
掲載日:2009年03月02日 特集記事
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FZ1シリーズの真の姿は
遊べるスポーツバイクなのだ
「数字にとらわれていると真の姿が見えないバイクだな」街乗りから、高速道路、そして峠道。サーキットを除き、日本のライダーが走るであろう全ての環境を一日で走った後に思い浮かんだのはそんな言葉だった。
この2台にはベースとなった輸出仕様が存在する。最新スーパースポーツの180馬力に次ぐ、150馬力の強力なエンジンを与えられたスポーツバイクだ。エンジン、骨格ともにスーパースポーツをベースに持ちながらストリートでの乗りやすさと、アクションライドまでこなすパワフルさをかね備えたオールラウンダー。欧州ではエクストリームと呼ばれるカテゴリーに分類され、そのキャラクターと高い完成度で世界的にヒットを続けている。
優れたバランスをもつ輸出仕様のパワーを2/3にしただけのモデル。
カタログスペックから読み取れるのは、そんなネガティブな印象が多かった。仕様変更を受けたのはエンジンのみ。圧縮比を落とし、吸排気のセッティング変更で中速域でのコントロール性に重点をおいて開発されている。それらの全てが、トップパフォーマンスを欲しているユーザーに高性能をアピールするには説得力に欠けるものに感じたのだ。
実際、僕もこのインプレを書く為に初めて乗った。バイクの良し悪しはスペックを見たって分からない、乗ってみなければ本当の性能は見えてこないもの、ということは経験上では理解しているが、正直その穏やかなスペック表の数字に触手が動かなかった。理解しているつもりでいたが、試乗を終え、相変わらず数字には弱いということに恥ずかしさを感じた。それが冒頭の言葉なのだ。
「スポーツバイク=速さの追求」ではこのバイクを理解できない。
「スポーツしたくなる=スポーツバイク」という図式に置き換えると、このバイクの素晴らしさがわかる。
細かなフィーリングは後述のインプレッションで紹介するが、このバイクの美点は、何よりもアクセルへのリニアな反応。それは、アクセルグリップに直結したレスポンスというより、頭で思い描くパワーフィールに直結しているような感覚なのである。街中での低中速で微妙な速度調整を強いられる状態から、峠のコーナーを美しく速く駆け抜けることに没頭している時でも、それは変わらない。アクセルを開けた時に必要なトルクがタイムラグ無く湧き上がり、高回転から急にアクセルを閉じた時にも神経質なバックトルクをライダーに感じさせない特性。これらは圧縮比を下げ、50馬力と引き換えに得たこのバイクの面白さであり、最大の美点だ。
日本の峠でバイクと一体感を持ちながらラインに集中してバイクを走らせる。バイクを停めて休憩したとき「ガハハッ」と笑える程よい緊張感。これこそ正統なスポーツバイクと呼ぶに相応しいと思う。(クラブマン編集部/齋藤 康治)
SPECIFICATIONS
■エンジン種類 = 並列4気筒水冷4ストロークDOHC5バルブ
■排気量 = 998cm3
■ボア×ストローク = 77.0mm×53.6mm
■最高出力 = 69kW[94PS] / 9,000rpm
■最大トルク = 80N・m[8.2kgf・m] / 7,500rpm
■変速機形式 = リターン式6段
■全長×全幅×全高 = 2140×770×1060【1205】mm
■軸間距離 = 1,460mm
■シート高(最低地上高) = 815(135)mm
■車両重量 = 219kg 【225kg】
■燃料タンク容量 = 18L
■キャスター/トレール = 25°/109mm
■タイヤサイズ(F・R) = 120/70 ZR17(58W)・190/50 ZR17(73W)
※【】はFAZER
FZ1 ◎ 99万7500円
FZ1 FAZER ◎105万円
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