掲載日:2015年05月13日 トピックス
文・写真/Ryo Tsuchiyama
取材協力/Deus Ex Machina
今年は世界6大陸の会場で同日開催されたBike Build Off(BBO)。日本開催は各国からも大きな注目を集めていたハズ。
オーストラリア・シドニーで発祥したブランド、Deus Ex Machina(デウス・エクス・マキナ)。サーフ、アート、バイクのエッセンスを融合させたアパレルラインやショップ展開で、いま世界中のストリートライダーが注目しているブランドだ。2014年末には東京・原宿に日本初の店舗がオープンし、国内での認知度も急上昇中。そんなDeusが主催するカスタムコンテストがBike Build Off(BBO)である。2013年、シドニー、ヴェニス、バリ、ミラノの4大陸で始まったBBO。それが今回はシドニー、ロス、ミラノ、バリ、バンコク、東京と各地のヘッドショップが、それぞれのエリアでコンテストを世界同日開催するという壮大なスケールにまで成長した。
G.W真っ只中の5月3日、日本会場となった江ノ島を望む鎌倉市の七里ヶ浜駐車場には約90台のカスタムバイクが集結した。
「お金をかけず、何にもとらわれず、己の工夫と果てることのない情熱で作り上げること」
このテーマに賛同できるビルダーであれば、プロでもアマでもOK、もちろん車種の縛りは一切ない。そんな自由な空気に加えて、七里ヶ浜という絶好のロケーションや、見学は誰でも無料というオープンな雰囲気も手伝って、地元のサーファーや観光客も数多く会場を訪れていた。既存のカスタムショーとは一線を画すその風景は、異なるカルチャーとの高い親和性を持つDeusのブランドフィロソフィーを代弁するようでもあった。
Streetrideでは、日本初開催となったBBOの模様をシューティング。来場者数1500人、見学にやって来たバイクは500台と、初回ながらビッグなイベントとなったこの日。バラエティに富む車両や、多彩なゲスト審査員もイベントも見所。行けなかった方はしっかりチェックして欲しい。
ちなみに、今回は各国の入賞車両の中から、インターネットの投票で世界一のカスタムバイクを決定する流れ。つまり、Bike Build Offのお楽しみはまだ残されているというワケだ。果たして栄冠を手にするのは……。
この日の鎌倉は朝から快晴! ご覧のように真夏のような日差しが照りつけた。
目の前には七里ヶ浜、そして遠くには江ノ島を望む七里ヶ浜駐車場。各国のBBO開催地の中でも指折りのロケーションだろう。
カフェ、スクランブラー、チョッパーとありとあらゆるカスタムバイクが集まった会場。既存のショーとは違う空気が新鮮だ。
エントリーの多くはプライベーターたちのセルフビルドだが、プロショップ製作のマシンもあり、振れ幅の広いショーとなった。
この日会場で目立っていたのは125cc以下のミニバイク。サーフ系からスクランブル系まで自由な発想のマシンが集まった。
スラムドスタイルのクレアスクーピー。圧巻は120サイズのタイヤを履くリアエンド! 加工ワイドホイールだろうか。
会場で人だかりが絶えなかったスペイシー50。ストックのボディのまま極限までロワードしたスタイルには誰もが目を奪われる。
エントリーした車両は搬入時にDeusのオフィシャルカメラマンが全車を撮影。いずれWebサイトにもUpされるのだとか。
最近何かと話題のスクランブラースタイル。こちらのBMWはオーリンズの倒立フォークを投入してハイテク感を演出。
ご存知、HOTBIKEジャパン誌の編集長である池田伸氏も愛車のパンチョッパーでBBOにエントリーしていた。
アメリカのローカルレースを走っていそうな雰囲気のトライアンフ。ユニットエンジンにはCRキャブをセットアップ。
テッズ・スペシャルが持ち込んだのは極東製のエンジンを積むオートレーサー改! こんなマシンが見られるのも楽しい。
こちらのCL400はロケットカウルにシングルシートのカフェレーサー。ウイングマーク入りのタンクはCB250RSの流用か?
オールドスクールテイストなペイントが目を引いていたショベルカスタムはArrows Paint Fortから。
オートレーサーや海外のスピードウェイレーサーのテイストを落とし込んだGX250。ナローなフォルムがいい雰囲気だ。
一見するとカフェ風味だが、ワイドな前後リムとロングスイングアームでニュースクール的スタイルにも見えるSR。クール!
日本では珍しいAJS製の250ストーマー。2ストロークエンジンを搭載する60年代のモトクロッサーなのだ。
会場の七里ヶ浜駐車場は、湘南エリアの大動脈である国道134号線の目の前。付近を通過する行楽客の注目も高かった。
バイクでの見学者は会場すぐ隣の駐車場が利用できた。しかも見学は無料! 朝から数多くのフリーク達が押し寄せた。
交通量の多い国道134号線沿いとあって混雑も予想されたが、スタッフ達の的確な誘導で大きな混乱もなくイベントが進む。
いい感じにヤレたCB250エクスポートでやって来た女性。ヘルメットやゴーグルのチョイスが渋い!
11時の開場と同時に一般駐車場はご覧の状態に。Deusのイベントらしく、ジャンルレスといった雰囲気である。
駐車場で目立っていた1台。タンクやテールカウルにクラシックテイストを感じるBUELL X1ライトニングのカスタム。
イベントを主催したDeus。もちろん会場ではブースを出展し、様々なDeusロゴ入りグッズを販売。
Bike Build Off限定のTシャツも3種類販売された。この日一番人気だったのは、このバックプリントが入ったバージョン。
ゲスト出展としてHOT-DOCK Custom CyclesとKen’s FactoryのK1600GTLの姿も。会場にはサーファーの姿も多かった。
Brat Styleが2014年に製作したRoot Beerもゲスト展示エリアに。その作りこみに見入る観客多数。
同じくゲスト出展の46Works。これは代表の中嶋氏がLegend of Classicなどで走らせているMoto Guzzi V7Ambassador改。
先日、Deus原宿の向かいにコンセプトショップが出来たScrambler Ducatiもブースを出展。話題の新車に注目が集まる。
カスタムバイク向きのラインナップも数多く揃えるメッツェラーもブースを出展。エントリー車の中から特別賞もチョイス。
愛犬と暮らす生活をテーマにドッググッズやアパレルを揃えるWolfgang Man&Beast。イベントの雰囲気にもマッチしていた。
ご存知Brat Styleのブース。HRCSで展示したXS650改のほかVMX仕様のSRやオリジナルアパレルも販売していた。
ボトムリンク車オンリーの旧車レース『BOBL(Battle of Bottom Link)』参戦車両を多数展示していたのはCurry Speed Club。
会場の一画にはケータリングエリアも。写真のTHUMBS UP GENERAL STOREは豪華なハンバーガーを販売し大人気。
出展車両の見学に疲れたら、海風を浴びながらチルアウト……。どこかのんびりした空気もロケーションがなせる業か。
Bike Build Offにエントリーした車両すべてに、エントリーNoを記したタグ。実はこれもBBOの仕掛けのひとつ。
BBOではPeople’s Choiceも実施。これは投票用紙で、ここにお気に入りのバイクのエントリーNoを記入して投票するのだ。
People’s Choiceはイベント目当ての来場者はもちろん、通りすがりの地元の人でも投票OKという自由なスタイル。
本部ブースに用意された投票箱。もちろん筆者も一票を投じた。これだけでイベントに参加した感が倍増するから面白い。
大のバイク好き、俳優の伊勢谷友介さんは審査員としてイベントに参加。製作者もアピールポイントをここぞとばかりに力説!
Cherry’s Companyの黒須嘉一郎さん(右)、ラジオパーソナリティのトムセン陽子さん(左)も審査員として各車をチェック。
二輪洋書・絶版書専門店『Cool Beans! Classic Books(CBCB)』を営む白井祐樹さん(中)も審査員のひとり。
先ほど紹介した4人の審査員とDeus本国のカービー・タックウェル氏を合わせた計5人で、Bike Build Off入賞車両を選ぶ。
審査員の審議が終わったところで表彰式が始まった。まずは特別賞のメッツェラー賞の発表から。
メッツェラー賞の鈴木聡平さんのW650改。M&M’s Motorcyclesが製作した、まさに王道のスクランブラーカスタムである。
注目のPeople’s Choiceはスペイシーを製作した木下敏之さん。プレゼンターはDeusディレクターのカービー氏(右から2番目)。
People’s Choiceに輝いたスペイシー50。ストックのボディ&ホイールを生かしたスタイルには脱帽! 誰もが納得の受賞だった。
鎌倉生まれでサーファーとレーサー、両方の顔を持つ江本陸さん(右)が七里ヶ浜ローカル賞を発表。左は受賞者の高原栄三さん。
高原さんが製作したのはリトルホンダP25(!)。公道走行に必要な最小限のパーツで、唯一無二の世界観を築き上げていた。
BBO入賞者に渡されるトロフィーはChabott Engineeringの木村信也氏のハンドメイド! これはグランプリ受賞者に。
2位受賞者へ渡されるトロフィーは、ギアプーラーがモチーフ。セルフビルドを楽しむイベントらしいトロフィーと言える。
こちらは3位受賞者のトロフィー。当然だが、どのトロフィーも世界にたった一つしかない。
前出のCBCB主宰の白井さんが3位入賞者を発表。スーパーカブでトライアルマシンを製作した小野令夫さんが選ばれた。
小野さん製作、C70ベースのトラ車。これで各地のトライアルイベントで競技に参加している。遊び心に溢れる1台だ。
Cherry’s黒須さんが2位入賞者を発表。選ばれたのは、inuchoppersという屋号を持つプライベーターの田代桂さん。
田代さん製作のエボスポ。ファンネルや犬のエンブレムは自宅の庭で鋳造(!)、エンジンフィンも手で削って丸くしたという力作。
伊勢谷友介さんがグランプリを発表。受賞したのは、ST50M改でエントリーした下山海太郎さん&林太郎さんの兄弟ビルダー。
マンションの5階でビルドしたというDAX。お金をかけずにアイデアとセンスで組み立てた、まさにBBO精神を体現した1台。
受賞者と審査員全員で記念写真。ロケーションや参加者のレベルを見ても、日本初開催のBBOは大成功だったことは間違いない。
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