

掲載日:2015年03月16日 試乗インプレ・レビュー
レポート/和歌山 利宏 写真/渕本 智信 記事提供/ロードライダー編集部
※この記事はカスタムNo.1マガジン『ロードライダー』の人気企画『New Model Impression』を再編集したものです
ニンジャ250SLは、1年前に東南アジア向きのモデルが発表され、5月にはGPサーキットのセパンで試乗会も行われている。
インドネシアで生産され、先にリリースされた東南アジアでは、車格からして、2ストロークのKRR150(ニンジャRR150)に代わるモデルとしても捉えられている。だから、発表の時点での日本への導入は未定という話にも、納得させられたものである。
だが間もなく、国内導入が発表され、昨秋のミラノショーでは、欧州向けにニンジャ300SLが発表された。ツインの250/300が定評を得ている市場に、なぜシングルのSLを投入しなければならないのか、疑問にも感じたものである。
より価格をリーズナブルにして、多くの人に入手の可能性を与えようというのだろうか? 正直に言って、僕はニンジャ250SLに対しては、その程度の期待しかなかった。
ところが実際に乗れば、投入の狙いは明らかというものだ。最高出力は、ツインの31psに対し、シングルのSLは28ps。3psのハンディさえも、車体が20kg以上軽量なことで補って余りあると言っていい。
ネーミングのSLは、シングルを連想させるが、実はスーパーライト(超軽量)を意味しているという。実際、同車の軽さはこのクラスで群を抜いていて、押し歩きや跨っただけでも驚かされる。ひとつに、この圧倒的な軽量振りが、SLをツインのニンジャ250とは別物のバイクに仕立てているかのようでもある。
しかも、車体はスリムで、それに合わせハンドルグリップも絞られており、軽量級スポーツの世界を思わせる。これまでカワサキには、こうしたスリムさを強調したシングルモデルはあまりなかったはずで、改めて鮮烈に見える。だから、ネーミングのSLにはスリムの意味もあるのでは、と思ってしまったほどである。
それはともかく、そのスリムさのおかげで、ハンドル切れ角がツインのニンジャ250よりも少々大きく、ホイールベースの短さもあって、小回りしやすい。街中の路地でも使い倒せる相棒になりそうだ。
そして発進すると、鼓動感が心地よい。シングルらしい鼓動感を主張しているし、不快な振動はない。それに、低回転域でトルクが結構厚く、日常的に常用できそうだ。
ただ、元気良く走るには、5~6,000rpmに中回転域にトルクの中だるみ感があるので、6,500rpm以上に保ちたい。でも、紛れもなくそこからは、気持ち良い吹き上がり感を楽しめる。引っ張り切れば、レッドゾーンが始まる10,500rpmまで爽快に伸びていくが、10,000rpm辺りでシフトアップすると、加速の繋がりもいい。
ハンドリングは、モト3マシンの世界を疑似体験できると言っていいかもしれない。ともかく、ニンジャ250SLの旋回性は高く、忠実に狙ったラインをトレースできる。
何しろ、バランサー付きのエンジンをリジッドマウントし、剛性部材とするダイヤモンドフレームは、剛性感も良いし、軽量な上に、ホイールベースも断トツに短い。ホイールベース1,330mmは、125ccクラス並みとも言えるが、それは'80年代までのTZ250/350(市販レーサー)と同等。十分な安定性も備えて、操る面白さにも満ちている。
そして、ライバル? ともなるツインのニンジャ250よりも、正確に小さく曲がることができ、小まめにシフトアップしていけば、立ち上がり加速も負けない。試乗会場となったツクバのコース1000で、3psのハンディを感じるのは、ほんの一部の区間だけで、ラップタイムも早いのではないかと感じるぐらいだ。
ワイドレンジに快適に使えるという意味では、ニンジャ250のほうが上手であろう。でも、SLにはスポーツとしての魅力がある。インドネシア仕様のネーミングは、ニンジャRRmono。これもキャラをうまく表現した呼び方だ。
ニンジャ250SLは、KLX250やDトラッカー用の水冷DOHC4バルブ単気筒エンジンを、専用設計のトラスタイプのダイヤモンドフレームに搭載している。車重151kgは2気筒のニンジャ250より21kgも軽く、ホイールベースの1,330mmは80mmも小さいもの。全幅も30mm狭いスリムぶりである
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