掲載日:2010年04月18日 名車ライブラリ
不動の人気を誇る
絶版車の王様
Z1は1960年代後半、世界最速の座を4ストロークエンジンでも狙うべく、カワサキが進めていたプロジェクトから誕生した。開発当初は排気量750ccだったが、1968年のモーターショーで、ホンダが量産市販車初となる空冷4気筒モデルCB750 Fourを発表し、それを超えるインパクトを市場に与えるため、新たに900ccエンジンへと仕切り直された。そして1972年、前代未聞のビッグバイク“Kawasaki 900 Four”通称“Z1”が登場したのである。Z1という呼び名は、1973年に登場したZ2に対してつけられた呼称である。当時としては画期的なDOHCを採用し、排気量は世界最大の903ccとなり、82馬力を誇る。もちろん量産市販車として初の快挙であり、発売後間もなく、Z1は世界中で人気を博すモデルとなった。スクエアのボアXストローク、ドーム型燃焼室、直押しタイプのバルブ、組み立て式クランクシャフト、1100ccまでのボアアップに耐えられるクランクケースなど、Z1はカワサキの技術の粋を集めて開発されたのだ。後に“火の玉”と呼ばれるカラーリングを採用したティアドロップタンクや、スタイリッシュかつ挑戦的なシルエットのテールカウル、4気筒を誇示する4本マフラー、砲弾型のメーターなど、細部にわたるデザインを見ても、非常に斬新なものだった。
当時としては異例の高出力を発揮するパワーソースと不変の美しさを兼ね備えたZ1は、華々しいデビューを飾るとともに、一挙に世界中の市場を掌握したのである。Z1が現在でも“稀代の名車・絶版車の王様”と呼ばれる所以は、そのような時代のなか王座に君臨し、4ストローク4気筒マシンの歴史を作り上げたからにほかならないのだ。
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