたけど、基本的には、いつものウチのコンプリートと同じで、まず最初に足ありきで組んだマシンですね」(杉本さん)

ところが、リヤサスを変更しようにも、いわゆるスポーツ走行向きのフルアジャスタブルサスが、当時は販売されていなかった。そこでスーパースポーツ用のオーリンズをベースにバネレートや内部構造などをモディファイ、ストロークを確保するためにリンクレバーなどもアルミビレットでワンオフしたとのこと。次いでブレーキまわり、フロントフォーク、それと同時並行する形でエンジンにも手が加えられた。

「ノーマルでも十分速いんだから、これ以上パンチは要らないでしょ、っていう話もしたんですけど、よくよく聞くと、この際だからエンジンの中身も見てみたいんだと(笑)。それで、各部パーツを確認しながら、具体的な仕様を決めていった感じですね。要望としては『(スロットルを)開けられないようなパワーじゃ、あっても意味がない。あくまでも使えるエンジンにする』というのが基本的なところでした」(同)

ピストンはヨシムラ・ハヤブサX-1と同仕様のヨシムラ製で、面研、圧縮比、ポート形状などのベーシックなデータに関してはヨシムラからの情報(RUNではX-1を4台ほど販売した実績を持つ)を参考にしつつ、そこに同店独自のアレンジを加えている。カムは杉本さんの判断であえてノーマル。しかし、それにも関わらず、まったく別モノのエンジンに仕上がっているとのこと。

「各ムービングパーツのバランス加工、手組みの精度向上などもあって、振動も減りましたし、エンジン音自体も静かになりました。ひと言で言うならシルキー、静か、それでいてパワフルなエンジン。もちろん、組みの技だけじゃなく、シャシダイでのチェックや実走テストなどを繰り返してトータルで実現できたものだと思ってます。今の時代、より高い完成度って、やはりそういう部分も無視できないと思うんですよ」(同)

快適・安全、乗り手に信頼感を与える乗り味で、ツーリング先でも壊れない信頼性を兼ね備えていること。こうした要素を常に意識したという杉本さんだが、じつはこれ、同店のコンプリートにも共通するコンセプトだということが分かる。要するに、その究極的な姿がこのハヤブサ改ということなのかもしれない。

TECHNICAL GARAGE RUN HAYABUSA(SUZUKI HAYABUSA)の詳細は次ページにて

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索