【GPX レジェンド250ツイン3 試乗記】タイ発のネオクラシックマシンが、さらに乗りやすく、質感を高めて新登場

掲載日:2022年06月21日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之

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GPX LEGEND 250 TWIN III

タイのGPXは、タイ国内でホンダ、ヤマハに次いで3位の販売実績を誇るバイクメーカー。そんなGPXがリリースするクラシックスタイルのロードスポーツがLEGEND 250 TWIN III(レジェンド250ツイン3)だ。その魅力と実力を、実際に試乗して確かめてみた。

GPX レジェンド250ツイン3 特徴

クラッチの変更でさらに乗りやすく
スポークホイール化でよりレトロ感がアップ

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タイのGPXはもともと日本のバイクメーカーの現地生産を請け負っていたメーカーで、その技術や確かな品質管理をベースに、近年急成長を遂げている。バイク大国タイにおいて、ホンダ、ヤマハに次いで3位の販売実績を誇ると聞けば、その人気ぶりやクオリティの高さが分かるだろう。日本でも個性に富んだ車種をリリースしているが、そのうちクラシックなスタイルを持つ、ネオレトロなロードスポーツがレジェンド250シリーズだ。今回紹介するレジェンド250ツイン3は3代目にあたる。

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外観デザインは、1950年代の英国車を思わせるようなクラシカルなもの。アップハンドルやタンクパッド付きのフューエルタンク、美しいフィンを持った空冷エンジン、ツインショックなどは従来モデルと同様で、これぞクラシックスタイルと言えるものだ。今回のモデルからはあえて金属製にこだわった前後メッキフェンダーを筆頭にメッキパーツを増やし、ホイールをキャストからスポークに変更、レトロな雰囲気に磨きをかけている。また、クラッチ盤をまるごと改良し、スプリングを4本から6本にすることで、クラッチの強化と操作性を向上させている。また、メーターパネルの耐候性も向上したとのことだ。

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エンジンは前モデルと同様の234ccの空冷2気筒で大型のオイルクーラーを装備。わずかに前傾したバーチカルツインのエンジンは最高出力12kw/8000rpmを発生する。足周りも変わらず、倒立フロントフォークにトリプルディスクブレーキ、リザーバータンク付きのリアサスペンションなどを装備。クラシカルな外観だが、タイヤサイズは前後17インチと今風で、スポーティな走行にも十分対応できるものとなっている。また、ヘッドライトとテールランプにはLEDを採用、現代的なニーズにもうまくマッチした装備を取り入れている。

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GPX レジェンド250ツイン3 試乗インプレッション

グッとくる加速感と迫力ある排気音
乗るのが楽しくなるマシン

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レジェンド250ツイン3を目の前にすると、まずその佇まいの美しさに見惚れてしまう。柔らかな曲線を描くティアドロップタンクにスポークホイール、随所にあしらわれたメッキパーツの数々が似合う。特に前後のフェンダーを金属にしてあることで、クラシカルな雰囲気と高級感を見事に醸し出している。偏平率が高く分厚いタイヤの存在感もまた、レトロイメージを高めている。

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跨るとハンドルは少々広め。しかしハンドルの高さはイメージとちょっと違った。乗る前のイメージではもっと殿様乗りに近いと思っていたが、実際は少し低めでスポーティな印象だ。

エンジンをかけると、250ccクラスとは思えない、低く迫力のあるエキゾーストノートに驚かされる。メガホンタイプのマフラーは見た目も格好良く、リプレイスの必要はないんじゃないか、と思わされるほど。歯切れのいいサウンドを聞いているだけで気持ちがワクワクしてくる。

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走り出すと、1~2速ではグイグイと押し出されるような力強い加速を感じる。そのまま5000回転ぐらいまでを使ってシフトアップしつつ走ると、モーターのようになめらかで振動も少なく、車体が加速していく。ツインらしいパルス感もあるにはあるが、どちらかというとグワーッとフラットにトルクが出る印象だ。しかしこれが味気ないかというと、そうでもないのだ。迫力ある排気音と組み合わされることで、なかなか爽快な乗車フィールを実現しているな、と感じる。

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サスペンションについては「硬い」という印象だ。クラシカルな外観から、ゆったりした乗り心地を想像していたのだが、フロント、リアともにハード目なセッティングとなっていて、公道レベルでちょっとばかりスポーティな走りをしても十分に対応してくれるポテンシャルを持っていると感じた。試乗車をお借りしたGPX千葉のスタッフの話では、タイではソロよりタンデムで乗る機会が多いために、標準でサスが硬めなのかも、とのことだった。言われてみれば確かにそうかもしれない。リアサスは調整可能なので、ソフトな乗り心地が好みならば少しプリロードを弱めて乗るのもありだろう。ブレーキについてはガツンと効くタイプではないが、レバーの握りやペダルの踏み込みに応じてしっかりと効いてくれるので、コントロールはしやすい印象だった。

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少し慣れが必要だな、と感じたのは交差点や細かい道の曲がり角などだ。タイヤは前後17インチだがフロント110/90、リア130/90という高い偏平率の影響もあるのか、フロントの立ちが強い印象で曲がる際にハンドルできっかけを与えないと素直に倒しこめない感じがあった。癖が分かってしまえばすぐに慣れると思うし、ある程度スピードの出ているコーナーでは全く気にならないが、自然にセルフステアが得られる最近のロードマシンとは、曲がり角での挙動がちょっと違う、と感じた。

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ほかにも直射日光下でメーターが見えにくかったり、ウインカースイッチがプッシュキャンセルじゃないなど気になる点はあるものの、デザインの素晴らしさと質感の高さ、価格のバランスがとてもいいマシンであることは間違いない。気軽に楽しく、おしゃれに乗りこなせるレジェンド250ツイン3は、若者や女性などのエントリーユーザーはもちろん、ビッグマシンからダウンサイズを考えているベテランライダーや人と違う個性的なマシンを探しているライダー、はたまたカスタム好きまで、幅広いユーザーにおすすめできるマシンと言える。

GPX レジェンド250ツイン3 詳細写真

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ヘッドライトはLEDを採用。レンズにはアルファベットのHのような独特の意匠が施されている。試乗車はショップにてETC車載器を取り付けているため、脇にアンテナが見える。

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フルデジタルのLCDメーターは時計や燃料計も表示する。距離はメーター裏のボタンを押すとトリップメーターに切り替わる。

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ティアドロップ型のタンクにはロゴをあしらったエンブレムとキルティング調のタンクパッドを装備。赤いシートはホワイトの車体とよくマッチしている。

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グリップは樽型で少し太めのタイプ。ウインカースイッチがプッシュキャンセル式でないのは惜しいところだ。

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右側のハンドルスイッチにはハザードとスターターボタンを配置している。

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シートはそれほど厚みはないがクッション性は十分。フラットかつ幅は広めで、パイピングとタンデムベルトがレトロな雰囲気を感じさせる。

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車体の左サイドにはピン式のヘルメットホルダーを装備している。

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フューエルキャップは鍵穴にフタのあるクラシカルなタイプとなっている。タイ語表記のみのコーションラベルは異国情緒たっぷりだ。

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わずかに前傾したバーチカルツインエンジンは234ccで、空冷のためフィンが美しい。大型のオイルクーラーを標準で装備している。

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前後のフェンダーはメッキを施した金属製。ステーまで美しい。フロントフォークは倒立タイプを採用。撮影モデルはデモ車で、フロントフォークはシルバーとなっているが、正式にはゴールドカラーとなる。

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ツンと跳ね上がったメガホンタイプのマフラー。ノーマルなのに250ccクラスとは思えないぐらい低く、歯切れのいいサウンドを聞かせてくれる。ブレーキのディスク径は220mmだ。

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ステップとシフトペダルの形状はごく一般的なもので、ラバーが装着してある。

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ブレーキペダルにはローレット加工が施されているほか、つま先が内側に入らないようガードが設けられている。

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試乗車にはGPX千葉オリジナルのリアキャリアが装着されていた。スタイルを損なわないよう細めのパイプで構成され、違和感のないデザインとなっている。2万3800円で近日発売予定だ。ちなみにノーマル車はグラブバーを装備する。

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フロントブレーキは片押し2ポットのダブルディスクで、ディスク径は276mmとなっている。タイヤはVEE RUBBERを履く。

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ツインタイプのリアショックはYSSブランドのタンク別体式を採用。プリロード調整が可能だ。チェーンカバーもメッキパーツとなっている。

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クラシカルなイメージの丸型テールランプはLEDを採用。ウインカーはバルブタイプとなっている。

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テスターの身長は170cmで足は短め。レジェンド250ツイン3のシート高は790mmで、ごく標準的なもの。片足なら、ほぼかかとまで接地。両足でも母指球までしっかりと地面に着いた。

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