【Page3】KAWASAKI Z650B1 1976

掲載日:2010年01月18日 特集記事カワサキ「ザッパー系」至上主義    

記事提供/2009年6月1日発行 絶版バイクス1
■マシンオーナ一/Shigeki ARIYASU有安繁騎

remember zeppan bikes

カワサキ「ザッパー系」至上主義

時代を先読みした軽量コンパクトエンジン搭載
「ザッパー」の愛称で親しまれた初代Z650B1モデル。

76年秋の発表発売から78年春まで生産されたZ650B1。当時のカワサキはモデルを跨いで同じグラフィックパターンのカラーリングを採用するケースが多かった。新車価格43万5000円。

 

Z1の完成直後から開発が進められ、おおよそ4年後の1976年に発表された初代Z650B1。
Z1/Z2やライバルであるホンダCB750と比べて、明らかにコンパクト設計だったザッパーは「走り屋」と呼ばれる玄人ライダーに絶賛された。このモデルがザッパー系歴史の始まりとなるZ650B1である。

初代Z1/Z2シリーズやライバルであるホンダのCB750Fourシリーズ(Kシリーズ)と比べて、驚くほど軽量コンパクトにまとめ上げられているZ650。開発がスタートした当時のメインマーケットは、圧倒多数のライダー人口を抱えた北米市場であり、初代Z1も北米市場の意向を汲み、開発されたのは有名な話である。69年に登場したCB750は、北米市場に大歓迎され、過去にない圧倒的なセールスを記録。72年に発売されたZ1は、後発モデルだけにすべての面でCB750を超える魅力を備え、これまた大成功を得た。

 

この日本製の2台のビッグバイクが台頭する以前は、トライアンフやBSAの英国製650ccのバーチカルツインが主役だった。それらの英国製ツインと比べて、圧倒的なパフォーマンスを誇ったCB750とZ1だが、取り扱い易さや軽快性という意味では、明らかに650ccクラスのツインに軍配が上がった。

 

キャンディーカラーを積極的に使ったカワサキは、初代B1にキャンディーエメラルドグリーンとキャンディースーパーレッドを用意。B1はボトムケースの前にキャリパーが付く。

キャンディーカラーを積極的に使ったカワサキは、初代B1にキャンディーエメラルドグリーンとキャンディースーパーレッドを用意。B1はボトムケースの前にキャリパーが付く。

 

USカワサキにとって、W1で負けた650ccクラスは、相変らず魅力的な市場だった。そんなUS市場から英国製ツイン以上の軽快性とパフォーマンスを持った「4気筒モデル」を望む声が高まった。すでに4気筒エンジンで成功を収めている750ccのホンダを、900ccという上級排気量で上から押さえつけ、650ccというミドル排気量で下から突き上げる。まさに「挟み撃ち」できる650ccモデルの意義は大きかった。そして誕生したのがZ650“ザッパー”である(ちなみにホンダは900ccを上から押さえるGL1000で対抗。誕生当初の初期型GL1000はツアラーではなくスーパースポーツだった!!)

 

ここに紹介するZ650は、初期型のB1モデル。78年春の初度登録から乗り続けられること30年。まさにワンオーナー車である。大切に維持され続けている様子は、愛車として磨き込まれている形跡からも理解できるはずだ。バックミラー(純正バックミラーは大切に保管されている)とブレーキホース以外は、新車当時からのオリジナルパーツのままだそうだ。今見ても、初代ザッパーには開発者たちの意気込みや気合を感じ取ることができる。

 

「過剰品質」と呼ばれたZ1/Z2シリーズは、名実ともに大きな存在だ。一方で、当時の状況(第一次オイルショックが到来)や現実をしっかり見据え、時代を先読みしていたザッパー系エンジンには、ある意味「賢さ」を感じずにはいられない。「Z1/Z2VSザッパー」、おそらく大人気のZ1/Z2に軍配が上がると思うが、ザッパーには、ザッパーでしか味わうことのできない「切れ味と鋭さ」があるから、やはりザッパーは正真正銘の名車である。

 


 

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