掲載日:2016年10月13日 トピックス
取材協力/株式会社エム・エス・エル
取材・写真・文/淺倉恵介
日本は言わずと知れたモーターサイクル大国。様々なモデルが生産、販売されているが、海外専用モデルとして、今まであまり存在が知られていなかった魅力的なモデルも数多く存在する。それは主に、アジア市場向けに開発された小排気量モデルだ。
エンジンの排気量は150ccから200ccが中心で、日常使用ではタフな仕事もこなしつつ、乗り手が楽しめる十分なパワーも発揮する。それにコンパクトな車体で取り回しの良さと扱いやすさも抜群。生産は人件費の安い海外に拠点を置くことで、車両の価格もリーズナブルに設定できる。
もともとシティコミューターとしてのモデルが多いこの排気量クラスは、ビギナー向けのエントリーモデルとしてはもちろん、ベテラン向けのセカンドバイクとしても最適だ。
そんな魅力的なモデルの数々を、東京の大手車両販売店として知られるMSLゼファーが輸入し、新たなカテゴリ『軽軽二輪』として提案している。アフターサービスも万全の体制で普及に力を入れているのだ。そんな思い切り楽しめる新ジャンル、軽軽二輪を一気に見ていこう。
※価格は2016年10月現在です。
※試乗ライダーの身長は163cm、体重は57kgです。
※「5つ星評価」は編集部の独断であり車両の性能を表すものではありません。
ストリートファイター的なスパルタンなルックスのパルサー200NS。このクラスの中では大柄な車体で、乗車姿勢にも余裕が持てるし走行時の安定性も高い。サスペンションにも落ち着きがあり、250ccクラスのマシンと比べても遜色ない走りが可能だ。
エンジンの排気量は200cc。他と比べて少し多めの排気量のおかげで走りもパワフル。低回転からトルクがあり、実に扱いやすい。エンジンで特徴的なのがトリプルプラグを採用した点火システム。点火力を高めることで燃焼効率の向上を狙っている。完全燃焼に近づけることで排気ガスの清浄化も見込んでいる。
生産はインドのバジャジが担当し、開発も主に同社で行われている。そこにカワサキが手を加えて仕上げられた、2社のコラボレーションで作り出されたモデルだ。バジャジというメーカーは聞きなれないかもしれないが、KTMのスモールデュークシリーズの生産を請け負っている企業と聞けば、走りの良さも納得だ。
日本国内では生産が終了し、もはや新車の入手は不可能と思われていた2ストロークエンジンを搭載。だが、海外ではわずかに生産が続けられている。このニンジャ150RRもそのなかの1台だ。MSLが輸入開始をするとの報に、飛び上がって喜んだ2ストロークファンも少なくなかった。
エンジンは、排気量149ccの2ストローク水冷単気筒。最高出力は29PSだから、4ストロークの250ccクラスに比肩するパワー。そして、2ストロークならではの加速感の強さに、なんとも言えない楽しさを感じる。試乗車はチャンバーが変更されていたせいか、エンジン特性がより高回転型になっており、いかにも2ストロークといった感じのピーキーな特性が楽しめた。
フレームはコンベンショナルなスチールパイプ製のダブルクレードルタイプ。重量物となるフルカウルを装備していても、車重は134kgと軽量だ。ハンドリングは割と安定志向。車体が軽いと、ライダーのアクションに対しマシンが過剰反応を示すことがあるが、思い切ってマシンを振り回せていける安定感がある。
“最後の2ストロークスポーツ”として話題のニンジャ150RRの兄弟車的存在のネイキッドスポーツ。単純にカウリングを取り去っただけのモデルではなく、車体から見直した、本格的なネイキッドスポーツに生まれ変わっている。ニンジャ150RRと比較すると、全長で25mm、ホイールベースで30mm長くなっているところからも、独自のキャラクターが与えられていることがわかる。
エンジンは基本設計を共有するが、最高出力はわずか下げられた27.9PS。その分、パワーバンドが広げられており扱いやすい。街中でも、2ストロークエンジンならではの胸のすくような加速感を味わえる点では、十分以上に魅力的と言えるだろう。また、重量は122kgとカウルが無い分だけ軽量なところも見逃せない。
中回転域からパワーとトルクが立ち上がってくるので、どんなシチュエーションでもライディングプレジャーを感じられる。惜しむらくは純正装着タイヤがプアなところ。よりハイグリップなタイヤを履かせてやれば、無敵のシティランナーになるだろう。
人気のファンバイク、Z125PROのエンジンをボアアップして排気量を134ccまで引き上げたモデル。もちろんピークパワーも大きくなってはいるのだが、もともとが高回転域を得意とするエンジンではないので、排気量アップにともなうトルクの増大こそが、このマシンの肝となる部分だろう。
4速リターンのミッションは、各ギアがかなり離れたワイドな設定。「流す」走りには良いが、スポーツ走行を楽しみたい時などは、繋がりが悪いと感じる部分がある。Z150PROでは力が増した分だけ、パワーバンドを活かしやすくなっている。
そして大きなメリットとして上げられるのは、原動機付自転車の軛(くびき)から解き放たれたことだろう。排気量アップで分類が原付2種から軽二輪に変わり、自動車専用道路の走行が可能になった。やはり、使い勝手の面で高速道路を使用できるのは大きなポイント。小さなZの遊び方を大きく広げた、軽軽二輪化なのだ。
カワサキでは、小型二輪カテゴリのデュアルパーパスモデルとしてKLX125をラインナップしているが、海外モデルでは基本的に同じ車体に150ccエンジンを搭載したKLX150が存在する。そのエンジンをさらにスープアップしたのがKLX170BFSPだ。
KLX125から比べると、そのパワーの差は歴然。加速力のたくましさは、あらゆるシチュエーションで使い勝手の良さを上げている。コンパクトな車体に変わりはないから、デュアルパーパスモデルとしての足つき性は良い部類だし、トレッキングなどのオフロード走行では、かなりの威力を発揮してくれるだろう。
また、フロントに21インチホイールと倒立フォークが採用されていることも見逃せない。KLX125のフロントホイールは19インチ、フルサイズのオフロードモデルはフロント21インチが一般的なので、タイヤのラインナップも豊富。自分の使い方に合わせて、好みのキャラクターのタイヤを選べるようになったのは大きい。街乗りもオフロードランも楽しめる1台だ。
ホンダの中国工場で生産されているネイキッドスポーツ。経済規模の拡大とともに、バイクへの興味も飛躍的に増大している中国向けのマシンだけに、力の入った作りが魅力だ。特に注目すべきは豪華な装備。ヘッドライトにはLEDを採用。フロントフォークは倒立式を装備している。
ボリューミーなフォルムはクラスを超えた存在感を放ち、実際にライディングポジションも成人男性がリラックスできる余裕のあるもの。ただしステップ位置が低すぎるのか、攻めた走りをすると簡単に接地してしまうのが気になるところ。しかしステップ周りはカスタマイズの定番箇所。社外パーツの登場を待つのもいいだろう。
エンジンは排気量184ccの4ストローク空冷単気筒。最高出力は控えめだが15.3Nmの最大トルクは軽軽二輪クラスでは最大級。高回転まで引っ張るよりも低中回転域のトルクを活かした方が速くて楽しい。車体の剛性感も高く、ワンクラス上の高級感が感じられるマシンだ。
エッジの効いたデュアルヘッドライトが印象的な、シャープな顔つきがなんともレーシーなCBR150R。従来モデルでは、CBR250Rとイメージを共有する丸みを帯びたフォルムを持たされていたが、2016年にデビューした現行モデルからは兄貴分を凌ぐスタイリッシュなルックスを手に入れた。
先鋭化したのはスタイリングだけではない。4ストローク水冷単気筒エンジンの最高出力17.1PSは9,000回転という高回転で発生。「回してナンボ」の本格的シングルスポーツモデルなのだ。フレームはトラス構造を採用したスチールパイプ製ダイヤモンドフレーム。剛性も十分に高く、安定性とコーナーでの機敏な運動性を見事に両立している。パッケージとしてのスポーツ性の高さはピカイチだ。
装備も豪華で、ヘッドライトやウインカーはLED。フル液晶のメーターにはギヤポジションインジケーターも装備。表示切り替えで、多様な情報の表示が可能だ。ハンドルスイッチには、このクラスには珍しくパッシング機能も備えている。
バリオ150は、直線と鋭角を多用した未来的なフォルムを持つスクーター。車重109kgという軽量さで取り回しは抜群に良い。フットスペースの上方に突き出した部分がなく、50ccクラスのスクーターのようにフラットなところが好ポイント。女性がスカートを履いている時でも気兼ねせずに乗車できる。ここは日常の使い勝手で大きな差が出る要素なので見逃せない。ただし前後長はあまりないのが惜しいところ。シートは大きく座り心地も良好。全体的にコンパクトなので、小柄な人や女性にはとくにお勧めだ。
最高出力は馬力に変換すれば13PS弱といったところなので、数字の上ではライバルに比べると若干アンダーパワー。そうは言ってもシティコミューターとしては十分なスピードを備えているので安心していい。動力性能を補う意味でも、軽量な車体は効果的なのだ。コーナリングは実に軽快だし、ブレーキも良く効く。コンパクトで軽量な車体を活かしてヒラリヒラリと街を駆け抜けられる。
シリーズのフラッグシップであるT-MAXに通じるデザインのN-MAX155は、125ccエンジンを搭載する国内モデル、N-MAXの兄弟車だ。ヤマハではMAXシリーズを一般的なスクーターではなく、スポーツバイクとカテゴライズしているが、N-MAX155も高い走行性能が自慢。
走行性能と環境性能の両立を目指したコンセプトで新開発されたブルーコアエンジンを搭載し、可変バルブ機構まで備えている。かなりの高出力で、実際に走ってみると加速の力強さに驚かされる。
剛性感がしっかりとした車体は安定感があり、サスペンションの動きも落ち着きがある。かといって鈍重で曲がらないバイクということではない。コーナーではタイヤへの荷重を意識した走りが可能で、旋回も機敏。調子に乗って攻め込むとスタンドが接地してしまうので要注意。この走りの楽しさはヤマハが示す通り、立派なスポーツバイクなのだ。
ヤマハ製スポーツバイクの頂点、YZF-Rシリーズの1台であるYZF-R15は、現行モデルが2012年デビューなので、ライバルに比べるとモデルイヤーは長い。それでも旧さを感じさせないエクステリアは、さすがヤマハデザイン。また走りの面でも一線級のモデルだ。
直接のライバルとなるホンダCBR150Rとは、同じ149ccの水冷単気筒エンジンを搭載。最高出力こそ0.1PS劣ってはいるが、最大トルクは1.3Nmも上回っている。動力性能は最新モデルと比べても互角以上と言っていい。
フレームはスチール製ながらヤマハ伝統のデルタボックスフレーム。スイングアームはアルミ製だ。ポジションは比較的大柄なので窮屈さを感じることはないだろう。ヤマハならではのハンドリングの良さは健在で、コーナー進入時にスッとフロントが入り、マシンの走行ラインはキレイな弧を描いてくれる。サスペンションの動きはもう少し落ち着きが欲しいとも感じるが、それでもパッケージでみれば見事にまとまっている。
ストリートファイター的なスタイリングのネイキッドスポーツ。ベースとなっているのはYZF-R15で、エンジンや車体の基本コンポーネンツはYZF-R15譲り。だが乗り味は全く異なる、M-SLAZ独自の仕上げだ。
車格はコンパクトだがシート位置は高め。走っていても重心の高さが感じられる。フロントフォークのセッティングが柔らかめなこともあり、なんとなくMT-09に通じる乗車感がある。近年のヤマハ製ネイキッドスポーツのトレンドなのかもしれない。ハンドリングは実に軽快で、クルクルと向きを変えてくれる。小回りが得意だから街乗りには最適だし、ジムカーナ的な遊び方も楽しいだろう。
パワー特性は比較的フラットで、回転域を意識せずにシフトチェンジしても、何事もなく走ってしまう。面白いのは高回転域で、6,000回転あたりから上を使うとレスポンスがよく、爽快に回ってくれる。コミューターとしても優秀でスポーツライディングも楽しめる。万能性の高いマシンだ。
ジクサー150SFはインドで生産されている。ベースモデルにネイキッドのジクサー150があり、SFはそのフルカウルバージョンだ。
スズキ製スポーツモデルのフラグシップであるGSX-Rシリーズを思わせるスタイリングに、MotoGPマシンをイメージさせるカラーリングを採用している。そのため過激なマシンかと想像しがちだが、実際に跨ってみるとポジションは意外なほどフレンドリー。ハンドルは高くステップ位置もリラックスしたもの。この姿勢ならツーリングにも出かけたくなる。カウルの防風効果にも期待できそうだ。
エンジンも中低速で力強さを感じさせる扱いやすい特性を持ち、車体の安定志向で排気量が大きいマシンのような感覚。ハンドリングは素直で従順。マシンを振り回すような走りをするより、車体の動きに任せて自然にコーナリングした方が気持ち良い。一見過激なイメージながら実は万能ユーティリティバイク、というのがジクサーの本質なのかもしれない。
125ccクラス並のコンパクトな車体に180ccエンジンを搭載したレーシングキング180は、さすがに加速性能が高く、ゼロ発進からの全開加速はクラス随一。高速道路の最高速度である100km/hまで、あっけなく到達してくれるので、高速道路使用時の本線への合流などで怖い思いをすることもないだろう。また、冷却方式が水冷なので、エンジンノイズが小さいところもポイントだ。
車格は小さくても重量はそれなりにあり、また前後ホイールに同クラスのスクーターとしては大径な12インチホイールを採用しているため、安定感にも不安はない。シート高は、やや高めの部類に入るので、小柄な人は停止時の足付きに注意したい。だが、大型バイクのように立ちゴケを心配する必要はないだろう。
装備面も充実。ブレーキにはABSを備え、デジタルとアナログのコンビネーションメーターの質感も高い。特筆すべきはバイクでは世界初となるドライブレコーダーの標準装備。国内メーカーとは違った魅力がたっぷりのマシンだ。
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