ヤマハ VMAX
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ヤマハ VMAX – およそ四半世紀ぶりのフルモデルチェンジ

掲載日:2009年07月16日 試乗インプレ・レビュー    

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

およそ四半世紀ぶりのフルモデルチェンジ
ヤマハの新たな至宝を味わう

1985年に発表され、長きに渡ってロングセラーとしての地位を守り続けたヤマハの至宝「VMAX」。何者にも似ていない造形美と怒涛の加速力を兼ね備えたVMAX(VMX12)は北米を中心として人気を博し、1990年には日本の交通環境に適合させた「VMAX1200」として凱旋を果している。その後、ほとんど姿を変えることなく人気モデルとしての座に君臨し続けていたことは皆さんご存知の通りだ。そして…。

今年2009年、数年前からモーターショーやモーターサイクルショーなどで展示されていたモックアップほぼそのままの姿で新型VMAX(以下、VMAX)が姿を現した。実に、およそ四半世紀ぶりのフルモデルチェンジ。期待が大きいがゆえに、「本当に日本で販売されるのか?」「販売されたとしても牙を抜かれているのではないか?」など、実物が我々の目の前に姿を現すまではさまざまな憶測を呼んだ。しかし、こうして国内販売に至った現実を噛み締めてみると、1人のモーターサイクルファンとして実に感慨深い。およそ四半世紀ぶりに姿を現したヤマハの新たな至宝。果たして、どのような乗り味なのだろうか。

ヤマハ VMAXの試乗インプレッション

ヤマハ VMAXの画像

「知性」と「野性」
その両方を兼ね備えた猛獣

VMAXを借り受け深夜の靖国通りを自宅に向けて走っていると、混雑した新宿歌舞伎町の交差点で信号に捕まってしまった。ちょうど隣には少々珍しいイタリア製の超高級車が並び、周囲の視線を集めていた。しかし、信号が青になりこちらが一瞬早く前にでた瞬間、イタリア車は人々の視線からそれていく。そのときはじめて、注目を集めていたのはVMAXの方だったことに気づいた。はっきり言って、新宿の靖国通りをトロトロ流しているぐらいでは、排気音も静かでジェントル。音で注目を集めるような存在ではない。しかし、「並」のバイクとは違う、ただならぬオーラが人々の注目を集めてしまうことは確かなようだ。VMAXとはそういうバイクなのだ。

31度のキャスター角と300kgオーバーの車体重量ゆえ、極低速ではフロントまわりの取り扱いに慎重さが要求されるVMAX。しかし、歩くような速度域を抜けてしまえば感じ方は一転。ビシッとした安定感と直進性、想像以上に従順なハンドリングと扱い易いブレーキで、巨体を自由自在に操れるのだ。148N・m(15.1kgf・m) /6,000rpmという強大なトルクを発生するエンジンでありながら、ライダーの予測しないトルク変動が皆無であるため、タウンスピードでは疲労も少ないし身構える必要もない。躾の行き届いた非常に知性的な乗り物だ。しかも、最新の4バルブDOHC・V型4気筒エンジンでありながら、クランクがゴロゴロと転がっている感触はとても味わい深く、どこか懐かしい。試乗した経験はないが、先代もこうだったのだろうか…。

ヤマハ VMAXの画像

さて、VMAXが本来持ち合わせている「野性」を剥き出しにするのは、やはり右手を積極的に動かせるステージだ。高速道路上のVMAXは、アクセルを開けるとガツッとタイヤが路面を捉える感触があり、その後は怒涛の加速を開始する。勢いに乗ってしまうと、あのゴロゴロとした感触を残したまま、タコメーターの針は一挙に跳ね上がってしまう。時折強烈な光を発するシフトタイミングインジケーターが「油断せずにちゃんとシフトアップしろ」と警告してくる。到達速度は同じであっても、車重300kgオーバーのVMAXが悠然と加速していくフィーリングは、軽量なスーパースポーツのそれとは異質のものだ。一方、ワインディングでのVMAXは、兼ね備えた「知性」と「野性」を程よく使い分けながら、豪快かつスマートにスポーツライディングの相手をしてくれる。少しでも路面が荒れていると頻繁にABSを作動させてしまうが、しなやかな足回りが状況の変化を先読みしていたかのように対応。路面を執拗に捉えて放さないため、狙いどおりのポイントで車体を倒し込める。あとは余裕のトルクでコーナーを脱出すれば、相当スポーティなライディングとなるはずだ。意外なことに、どんなに飛ばしても乗り心地が良く平和な時間が続くため、オーナーとなる方には相当な自制心が必要となるだろう。

ヤマハ VMAXの特徴は次ページにて

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