ホンダ CBR650F
ホンダ CBR650F

ホンダ CBR650F – 全てが大刷新された伝統のミドル“F”

掲載日:2015年03月23日 試乗インプレ・レビュー    

レポート/和歌山 利宏  写真/桜井 健雄  記事提供/ロードライダー編集部
※この記事はカスタムNo.1マガジン『ロードライダー』の人気企画『New Model Impression』を再編集したものです

ホンダのミドルベーシックが生まれ変わった。それは、ホンダがここへ来てベーシックスポーツの方向性に関し大きく舵を切った! と思わせるほどの変貌振りを見せたのである。

全てが大刷新された
伝統のミドル“F”

新しいCBR650Fは、まさにベーシックスポーツ! と呼べるモデルだ。並列4気筒のエンジンやそのエキパイに存在感があっても、車格はあくまでも中庸。ほどよい大きさがあっても、あくまでも人間にジャストサイズで、取り扱いが億劫になることはない。しかも、ミドルクラスとして一般的な600ccから650ccとなり、余裕のトルクを備える。最高出力83psは、十分な高速性能と公道でのスポーツ性を備えながら、等身大で付き合えるほどよさだ。

しかも、フレームをスチール製、フロントフォークを正立型とするなど低価格化にも留意。国内向けは熊本工場製となるが、CBR/CB650Fが基本的にタイで生産され世界に送り出されるのも、そのためだ。

さて、跨った650Fはやはりミドルクラスらしい車格と重さだ。足着き性も並みで、小柄なライダーに媚びたところはないが、悪くはない。ただ、CBR600RRなどのスーパースポーツを基準にすると、重く感じることはいた仕方ない。左右のフレームのメインスパーがスチール製だから、余計にそう感じることもあるのだろうが、要するにそんな基準で見てはいけないのだ。

ライディングポジションは、オールラウンドスポーツの“F”らしい設定。スポーティながらも先鋭化していない。それどころか、過去の多くのFモデルよりも着座位置が前にあるので、上体は起きている印象だ。

アイドリング回転のまま発進でき、そこでスロットルでバイクを取り回すこともできる。この極低速性能は、街乗りにも使うベーシックスポーツにとってありがたい。トルクが太いだけに、少々ガサツに感じないでもないが、さすが650としただけのことはある。また、ステアリングの切れ角を有効に使っての、スポーティな取り回しもやりやすい。

そして、トルクは高回転域に向かってよどみなく立ち上がっていく。やはり、ストリート向きの特性だ。

ハンドリングは、マシンから寝込み、インに切り込んでいくきらいもあるが、それに逆らわず、旋回性を引き出していくのがよさそうだ。ともかく、かつてのスチール製ツインスパーフレームとは違い、剛性感が自然なのがいい。

ところでこの650Fは、CBR600Fの後継型で、そのルーツは1987年に登場した同じネーミングのモデルに辿り着く。そう考えたとき、このモデルの進化の数奇なことに複雑な想いもしてくる。

そもそも600Fは「原点に立ち返り、人間にジャストサイズで、質実剛健であること」を目指し、バイクが大型化し高性能化していた1987年に登場。欧米でミドルクラスを定着させ、街乗りからツーリング、レースにも使えるベーシックバイクとしての地位を確立してきた。

ところが’90年代終盤、レース参戦に対応して1999年にフレームをセミピボットレスのアルミ製とし、2001年には燃料供給をFI化。レース向けには2003年にCBR600RRが登場するが、600Fはスーパースポーツ人気の中で、立ち位置が微妙になったのか、2006年で一度、姿を消していた。

一方、このクラスのネイキッドモデルとして、現行600RRのエンジンをアルミモノバックボーンフレームに搭載した、イタリア生産のCB600Fホーネットが2007年に登場。2011年には、それをフルカウル仕様とすることで、CBR600Fは復活を遂げてきたというわけだ。

600Fも含め、近年のバイクは、諸性能を高次元化させるべく進化、価格上昇も伴ってきた。従来型600Fのアルミバックボーンフレームも、ストリート向きに高水準化させているわけだ。そして、この650Fは、低価格化を前提としたベーシックモデルに生まれ変わった。

この650Fに乗って思うのは、四半世紀前の600Fが掲げた「原点に立ち返り、人間にジャストサイズで、質実剛健であること」との狙いが、そのまま当て嵌まること。そう、原点回帰を思わせたのだ。

エンジンも車体も全くの新設計

ホンダはCBR650Fの開発に当たり、幅広いライダーに受け入れられ、ホンダらしい並列4気筒エンジンの味わいを楽しめるマシンを目指し、エンジンと車体の全てを新設計した。そのスタイリングも、人車に一体感があって、乗り手自らが格好よく見えるバイクを目指している

ホンダ CBR650Fの詳細写真は次ページにて

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