ヤマハ VMAX
ヤマハ VMAX
ヤマハ発動機が培った「ものづくり」の集大成

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
写真/磯部孝夫

取材協力/ヤマハ発動機

ヤマハ VMAX – ヤマハ発動機が培った「ものづくり」の集大成

掲載日:2009年05月29日 試乗インプレ・レビュー    

ヤマハ VMAXのインプレッション

ヤマハ VMAXの画像

途方もないパワーを
容易に支配下に置く

決して軽い車重ではない。でも、ことさら重いとも思わない。これが実際に乗っての第一印象である。重量車の場合、とくに低速時でハンドルの切れ込みを見せることがあるが、その手のクセもほとんどなかった。試乗場所が袋井のテストコースということもあり、本来の使い方にそぐわないなと思いつつ、それでも条件反射的に楽しんでいると、思いの外ペタペタと車体を寝かせていることに気が付いた。感覚的にはネイキッド並である。あれだけ重いエンジン積みつつ、よくこれだけの運動性を確保していると思う。MT-01のときも思ったが、ヘビーウエイトな車体をスポーツできるよう卒なくまとめる上手さは、さすがヤマハだ。

ヤマハ VMAXの画像

ペースが上がると、その車重からサスを沈ませる力も大きいようで、低く構えた車高はまずステップから接地し始める。さらに寝かすと、次はサイレンサー後端。ここまで来たら、その先は無理をしない方がいい。サイレンサーの擦り具合如何ではフロントホイールを巻き込んで、バランスを崩す可能性が高い。それにも増して、デザインされたチタンサイレンサーに傷が入るのは忍びない。攻め込んだときのサスペンションは、スポーツバイクのようにしっかりと減衰が効いたものだ。節度ある動きで、車重やトルクに負けず車体を支えている。調整機能が付いているから、リアショックのセッティング次第ではバンク角をもう少し稼げるかもしれない。また6ポッドブレーキも車重やパワーに見合うもので、2速全開からのフルブレーキングでは車体を左右に軽くスネーキング(ゆらゆら揺れる)しながらも、その状態を崩すことなく速度を落としてくれた。作動時はレバーへのキックバックも少なく、なかなか実用的な仕上がりだ。そしてその加速だが、スロットル開度に併せてメリハリある変化を見せる。3000rpm以上で急開すれば、背中を蹴飛ばされたようにいきなり加速を開始するし、開度を絞れば、その分落ち着きを取り戻す。右手の動きにリニアなのはスーパースポーツも同様だが、V MAXは急開時のトルクの立ち上がりが強烈で、シートストッパー部分に尻を当てておかないと身体が後ろに持っていかれる。だが、それでいてどこかしら安心感が伴うのは、強大な加速力に負けない安定性を確保している車体の恩恵によるものなのだろう。仮に、車体を真っ直ぐに保った上でスロットルをしっかりと開けられるのなら、女性でもこのフル加速をたのしめるのでは、と思えたほどだ。このままスロットルを開け続けるとどうなってしまうかわからない…というようなワイルドさはなく、強烈な加速なのだが常にそれを上回る安心感が付いてまわる印象が強かった。加速感も洗練されている。

豪快なバイクである。でもその豪快さも、一昔前の野武士のような荒々しさではなく、現代アスリートのように洗練された上にある豪快さに思える。いまは電子制御システムの進化から緻密なパワーコントロールが可能になり、エンジンの性格付けも意のままに行えるようになった。また騒音や排ガス等さまざまな規制に対応しなくては、大手を振って公道を走ることが許されない。それらをすべてクリアにし、より多くの人がたのしめる日本専用のパワークルーザーとして、ニューV MAXの存在は貴重である。

ヤマハ VMAXの詳細は次ページにて

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