掲載日:2017年12月06日 トピックス
取材協力/EICMA 2017 文/Ryo Tsuchiyama 写真/バイクブロス・マガジンズ
11月7日からイタリア・ミラノで行われた『EICMA2017(ミラノショー)』のハスクバーナブースの様子をじっくりお届け。
ハスクバーナ(Husqvarna)は1903年に創業した歴史あるスウェーデンのブランド、2013年からオーストリアのKTM傘下に入りオフロードバイクを中心にラインナップを拡充している。いまハスクバーナが力を入れているのはストリートバイクへの回帰だ。2014年のミラノショーで新しいコンセプトの375ccストリートバイク「VITPILEN 401(ビットピーレン401)」と「SVARTPILEN 401(スバルトピーレン401)」のコンセプトモデルを発表。それ以降は毎年ミラノショーで両車の発展版を展示し、市販に向けて進化を重ねる姿を発表し続けてきた。
今年のミラノショーでハスクバーナはついに、VITPILEN 401とSVARTPILEN 401の市販版を発表した。さらに401シリーズの大排気量版として、693ccのエンジンを搭載するVITPILEN 701とSVARTPILEN 701も会場で発表。他社のストリートバイクとは完全に一線を画す独創性のあるデザインを持つ両車は、ストリートバイクへの回帰を強めるハスクバーナにとって大きな武器となりそうだ。
ここからはSVARTPILEN 701の写真を中心に幅広いオフロードモデルのラインナップを誇るハスクバーナブースの様子を写真で紹介していこう。
ミラノショーではKTMの隣にブースを構えるハスクバーナ。KTM傘下とはいえ、ブースの雰囲気はもちろん、プロダクツの方向性も大きく異なっている。
カンファレンス冒頭でアンベールされたのは、VITPILEN(ビットピーレン)701。VITPILENとは、スウェーデン語で「白い矢」を意味する。
VITPILENが搭載する排気量693ccの4ストローク単気筒エンジンは、KTM690シリーズに搭載されるLC4エンジンがベースで、最高出力55kW(75hp)、最大トルク72Nmを発生する。クロームモリブデン鋼のトレリスフレームもKTM690がベースだが、外装のデザインは完全に独自のもの。
カンファレンスの最後にステージ上でSVARTPILEN(スバルトピーレン)701コンセプトがアンベールされた。
スウェーデン語で「黒い矢」を意味するSVARTPILEN(スバルトピーレン)。シンプルで無駄を削ぎ落としたストリートバイクとして発表されたSVARTPILENは、ハスクバーナが1955年に発売したSILVERPILEN(シルバーピレン)へのオマージュだという。
フロントフェンダーレス、ゼッケンプレートのように薄いヘッドライト、一体感のあるタンク&シートに幅広のアップハンドルなど、SVARTPILEN 701のスタイルはまさしくフラット・トラック(ダート・トラック)マシンのそれ。
SVARTPILEN 701の車体左サイドは、マフラーやゼッケンベース風のサイドパネルがない分、シンプルさが際立つ。その洗練されたスタイルに多くのメディアが注目!
SVARTPILEN 701は、VITPILEN 701同様にエンジンやフレームはKTM690シリーズがベースとなる。
フロントホイールは18インチで、リアホイールを17インチとするSVARTPILEN 701。倒立フォークのインナーチューブをガードするプロテクターもフラット・トラックシーンから影響を受けた装備。ブレーキはシンプルなシングルディスクだ。
ゼッケンプレートにLEDライトを埋め込んだフロントマスク。燃料タンクはとても独創的なデザインで、VITPILEN/SVARTPILEN各シリーズに共通するアイコンでもある。
シートカウルは車体右サイドにのみゼッケンプレートと一体化したようなデザインに。エアクリーナーが露出するようなサイドカバー形状に遊び心を感じる。ショートタイプのサイレンサーはゼッケンプレートの角度に合わせて跳ね上げられている。
左右非対称のシートカウルがよく分かる。SVARTPILENはテールランプのデザインもアヴァンギャルド。サイレンサー内部、排気口が7本あるのも面白い。
こちらはVITPILEN 701の市販予定車。とてもコンパクトな車体で、日本人にとっても親しみやすいサイズと言えそう。
ハスクバーナのプレス資料から。VITPILEN 701は、VITPILEN 401とSVARTPILEN 401とともに、2018年の早い段階で欧州での販売が決定している。日本導入にも期待がかかる!
ヘッドライトはもちろん、メーター形状も独創的なデザイン。VITPILEN/SVARTPILENシリーズの洗練されたスタイルを手がけるのは、オーストリアに拠点を置くデザイン会社KISKA(キスカ)だ。KISKAはハスクバーナの親会社KTMの車両デザインも担当するほか、ヘルメットメーカーのSCHUBERTH(シューベルト)や自転車パーツメーカーのMAGURA(マグラ)、光学機器メーカーのZEISS(ツァイス)など様々な工業製品のデザインも手がけている。
近未来のカフェレーサーといった出で立ちのVITPILEN 701。いままでにない新しいスタイルの提案だ。
こちらは375ccエンジンを搭載するVITPILEN 401。
VITPILENシリーズを新しいカフェレーサーとするならば、SVARTPILENはオフロードのエッセンスを盛り込んでいる。写真のSVARTPILEN 401は、ヘッドライトガードやブリッジ付きハンドルを装備したストリート・スクランブラーだ。
ここからは、ハスクバーナのブランドイメージを長年支えてきたオフロードモデルを中心にご紹介。写真は4ストエンデューロマシンのFE250。
2ストロークエンジンのマシンも新車をリリースしているハスクバーナ。写真はエンデューロレーサーのTE300i。燃料供給はキャブレターではなくFI(フューエル・インジェション)。
2ストならではの軽さを武器にして日本のエンデューロレースで使用するユーザーも多いTE250i。これもFI仕様のエンジンだ。ちなみにTE300iとともに2ストロークオイルについては分離給油方式を採用している。
ハスクバーナのモトクロッサーシリーズでフラッグシップとなるFC450。
エキゾーストシステムはFMF製で、エキパイ部分にはサブチャンバー(レゾネーター)を設けている。かつては別体式サブチャンバーだったが、近年はエキパイと一体化している。
4ストモトクロッサーのFC350。4ストモトクロッサーはこのほかにFC250もラインナップしている。
2ストモトクロッサーのTC125。125ccながら40馬力を発生するエンジンは、キャブレター仕様だ。
モトクロス入門用として最適な2ストローク・85ccモデルもラインナップ。こちらはTC85というマシン。ハスクバーナのオフロードモデルは、モトクロス・エンデューロのカテゴリそれぞれで2スト・4ストのラインナップを持ち、とても充実している。
ハスクバーナといえばスーパーモタード、という方もいるだろう。現在もモタードレース用マシンをラインナップしているのもハスクらしい。写真はFC450ベースに足周りをモタードに特化したレース専用車のFS450。
こちらは701 ENDURO(エンデューロ)をベースにしたナンバー付きモタードモデル、701 SUPERMOTO(スーパーモト)。
軽量な車体とパンチのあるエンジンで日本でもオフロードライダーに人気の701 ENDURO(エンデューロ)のオプション装着車。701 ENDUROシリーズはシート下が燃料タンクとなる独特の車体構成だ。
こちらは701 ENDURO(エンデューロ)にオプションのビッグタンク、パニアケースなどを加えたツーリング仕様。
シート後ろに見えるのが純正燃料タンクの給油口。この車両はソフトケース装着のための専用ステーが追加されている。
一般的な燃料タンク位置にビッグタンクを追加、さらにハンドルポストにはナビゲーションシステムを装備している。
こちらはMXGP(世界モトクロス選手権)に参戦するハスクバーナワークス(Rockstar Energy Husqvarna Factory Racing)のFC450。写真はGautier Paulin(ゴーティエ・ポーラン)のマシン。
アメリカで開催されているAMAスーパークロスの250イーストクラスで2017年のチャンピオンを獲得したZach Osborne(ザック・オズボーン)のマシンも海を越えて展示。ゼッケン#1Eがチャンピオンの証。ハスクバーナは、KTMとともにモトクロスの世界でも強さを見せ始めている。
ダカールラリーにもワークス参戦しているハスクバーナ。1月6日にスタートするダカールラリー2018用のワークスマシンFR450も展示されていた。このマシンはエースライダーのPablo Quintanilla(パブロ・クインタニーリャ)用だ。Pabloは2016年のダカールラリーで総合3位に入賞した実力派チリ人ライダー。
ブースにはハスクバーナの純正アパレルコレクションも展開していた。写真はスーパーモタード用のレーシングスーツとヘルメット。
左はラリー&ツーリング用の上下セットアップで、右は最近力を入れているカジュアル・ストリートライン。ハスクバーナの純正ウエアのデザインも、バイク同様にとてもスタイリッシュな印象を受けた。
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