【ロイヤルエンフィールド ショットガン650 試乗記】クルーザーから一転。キビキビ走るミドルネイキッド

掲載日:2024年01月22日 試乗インプレ・レビュー    

取材協力・写真/ロイヤルエンフィールド東京ショールーム 取材・文/河野 正士

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Royal Enfield SHOTGUN 650

クルーザープラットフォームを使い
オリジナルのスタイルを構築

ニューモデルラッシュのロイヤルエンフィールドが、またしても新型車を発表。クルーザーモデルとプラットフォームを共有するも、ネイキッド的な軽快なモデルに仕上がっていた。

2023年春、ロイヤルエンフィールド(以下RE)はクルーザーモデル/スーパーメテオ650の発売をスタートした。他のRE650ccモデル同様の、排気量648ccの空冷並列2気筒SOHC4バルブエンジンを採用。最高出力や最大トルクは共通ながら、低中回転域の出力特性を力強くすることで、クルーザーというモデルのキャラクターに合わせたパワー感を造り上げていた。そのエンジンを、低重心化と高剛性を目指して開発した新型フレームに搭載。直進安定性と快適性を高め、同型エンジンを搭載しながら英国スタイルを貫いた他の650モデルとは異なる世界観を造り上げていた。「ショットガン650」は、そのスーパーメテオ650と同じエンジンとフレームを採用。しかし前後ホイールサイズやサスペンションなど、足周りのセッティングを大幅に変更して、ネイキッドバイクのようにキビキビと走る「ショットガン650」オリジナルのキャラクターを造り上げている。

ロイヤルエンフィールド ショットガン650 特徴

足周りを大胆に変更
走りのパフォーマンスをUP

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「ショットガン650」が搭載するエンジンは、スーパーメテオ650と同じ。エンジンをコントロールするECUやフューエルインジェクションのセッティング、ギア比や排気系も同じである(サイレンサーのみ変更)。

大きく違うのは前後足周りだ。ホイールサイズは、フロント18インチ/リア17インチ。フロント19インチ/リア16インチのスーパーメテオとは大きく違う。このホイールサイズの変更だけで、クルーザーからネイキットバイクへとキャラクターが変わったと理解できるほどだ。

しかし変更はそれだけではない。フロントフォークは、左右のフォークでダンパー機能とスプリング機能を分け、ビッグピストンによる高い減衰力特性を持つSHOWAのSFF-BPを引き継ぐが、フロントフォークそのものを30mm短くし、フォーク内にセットするスプリングや減衰力特性を「SHOTGUN650」の車体特性に合わせて変更している。そしてステアリングヘッドとフロントフォークの距離を示すフロントフォークオフセットは4mm短い42mmとし、それによってトレールは17.1mm短い101.4mmとなっている。またリアショックは、SUPER METEOR650から30mm長くなり、ストローク量は7mm増えている。もちろん、その変更に合わせてスプリングレートや減衰圧特性も変更されている。さらにはスイングアームのアクスルスライダー部分の切り欠きを車体前側に移動。フロント周りのアライメント変更に加え、リアタイヤを車体前側にセット出来るようにすることでショートホイールベース化も実現している。

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外装類も「ショットガン650」オリジナルだ。燃料タンクは容量を1.9リットル減らし、角張ったデザインを採用。そのデザインとリンクするように、サイドカバーやリアフェンダーのデザインも変更されている。また、足周りの変更と、フローティングシートと呼ばれる宙に浮いたサドルシートのモダンデザイン版とも言える新型シートの形状によってシート高が高くなり、幅の狭いバーハンドルに加え、ステッププレートの取り出し位置を変更し、よりライダーに近いミッドコントロールを実現。それらの変更によって、ネイキッドバイクのようなライディングポジションへと変貌している。

ロイヤルエンフィールド ショットガン650 試乗インプレッション

ワインディングが楽しい!
ネイキッドバイク的ヒラヒラ感

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前後足周りの変更による車体の姿勢変化は、「ショットガン650」に跨がっただけで感じられる。シートは高く、ステアリングヘッド位置が低く、ステップ位置がライダー側にグッと近くなったことで、ライディングポジションが前傾し、プルバックしたクルーザー的ポジションからネイキッドバイク的ポジションに変わっているからだ。

クラッチを繋いで車体を走らせれば、その変化はさらに明確になる。いくつか交差点を越え、混雑した街中を走らせると、とにかく軽快で車重が240kgもあることを忘れてしまう。フロント19インチ/リア16インチのホイールを採用し、リア下がりのサイドシルエットを採用していたスーパーメテオ650は、リアヘビーの重心バランスを採用することで直進安定性を高めていたが、「ショットガン650」は前後サスペンションの変更で車体姿勢を水平に近い状態に変更している。その姿勢変化と、それに合わせたディメンション変更がこの軽快感を造り上げているのだ。

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そしてその軽さは、ワインディングで一気に華開く。ハンドリングは非常に素直で、ハンドルをこじったりしなくても車体の傾きに合わせてフロントタイヤはドンドン向きを変えていくし、コーナー出口でアクセルを開けてもフロントタイヤが大回りするようなこともない。ミッドコントロールとしたことで、ステップは比較的早めに路面に接地するが、例え接地しても車体の安定感は変わらない。

今回の試乗コースは、バリエーションに富んだコーナーが楽しめるワインディングが多く含まれていたが、舗装路面が荒れていたりバンピーなコーナーがあったりして、進入/コーナー/起ち上がりと、コーナーリング中のあらゆる場面でサスペンションが大きく速く動いて、車体姿勢を乱すことがあった。しかしその動きは最低限で収まり、そのことによる安心感は絶大で、引き続きワインディング走行を楽しむことが出来たのだ。これは前後サスペンションのアライメントとセッティングを、徹底的に造り込んだ証拠だろう。

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REは、この安定感とスポーツ性のバランスを造り上げるのがとてもうまい。モデルキャラクターによってそのバランスを変えながらも、スポーツに重心を置いてもその反応は神経質になりすぎず、安定感に重心を置いても退屈になりすぎない。彼らは“ピュアモーターサイクリング”をブランドコピーに使用している。それは様々な解釈があるが、バイクの根源的な魅力を追求することも含まれている。どんなスタイルを持ち、どんなカテゴリーに属していようとも、バイクである以上、乗って楽しくなくてはなららならい。シンプルだが難しい、そんな課題に全力で取り組んでいるのがREなのだ。これまでのREモデルの伝統とは異なる「ショットガン650」の楽しさもまた、REが求める“ピュアモーターサイクリング”のひとつなのである。

ロイヤルエンフィールド ショットガン650 詳細写真

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排気量648ccの空冷4ストロークSOHC4バルブ並列2気筒エンジンは、ECUやEFIのセッティング、ギア比、エキゾーストパイプやそれに収まるキャタライザーまで兄弟車スーパーメテオ650同じだという。しかし車体のディメンションの変更によって、アクセル操作に対する車体の反応が変化し、異なるセッティングが施されているのではないかと感じてしまう。

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サイレンサーは、ピーシュータースタイルに変更。水平より、やや後ろ上がりになるようセットされている。このサイレンサーが装着される手前にキャライザーがあり、そこまではエキゾーストパイプもスーパーメテオ650と共通。

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ショットガン650の特徴的なディテールである、モダンなデザインのヘッドライトナセル。トップブリッジやアンダーブラケットのフォーククランプ部分を斜めにデザインし、それによってアルミキャスティングで成型されるヘッドライトナセルとデザイン的に連携している。

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幅広のバーハンドルを採用。メーターは速度計とインジケーター類、距離や燃料計などを表示するデジタルディスプレイが収まった一眼タイプ。右側の小さなディスプレイは、ナビシステム/トリッパー用。

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サイド面がストレートに落ちた新デザインの燃料タンク。容量が約1.9リットル少なくなったことや、デザイン変更とライディングポジション変更などによって、タンクの長さも短くなったように感じる。

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フローティングシートと呼ばれるシングルシート。前後サスペンションの変更や、シート形状によって、シート高は55mmアップの795mm。このシート下のボルト4本を使って、タンデム用の脱着可能なシート&シートレールを装着可能。

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フロント18インチホイールを採用。フロントフォークは、スーパーメテオ650と同じφ43mmSHOWA製SFF-BP。フォーク長は30mm短く、セッティングも変更している。フォークオフセットも46mmから42mmに。ブレーキ周りはスーパーメテオ650と同じ。

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リア17インチホイールを採用。リアショックも、スーパーメテオ650と同じSHOWA製だが、サスペンション長を23mm延長。ストローク量も109mmにアップしている。

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車体色は全4色。左から「Sheetmetal Grey/シートメタル・グレイ」「Green Drill /グリーン・ドリル」「Stencil White/ステンシル・ホワイト」「Plasma Blue/プラズマ・ブルー」 。

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