取材協力/オーヴァーレーシング 取材・文/淺倉 恵介 撮影/木村 圭吾 構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
掲載日/2014年3月12日


125cc人気を牽引するホンダのグロム。キビキビとした走り、他に無いユニークなデザインは、カスタムベースとしても人気。
各メーカーから続々とカスタムパーツがリリースされているが、
大本命オーヴァーレーシングが満を持してグロム専用パーツを大挙して登場させた。このパーツ攻勢は見逃せない。

FEATURE

オーヴァーレーシングから
待望のグロム用パーツが登場

ユニークなデザインと軽快な走りで、発売以来大人気のホンダGROM(グロム)。カスタムの素材としても注目を集めており、この度オーヴァーレーシングから、グロム専用のスペシャルパーツが大量リリースされた。

トップクラスのレースエントラントとして、またシャシーコンストラクターとして、その技術力の高さが広く知られているオーヴァーレーシングは、総合パーツメーカーとして幅広い車種を手がけており、ミニバイクも得意分野のひとつだ。

グロム専用パーツとしてラインナップするのは、マフラーやバックステップといったカスタムの基本パーツをはじめ、同社の得意とするアルミ製のハンドメイドスイングアームや、高品質なアルミ鍛造ホイール、スライダーなど、実にバラエティに富んでおり、そのどれもが魅力的。

 

オーヴァーレーシングはグロムに“本気”だ。パーツ開発者にそのポリシーを聞き、同社製パーツを装着したグロムも実走インプレッション。オーヴァーレーシング製グロム専用パーツの魅力に迫ってみよう。

INTERVIEW

開発者に聞く
グロムというバイクが持つ可能性

豊富なパーツラインナップを誇るオーヴァーレーシング。その、オーヴァーレーシングで、パーツの企画開発に携わる山本さんに、グロム専用パーツの開発についてお話しを伺った。

 

「オーヴァーレーシングでは様々なバイクのパーツを造っていますが、その中でもミニバイク用パーツは重要視しているジャンルのひとつです。おかげ様で、モンキーやゴリラ用のパーツは、かなりのご好評をいただいています」

ミニバイク用パーツはオーヴァーレーシングの人気パーツ。マフラーやステップはもちろん、モンキー用のアルミ削り出し製オリジナルフレームは、モンキーカスタムの世界では憧れの逸品だ。

 

「今回、グロムを手がけることにした理由は、やはりグロムというバイクが素材として魅力的だからですね。走らせてみる前は、スタイルだけのバイクかと思っていたんですよ。とにかく、デザインがユニークですからね。ですが、実車が手元に来て実際に自分で乗ってみたら、想像していたものより全然走りが良かったんです。オーナーさんなら実感されていると思いますが、エンジンが思った以上にパワフルで、本当によく走る。これは、面白い! と、本格的にパーツを造ってみようということになりました」

 

そうして登場したのが、まずはマフラーだ。次いで定番パーツのステップ、アルミ製のスイングアームやアルミ鍛造ホイールまでラインナップに加えられた。これはもう、ビッグバイク用ハイエンドカスタムパーツと同レベルで、ミニバイク用パーツの範囲を超えている。オーヴァーレーシングは、何故そこまでグロムに力を入れるのだろうか?

 

「ミニバイクのカスタムと言うと、今までの王道はモンキー/ゴリラですよね。グロムは、その王道を継ぐことができる、次世代のモンキー/ゴリラになれるバイクだと思うんです。それだけの素材の良さがあります。長い期間、じっくりとカスタムを楽しめるバイクだと思いますから、当社としてもユーザーの皆さんに、存分に楽しんでいただけるクオリティのパーツを造らねばならない、と考えています」

 

なるほど、グロムにかける気合いが伝わってくる。オーヴァーレーシングが展開するグロム用パーツに要注目だ。

山本 裕之さん
オーヴァーレーシングのオリジナルパーツ開発における中心人物。主に、ビレットパーツやスイングアームの企画開発を担当。バイクに関する幅広い知識と経験を持つエンジニア。

  • GROM専用のマフラーは2タイプ。それぞれアップタイプ、ダウンタイプが用意され、計4種をラインナップする。写真はTT-Formulaアップタイプで、エキゾーストパイプからサイレンサーまで全てが専用設計品。

  • ビッグバイクのハイエンドカスタム用と同様のクオリティを持つアルミ鍛造ホイール。コンベンショナルな6本スポークデザインのGP-SIXと、レーシーな10本スポークデザインのGP-TENの2タイプを用意。

IMPRESSION

剛性感の高い乗り味と
心地良いエキゾーストノート

今回、オーヴァーレーシング製のパーツが装着された、オーヴァー・コンプリートとも言えるグロムに試乗する機会を得た。走りはじめる前に、まずはマシンの周りをぐるりと一周してみる。このオーヴァーレーシングが手がけたグロムは、やはり雰囲気が違う。グロムというバイクは、デフォルメが効いたユーモラスなスタイリングが売りだ。本来はパフォーマンスがポイントになるバイクではないだろう。それが、マッシブさを増し、精悍なイメージを漂わせている。ステップをはじめとする、質感の高い削り出しパーツの存在もさることながら、やはりスイングアームとホイールの存在感が段違いだ。マシンが「面白いだけじゃないよ。オレは走るよ」と、主張しているようだ。

それではとマシンにまたがり、シフトペダルを踏み込んだところで驚いた。シフト操作のダイレクト感が違うのだ。これは剛性の高いステップのなせるワザだ。オーヴァーレーシングのグロム専用バックステップは、見るからに肉厚なアルミを使用して造り込まれている。ルックスの面でもグロムの無骨なイメージにマッチしているのだが、見た目の力強さだけでなく、実際に剛性が高く、節度あるシフト操作を実現しているのだ。バック&アップされたステップ位置も気持ちを盛り上げてくれる。

 

走り出して、まず楽しいと感じられるのが、やはりエキゾーストノートだ。ノーマルマフラーの少々情けない排気音とは違い、シングルらしい、歯切れの良いサウンドを奏でてくれる。低音が強められ、丸みを帯びたサウンドは、125ccという排気量を忘れさせる迫力あるもの。それでいて、音量はキッチリ法規制内に収められているところが嬉しい。パワー的には出足からスムーズ。ピークパワーの上昇もさることながら、高回転域でもパワーがタレずに回り切るところまで伸びていくのだから、もうたまらない。ただ回っているだけのノーマルマフラーとは、そこが違うのだ。

 

剛性の高いスイングアームとホイールのおかげで、マシンを振り回す時の軽快かつシャッキリ感のある足回りが好印象。ボルトオンパーツだけで、これだけマシンが変わるというのも凄い。オーヴァーレーシングの底力を、改めて思い知った。今後の商品展開にも期待せざるを得ない。

【写真左】アルミ鍛造ホイールと、スタビライザー付きのアルミスイングアームは、どちらも軽量で高剛性。スタビリティと路面追随性の向上により、走りの限界を高める。ホイールは軽量かつ高剛性な、鍛造アルミニウム製。高圧で鍛造成形されたブランク材を切削加工で仕上げたもの。ビッグバイク用カスタムホイールと同様な製法だ。

【写真右】バックステップは総削り出し製。精度に優れ非常に高い剛性を誇る。ステップ位置は4ポジションから選択可能。自分好みのポジション構築が可能となっている。

SPECIAL PARTS for GROM by OVER Racing Projects※表示価格は2014年3月時点のものです
  • TT-Formula フルチタン アップタイプ 価格:7万3,500円(税込)
    エキゾーストパイプとサイレンサーにチタンを使用するフルチタンマフラー。スポーティなテールアップスタイルを採用。重量2.0kg、音量 近接83db/加速78db。政府認証マフラー。

  • TT-Formula フルチタン 価格:6万9,300円(税込)
    エキゾーストパイプとサイレンサーにチタンを使用するフルチタンマフラー。重量1.92kg、音量:近接83db/加速78db。政府認証マフラー。

  • TT-Formula Type-S アップタイプ 価格:6万900円(税込)
    ステンレス製エキゾーストパイプとチタン製サイレンサーを組み合わせたフルエキゾーストマフラー。スポーティなテールアップスタイルを採用。重量2.48kg、音量:近接83db/加速78db。政府認証マフラー。

  • TT-Formula Type-S 価格:6万900円(税込)
    ステンレス製エキゾーストパイプとチタン製サイレンサーを組み合わせた、スタンダードタイプのフルエキゾーストマフラー。重量2.36kg、音量:近接83db/加速78db。政府認証マフラー。

  • BACK-STEP 4ポジション タンデム付 SIL 価格:6万3,000円(税込)
    ステップ位置は、115mmバック/40mmアップ、120mmバック/50mmアップ、110mmバック/50mmアップ、105mmバック/40mmアップの4ポジション可変。STDリアブレーキマスター、STDリアブレーキホース対応。タンデムステップ付き。ブラックアルマイト仕上げ(6万5,100円)も有り。

  • BACK-STEP 4ポジション SIL 価格:万9,350円(税込)
    ステップ位置は、115mmバック/40mmアップ、120mmバック/50mmアップ、110mmバック/50mmアップ、105mmバック/40mmアップの4ポジション可変。STDリアブレーキマスター、STDリアブレーキホース対応。タンデム不可。ブラックアルマイト仕上げ(5万1,450円)も有り。

  • スイングアーム OVタイプ スタビ付/STD長 価格:7万1,400円(税込)
    高剛性で軽量なスタビライザー付きアルミスイングアーム。ピポットにはベアリングを内蔵し、スムーズな作動性を実現。長さはノーマルスイングアームに準拠。STDホイール、OVERホイールに対応。STDリヤブレーキ対応。スタビ無しタイプ(6万900円)も有り。

  • エンジンスライダー 価格:2万3,100円(税込)
    φ43-35mm×L57mmのジュラコン製スライダーを、アルミ削り出しのベースプレートにセット。万が一の転倒時に、車体へのダメージを最小限に抑える。左右セット。ベースプレートがブラックアルマイト仕上げのエンジンスライダー ブラック(2万4,150円)も有り。

  • GP-TEN ホイールセット 価格:13万6,500円(税込)
    高圧鍛造で成形したアルミブランク材から、高精度削り出し加工で製作。10本スポークデザイン。前後セット。サイズはフロント2.70-12、リア3.50-12。重量はフロント1.75kg(STDは2.75kg)、リア2.46kg(STDは3.3kg)と超軽量。カラーはブラック、チタン、ゴールドの3タイプから選択可能。

  • GP-SIX ホイールセット 価格:13万9,650円(税込)
    高圧鍛造で成形したアルミブランク材から、高精度削り出し加工で製作。6本スポークデザイン。前後セット、サイズはフロント2.70-12、リア3.50-12。重量はフロント1.9kg(STDは2.75kg)、リア2.65kg(STDは3.3kg)と超軽量。カラーはブラック、チタン、ゴールドの3タイプから選択可能。

  • マフラーステー 価格:8,400円(税込)
    オーヴァーレーシング製BACK-STEP専用のマフラーステー。オーヴァーレーシング製ダウンタイプのマフラーに対応。タンデムステップ取付け不可。同価格でブラックタイプも有り。

株式会社
オーヴァーレーシングプロジェクツ

1982年創業の老舗のパーツメーカー。ミニバイクからビッグバイク、クルーザーにいたるまで、幅広い車種に対応するパーツをラインナップする。マフラーを始め、ステップなどビレットパーツや、スイングアームなどのシャシー用パーツ。ホイールまで自社生産する高い技術力を誇る、総合バイクパーツメーカー。

住所/三重県鈴鹿市国府町石丸7678-5
電話/059-379-0037
FAX/059-378-4253
営業時間/09:00-19:00
定休日/第2・4土曜日、日曜日
WEBサイト/http://www.over.co.jp/

 

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