掲載日:2015年11月11日 トピックス
執筆/坂下浩康
アナタはバイクを盗まれたことがありますか?
オラは一度だけあります。
愛車じゃなくて代車でした。愛車を修理に出したバイク屋さんが貸してくれたFZ250フェーザー。水冷4サイクル直列4気筒DOHC4バルブの250シーシー。
発売当時は「4スト版RZ」と言われた。
テストコースではRZ250を追い回した。
16,000回転まで回る高回転型エンジンの元祖。
小ぶりな車体から女性ライダーが多かった。
って今のは全部Wikipediaには書いてあったんだけど、そうなんだ!? 知らなかった。つか16,000回転までビンビンに回るって言われても、乗った記憶が全然ない。
絶対乗ってますよ。会社に来るのも仕事も遅い先輩に待たされて朝5時くらいに大田区南雪谷から大崎の千代田グラビヤと市ヶ谷の大日本印刷に原稿届けたりしてますよ。
でも不思議なことに、「どんなバイクだった?」って聞かれても答えられない。
もしかしたら物凄く楽しい瞬間があって、「欲しい!」とか思ったかもしれない。
でも覚えていないんだ君のことを僕は。
覚えてるのは、「バイクがねえっ!」って瞬間から数10秒続いてサッと消えた変なドキドキ、変な血流、変な血流により後頭部の一部が熱くなってる感じ。
「バイクがねえっ!」って衝撃がフェーザーの記憶を全部かき消しちゃったんだなあ。
バイクが盗まれてるってそれくらい尋常じゃない出来事なんだよクソバカ野郎!(←バイク泥棒に言ってます。読んでないでしょうが)
ということで、バイクを盗まれ、腰が抜けるような瞬間を4度も味わいながらもメゲずにバイクに乗り続ける不屈の男、鈴村修庸君のお話です。
「洗ったパンツをたたんで置いとくといつも上になってるのから穿きやがってムカつく」とか旦那の悪口を言い合うオバちゃんはまだ現れない平和な朝8時のファミレスにてインタヴュー。
あまり名誉なことじゃないですね
4回中2回は完全に俺のミスですよ。ロックしてなかったり、家の前にそのまま置いてたり。
そうですよね。
21歳の時、GS400ですね。その頃はおふくろの社宅に住んでたんですけど、下がバイク置き場みたいになってて。シャッター付きだから大丈夫だろうって高をくくってたらシャッター壊されて。
第一発見者は兄貴で、朝仕事に行く時、シャッターがちょっと開いてておかしいなあって中を見たらGSがねえと。俺の仕事は朝そんなに早くなかったんで家にいたんですけど、出掛けたはずの兄貴がすぐに戻ってきて「盗まれてるぞ!」と。
そんな感じで警察呼んで。その日は仕事休みました、ショックすぎちゃって。
ライフスタイルがなくなってるのは……。昼間シャッター開けっぱなしだと丸見えだし、よく軒先でイジってたし、でっかい街道沿いだったんで目をつけられてたと思うんですよ。
こっちが暴力受けてないからただの窃盗で処理しときますって感じでした。すぐにスクーターで近所を探し回ったけどまず見つからないですよね。ホント、いいことひとつもなかった。シャッター壊されたのは俺のバイクのせいだから弁償しろっておふくろに言われてモメたり。
2台目は22歳の時のセロー。家の前にハンドルロックもせず、カバーもかけずに置いといたら、たぶん外人さんが持ってったんじゃないかなあ。「あ~、やられちゃった~」ぐらいでさほど気にしてないんですけどね。
GSは2年くらい持ってたかな。大きい事故もやったけど30、40万掛けてフレーム修正して乗ってたから愛着があった。
5万以下で買った通勤用だし、あんまショックなかったです。今はどっか海外で活躍してくれてるんじゃないすかね(笑)。でも働かないと次のバイクも買えねえなと。
次は24歳の時、今住んでるとこに引っ越してからのT500ですね。買って1年半くらい経った頃、乗ってたらダイナモが壊れて片肺になって走らなくなった。しょうがないんで押してたら、クルマに乗ったチンピラみたいなのがずーっと後ろをついてくるんですよ。
見られてたんでしょうね。でも出てきた。1回バッテリー充電して走ってみたけどやっぱ片肺になって捨てちゃったんじゃないかと。T500ってGT750とかサンパチと共通のパーツもあるんで、めぼしい部品だけ持っていかれて外装はそのまま。倒されて傷だらけだったけど買ったお店が下取ってくれたんでZを買ったんです。でもそのZの改造中にまた1台盗まれて。
26歳の時でしたね。でっかいの乗りたいなって手に入れたXJ750。ハンドルロックはしたけどカバー掛けずに置いといて。色とか似てるし、400と間違えて持ってったんじゃないかなあ。それもマフラーと外装だけ外されて出てきたんですよ。窃盗されたっぽいバイクが駐輪場の端っこに何台も置いてある某所の団地から。
管理がずぼらだからですかね。今も(※平和極まりない日曜日の朝8時)何も気にせずそこらに置いてるし。
どんだけロック掛けても目付けられたらダメですよ。
クルマでバリケード作ったり、誰かと仲良くなっても住んでるところは言わなかったりしますね。まあ、ノーマルに戻せないくらい滅茶苦茶イジってれば誰も手を出さないんじゃないですか。
「フレーム切ったり貼ったりで、カタチは違えど僕のもチョッパーですから」という鈴村君。取材後は堂々というかずぼらな歩道駐車からモーニングクルーズに出発。ズボラってカタカナにするとそこそこ手ごわいウルトラ怪獣っぽいな。
【2014年4月取材】
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