ホンダ CB400スーパーボルドール – 改良の手が緩まない400ccの定番モデル

掲載日：2015年03月19日試乗インプレ・レビュー

レポート／和歌山利宏　　写真／桜井健雄　　記事提供／ロードライダー編集部
※この記事はカスタムNo.1マガジン『ロードライダー』の人気企画『New Model Impression』を再編集したものです

第3世代のCB400SFとなる’08年型から更なる改良を受けた新型CB400SBは、フレンドリーで快適にしてスポーティ、まさに何にでも使えるといった持ち味に磨きが掛けられていた。

改良の手が緩まない
400ccの定番モデル

新しいCB400SB（CB400スーパーボルドール）には、何の予備知識も先入観もなく、試乗を開始した。そして、走った後になってその感想を聞かれ、ハタと困った。

走り始めたとき、走りがこれまで親しんできたCB400SF（CB400スーパーフォア）そのものである（試乗したSBはSFのカウル付きツーリングバージョンだが、SFの乗り味をそのまま受け継いでいる）との第一印象を受けたのだが、そのことで試乗中はその印象に支配されてしまい、うっかり新型車のテストであることを忘れて、ただただ走りを楽しんでいたからである。

苦し紛れに「SFそのものだけど、すごく良くなったSFに乗った気分」と答えながら僕は懸命に、過去の印象を思い出して、今回のそれと頭の中で対比しようとしていた。

で、口から出てきた言葉は「優しい持ち味はそのままに、どこかシャキッとしていて、自分とマシンのやり取りが緻密になって、マシンが忠実に応えてくれる感じ……」というものであった。

言ってみれば、そのことが新型の良さの全てとして差し支えない。でも、僕の仕事はその良さの本質を分析して、自分が理解した上で、紹介しなくてはならない。

というわけで、ここからはさらに手繰り寄せていった試乗印象に、開発スタッフに聞いた変更点を重ねて、紹介していくことにする。

新型はハンドル位置が10mm手前に来て、7mm高くなっている。言われるまで気が付かなかったほどなのだが、その位置はより自然で快適になっていることは確かで、悪かろうはずがない。シート高755mmは変わらず、気負いなく、無理なく足代わりに使える足着き性である。

そして、これまでの400SFの場合には、スロットルレスポンスにはどこかモワッとしたところがあった。それは、ライダーを刺激しない優しさとも取れたフィーリングだが、この新型には優しさの中にダイレクト感が加わっている。

聞けば、サイドカバーの変更によって吸気系が影響を受け、結果的にレスポンスが向上しているとのことだが、これは単なる結果ではなかろう。燃調のリセッティングが必要となったとき、更なる理想を求めたはずであるからだ。ともかく、この秀逸なレスポンスが、マシンの洗練度を高めていることは確かだ。

スロットルでマシンを操りやすくなったことに加え、車体にもダイレクト感がある。フレームはシートレールが補強されて、剛性バランスが改善されているようだ。

それでいて、一切のシビアさはない。これには新設計された前後ホイールの恩恵もあるのだろう。軽快感があるだけでなく、剛性バランスに優れ、走りがしなやかで、ライダーをリラックスさせてくれるのだ。

その上、ハンドリングは素直そのものである。その点で、ネイキッドのSFよりも、このSBはさらに好印象である。カウリングのデザインが刷新され、特に内部の空気の流れも改善されていて、その空気の流れがバイクの挙動に変な影響を与えなくなっているようだ。

その上、グラブバーを左右別体としてシート表皮を変更するなど、使い勝手も改良されている。

CB400SFは’92年に登場、’99年のフルモデルチェンジを挟み、これまで絶えず改良が加えられてきた。厳しくなる騒音排ガス規制に対応しながらも、高い完成度を保ったまま生き残ってきた400ccネイキッドだ。他社の400cc4気筒ネイキッドが、輸出用600ccモデルのスケールダウン版としている中、CBは唯一、日本人好みの2本サス装着の国内専用車でもある。

バイクに乗る若者が少なくなる中で、しかもライバル不在の中で、ここまで改良の手を緩めないことに、思わず拍手したくなる。実際に使えるし、たとえ高速道路を含めた長距離ツーリングでも、排気量への物足りなさはさほど感じないだろう。何より、CB400SB/SFの完成度は名車の域に達している。