
カスタマイズのベースとして高い人気を誇るヤマハSR400。だが、インジェクション化された現行モデルは、改造が難しいとも言われている。もっと自由にカスタムを楽しみたい! そんなユーザーの声に応えて、オーヴァーレーシングから現行SR用のカスタムパーツが大量にリリース。思う存分SRカスタムを楽しもう!!
誕生から約40年を経たヤマハSR。発売以来、大きく形を変えることなく、これほど長く愛され続けてきたバイクは他にない。SRの魅力のひとつに「カスタムのしやすさ」がある。アフターパーツが豊富で、ボルトオンパーツを装着するだけで、様々なスタイルのカスタムマシンを作り上げることが出来るのだ。
ヤマハ60周年アニバーサリーモデルをベースに、オーヴァーレーシング製パーツを装着したデモ車。SRのオーセンティックな要素と、現代的なスポーツバイクのテイストが絶妙なバランスで同居している。
だが、このところSRカスタムの勢いに陰りが見える。いや、SRという大きなくくりでみれば、依然としてユニークなカスタムマシンが次々と生み出されてはいる。だが、現行モデルに限っては少々事情が異なる。
2010年モデルから吸気システムがインジェクション化された。インジェクション化を選んだことで、モデルイヤーを伸ばすことが出来たわけだし、それ自体は歓迎できる話。しかしインジェクション化に伴って補記類が増え、キャブレター車用のパーツは物理的に装着できないものがあったり、マフラーなどは法規制の問題で公道での使用が不可であったりという問題が出てきたのだ。
そんな、現行SRユーザーの悔しい思いを吹き飛ばすように、オーヴァーレーシングから現行SR対応のパーツが大量に登場した。マフラーやステップといった定番パーツはもちろん、マシンをスタイリッシュに飾るビレットパーツ、さらにはエンジンチューニングなどにも対応するビッグスロットルボディキットや、オーリンズ製フロントフォークに対応するステムキットなど、バラエティに富んだラインナップを誇っているのだ。
オーヴァーレーシングではそれらのパーツを装着したデモ車を製作。これがなんともカッコイイ。今回、そのマシンに試乗する機会を得た。
サスペンションを大きくグレードアップさせたSR。コーナーでの安定感は段違いで、積極的に攻め込んで走りたくなる。セパレートハンドルとバックステップの生み出す、スポーティなポジションも素晴らしい。
ヤマハの創業60周年を記念して発売された特別仕様車をベースに、基本的にボルトオンパーツの装着だけで構成されたマシンだが、実にスポーティな仕上がり。「もしヤマハからスポーツバージョンのSRが発売されたら、こんなバイクなのでは?」というコンセプトが盛り込まれていると聞いて納得だ。
そのスポーツバイクテイストを象徴するのが、セパレートハンドルとステムキットだ。サスペンションのトップメーカーであるオーリンズ製のフロントフォークを装着可能にするキットだが、単純に大径のフロントフォークに対応したものではない。フォークオフセット量をノーマルから3mmショート化。トレール量の増大により、安定性を向上させている。
前輪への荷重がかけやすく、スポーティな走りが可能なセパレートハンドルだが、幅が狭く押さえ込みが効きにくくなるので、トレール量増は必須。ここで誤解して欲しくないのは「安定性向上=運動性低下ではない」こと。旋回性を損なうようなことはないし、安定性が高まったぶん思い切って攻めていける。走りを楽しみたいならコレしかない! と思わせる設定なのだ。さすがオーヴァーレーシング、バイクの作り方を分かっている。
マフラーによって強調された、ビッグシングルらしい鼓動感が楽しい。高回転域のパワーアップは顕著で、ついつい回して走りたくなってしまうが、扱いやすさも損なわれておらず、街乗りやツーリングも楽しめる。
マフラーは現代的なテールアップスタイルを採用。SR用マフラーというと、ノスタルジックなデザインが大多数。だからこそ、オーヴァーレーシングのマフラーの個性が際立つというもの。性能と音の良さは、ここで改めて語るまでもないだろう。太く、鼓動感が強調された走りは、これぞビッグシングルと満足できるものだ。
また、このマシンのインジェクションは、オーヴァーレーシングが独自開発したビッグスロットルボディが装着されている。スロットルボアはφ46mmというビッグサイズ。より多くの空気とガソリンを取り込むことで、パワーアップは確実だ。専用のサブコンピュータがパッケージされたキットとして販売予定とのこと。エンジンチューニングにも対応可能なシステムだから、インジェクション世代のSRカスタムの世界を大きく広げてくれるはずだ。
もはや出尽くした感のあるカスタムSRだったが、オーヴァーレーシングのマシンに試乗して、こんな手があったかと感服した。新機軸を実現したのは、装着されたパーツがハイレベルであることに間違いはない。スタイリッシュで質感に優れ、機能面、性能面での確実な裏付けがあるのが素晴らしい。オーヴァーレーシングのSR用パーツ、選んで損はない逸品だ。
大径φ46mmボアを誇るビッグスロットルボディ。エンジンチューニングの可能性を大きく広げてくれるパーツだ。これから、どんなSRカスタムが飛び出してくるのか、楽しみで仕方ない。
「SRはカスタマイズの素材として人気の高いバイクです。ですが、カスタム車はキャブレター時代のモデルがほとんど。インジェクション化された現行モデルは改造しにくい、というユーザーさんの声が少なくなかった。せっかくイジるのが楽しいバイクなのに、それではもったいない。現行SRでも、どんどんカスタムを楽しんで欲しい。だから、新しいパーツを開発したんです」
そう語るのはオーヴァーレーシングプロジェクツ代表の高橋篤史さん。オーヴァーレーシングの新しいSR用パーツは、インジェクション世代のSRに完全対応。しかも、マフラーから足周り、ビレットパーツまでラインナップは豊富。現行SRオーナーも、思い切りカスタムを楽しむことができるのだ。
GP-PERFORMANCE XL チタンコンプリート 12万2,040円(税込)
軽量なチタン製エキゾーストパイプとカーボン製サイレンサーを採用。重量わずか2.02kgと、ノーマル比で約7kgも軽量。オーヴァーレーシングではSR400(FI)用マフラーを11タイプもラインナップしている。
ステム&スポーツライディングハンドルキット 20万5,200円(税込)
オーリンズ正立フォーク対応のステアリングステムとセパレートハンドルをパッケージ。バーハンドル用のステムキット(17万2,800円・税込)もあり(オーリンズ製フォークは付属しない)。
ステムキットには、オーリンズ製正立フォーク用のフェンダーステーと、ブレンボ製40mmピッチキャリパー用サポートが付属する(オーリンズ製正立フォーク、ブレンボ製キャリパー、フェンダー本体は付属しない)。
BACK-STEP 4ポジション Type-2 BLK 7万6,680円(税込)
150mmBACK/65mmUP、140mmBACK/65mmUP、145mmBACK/75mmUP、135mmBACK/75mmUPの4ポジション。純正ドラムブレーキロッドに対応。純正マフラー、純正タンデムステップ使用不可(シルバーは7万4,520円・税込)。
スプロケットカバー チェンジアシスト付 4万2,120円(税込)
ソリッド感溢れるアルミ削り出し。シフトロッドをサポートするチェンジアシスト機能を持ち、シフトタッチが向上する。開口部が大きく、スプロケットやチェーンのメンテナンス性も向上。
Swingarm Type-6 14万5,800円(税込)
軽量で高剛性なアルミ製スイングアーム。バネ下重量を軽減し、サスペンションの作動性を向上させる。形状の異なるType-1(12万4,200円・税込)もあり。
オイルフィラーキャップ 9,720円(税込)
アルミ削り出しのオイルフィラーキャップ。マシンをスタイリッッシュに飾る。
カムチェーンテンショナー 9,180円(税込)
アルミ削り出しのカムチェーンテンショナー。冷却フィン付きで、エンジンの冷却をサポートする。
タペットカバー 1万4,040円(税込)
シリンダーヘッドにワンポイント、アルミ削り出しのタペットカバー。冷却フィン付きで、エンジンの冷却効率を高める。
フロントスライダー 1万800円(税込)
万が一のアクシデントの時、車体のダメージを軽減。プロテクション性に優れる樹脂製コーン部と、アルミ削り出し製のマウント部で構成。
タンデムステッププレートキット 1万800円(税込)
ノーマルのタンデムステップが使用不可のマフラー装着時に、タンデムステップを移設するキット。左右セット、取り付けボルト&カラー付属。ブラックアルマイト仕上げ。
ビッグスロットルボディキットは、スロットルボディ、専用エアクリーナー、サブコンピュータをセットで販売予定。発売は今春で、予定価格は15万0,000円。サブコンピュータは、パソコン不要で単体でのセッティング変更が可能。