掲載日:2016年01月19日 トピックス
執筆/坂下浩康
初めて上京した日に上野から山手線に乗ったら目の前に従兄弟が立ってて……うわ。ビックリした~。とりあえずウチで飲もうよ。富士見荘って名前のくせに富士山見えない築30年のアパートだけど……とか、電車に駆け込んだら水戸黄門(初代)みたいな笑い方をする中学時代の同級生がいたりとか(銀座線)、電車で寝てて「ハッ」と起きたら目の前にギターウルフの元マネージャーが立ってたりとか(半蔵門線)、人生にはときどき、大中小いろんな偶然が舞い降りますよねえ。ってことで佐藤和弘君の大きめの偶然話をひとつ(not電車)。
おもてなし感ゼロな都内某所の高架下で語るカズヒロ君。よく取材先で「今どき?」みたいな顔されるんだけど本誌特捜班(1人)はテープレコーダーを愛用しています。ちなみにハタチの大学生とかを取材する時は「今どき?」じゃなくて「なんすかこれ?」みたいな顔をされます。これは君が見る最初で最後のテレコだよ。そう思うと感無量っす。
25歳くらいの時、仕事辞めて昼間もスゴく時間があったんで近所の幹線道路をふらふらしてたら、亀田(※新潟県)あたりで三重ナンバーのVMAXと会ったんだわ、荷物満載かつ集合付いてて大騒ぎな感じの。
俺もVMAX。だから赤信号で並んだ時、「カッコいいねそれ」って声掛けたの。したら「いやそっちも」とかって感じで青になり、また赤信号で「どこいくの?」「北海道」つって信号4つ目か5つ目で「このへんにキャンプ場ない?」って聞かれたんで、テント張っても大丈夫そうな河川敷に行ったんだわ。
いいとこ見つけたんだけど、俺ヒマじゃん。「ここもいいけどウチ来る? ここから近いし、泊まってってもいいよ」つったら「え!?」って感じだったけど、ほんじゃ行くべって2人で俺んちに20分かけて戻り。そのほうが酒飲んだり話いっぱいできるじゃん。
そうね。聞いたら時間を作って旅に出たと。北海道が好きだと。俺は俺でその1週間後くらいに旅に出ようと思ってた。なんとなくVMAXで九州に行こうかなって感じだったんだけど、ソイツが北海道が面白い面白い言うわけ、やたらと。
そうね。飲んでバイクの話ばっかして、起きて次の日、近くの道の駅までお見送りしながら、慌てて握ったオニギリを2つ渡し。
紙に書いて連絡先交換した気もするし何もしなかった気もするんだけど、「またどっかでね」つって別れた。お見送りするまでは九州に行くつもりだったのに、1週間後、いよいよ旅に出るって時になって急に北海道もいいかもねってスイッチが入って。
でもVMAX乗ってたら免許なくすか命なくすかする気がしたんで、もう1台持ってた50シーシーのベンリイで行くことにした。新潟から青森のフェリー乗り場まで470キロ。出発の日が土砂降りで13時間くらい掛かったけど、朝6時に出て夜9時のフェリーにはビッシャビシャのグッチャグチャで間に合った。北海道上陸しても雨雨雨でもうどうにもなんなかったけど時間だけはあるし、走る気マンマンだったし。
キャンプしながら1週間ちょっと。9月の頭に毎年出てる集会があったんでそれまでには帰らなくちゃいけない。で、ぼちぼち帰らないとっつー5、6日目。確か十勝岳の山の中だったと思うんだけど、十字路の交差点を右折したら信号待ちしてるVMAXと目が合って、VMAXの人が「え!?」ってなった瞬間に俺も「お!」ってなって、その時だけ時間がすげースローモーションで流れて。
そう。俺ジェッペルだったから顔出てたし、変な色に塗ってたベンリーも彼がウチ泊まった時に1回見せてるからなんとなく印象に残ってたみたい。で、たまたま信号の角にあったコンビニに入って手上げたら向こうも振り返して入ってきて、「何やってんの!?」って。君に北海道が面白い面白い言われてしばらく考えたら面白そうな気がして来ちゃったんだと。
10日から2週間ぐらい。俺は九州行くって言ってたから彼の頭の中にはいないわな。聞いたら彼はまだ北海道来て3日目くらいだった。
山形あたりの湖で休憩中、可愛い娘がいて話し掛けたんだって。そしたら彼女んちに1週間ぐらい世話になることになったとかで「だからまだ来たばっかりなんだよ」って。でも俺もう帰るとこだよって(笑)。
30分くらいしゃべって紙切れに連絡先書いてもらったけど、どこの誰だかはさっぱり覚えてない。
……フクダ……みたいな名前。つかまあ「またどっかで会えればね」って。
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