【Page2】2007 ZEPHYR 750 Final Edition Limited

掲載日:2010年01月18日 特集記事カワサキ「ザッパー系」至上主義    

記事提供/2009年6月1日発行 絶版バイクス1
■取材協力/輪生館 Phone 045-591-4648

remember zeppan bikes

カワサキ「ザッパー系」至上主義

愛おしく想えるのは「最終限定」だからなのか!?
無くなって初めて気が付く事の重大さ……。

一昨年の12月、2006年12月に届いたプレスリリース、その内容は「ゼファー750/1100の生産中止」を伝えるものだった。それと同時に、両モデルのファイナルエディションが「火の玉」グラフィックを採用し、発表された。イエローボールが登場したときに「何故、ファイヤーボール=火の玉カラーじゃないのか?」少々疑問に思ったが、イエローボールが登場したときすでに、終焉の「カタチ」は決まっていたのだろう……。

 

ゼファー750の発表は鮮烈に覚えている。90年の初夏、当時、クラブマン誌の編集スタッフだった僕らにとって、ゼファー750の登場は待ちに待ったものだった。当時はレーサーレプリカ全盛時代。ネイキッドと呼ばれるモデルは数少なく、クラブマン誌では、大量の里帰り車でカスタムシーンが盛り上がりつつあったカワサキZ1やローソンレプリカ、Z1000Mk-?カスタムなどなど「カワサキ空冷マルチ」を中心にしたカスタム企画を数多く展開していた。

 

そんな中で、いつも話題に挙がっていたのが、「新車で買える艶っぽいバイクが欲しい!!」という、まさしく新車待望論だった。様々な市場動向を見据えたカワサキが、満を持して発表したのがゼファー750だった。ナナハンクラスのバイクで気負うことなく、フツーに走れるスタンダードバイクが無かったあの時代。ゼファー750は、発売と同時に大ヒット商品となり、その後の充実化は、ご存知の方も数多いことだろう。

 

気が付けばあれから18年。今回、「絶版バイクス」なるバイク雑誌を創刊するにあたり、僕は迷うことなくザッパーからゼフャー750への流れをテーマにした特集企画を組もうと考えた。高校生の頃、Z2オーナーだった僕は、いつもザッパーの瞬発力に泣かされていた。やっぱり「次世代エンジンは淒い!!」と関心させられたものだ。

 

ところが、そんな次世代エンジンも30数年の時を経て、ついに絶版である。僕にしてみれば「次世代エンジン、されど絶版…」というのは、なんとも言えない妙な気分である。

 

最終ゼファーのファイナルエディションを見ると、さすがに18年前の初代モデルとは比較にならないゴージャス感が漂う。数年前のマイナーチェンジでブラックエンジンになったことで、エンジンが締まった雰囲気になり、ブラックアウトのフレームとエンジンとのマッチングは最高だ。

 

聞くところによれば、「無くなって初めて事の重大さに…」といった潜在的なゼファー750ファンが、今になって慌ててゼフャー750を探しをしていて、僅かこの1年間で、高年式ゼファー750の中古車相場は一気に高騰。初代モデルにしても、相場的には決して安くない印象だ。仮に、物陰に潜んでいた新車が市場にでてくると、なんとも100万円オーバーでも争奪戦だというから恐れ入る。

 

日本のバイクメーカーから登場するニューモデルが、ここ10年以上、あまりにも期待はずれなものが多いため、数多くのフャンがフツーのスタンダードバイク。カッコイイバイク。言わばゼファー750のようなバイクの価値を再確認しているのだろう。バイクメーカーから魅力的なニューモデルが次々登場すれば、こんな絶版本が創刊されても成立するはずがないのだが……。なんとも皮肉な時代である。

 

田口勝己

 


 

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索