ポラリスの新型スリーホイーラー『スリングショット』試乗レポート

掲載日:2015年10月20日 フォトTOPICS    

写真点数/20枚

取材・文/佐川 健太郎

写真・動画/MOTOCOM

取材協力/ホワイトハウスグループ

 

ATVの先駆的メーカー、ポラリス社が新たなカテゴリーとして開発したスリーホイーラー『スリングショット」』。本国では「モーターサイクルはリタイアしたがエキサイティングな乗り物を求める層」がターゲットだとか。

ポラリス『スリングショット』プレス試乗会
3輪ロードスターがサーキットを快走!

2015年9月下旬、米国ポラリス社の新型スリーホイーラー『SLINGSHOT(スリングショット)』のプレス向け試乗会が開催されました。ポラリス社は世界的なレジャービークルメーカーで、ATV(全地形対応車両)やスノーモービルなどの他、最近では『ヴィクトリー』や『インディアン』などのモーターサイクルメーカーとしても知られています。

今回の主役は東京モーターショー2015(一般公開10月30日~11月8日)で日本初公開となるスリングショット。フロント2輪、リア1輪の3輪タイプのスポーツカーです。「173psを発生するシボレーの2.4リッターDOHCエンジンを752kgの軽量ボディに搭載…」と聞くだけでそのアグレッシブな走りは容易に想像できますが、実際にサーキットで試乗してみるとかなりスパルタン。アクセルを踏み込んだ途端、大型スポーツバイクのような鋭いレスポンスで加速し、ハンドルを切ると強烈な横Gを伴ってグイッと曲がっていきます。リア1輪の軽さを生かした鋭いターンインが特徴です。

とは言え、3輪なのでムリをすると横滑りするのではと心配していましたが、ロー&ワイドな車体に強靭なサスペンションのおかげで、コーナリングは地を這うようにピタっと安定。4輪経験は乏しい私ですが、例えるならフォーミュラーカーに近いフィーリングだと思いました。さらにESC(横滑り防止装置)やABS、トラクションコントロールが標準装備されているので安心。そしてなんと言っても目立ち度は抜群! これで高速道路やワインディングをクルーズしたらさぞかし気持ち良いでしょう。スリングショットは日本では普通自動車として2016年初頭に発売開始予定。価格は未定とのことです。

続いて試乗したのはオフロードビークルの『RZR(レーザー)XP1000 CALAVERA EDITION』です。これは米国を中心に盛り上がっているバギーカーレース専用のトップエンドモデルだとか。110psを発生する999ccのDOHC直列2気筒エンジンを軽量な鋼管フレームに搭載し、4駆と2駆の切り替えができるAWD(全輪駆動)でマディなダートコースを突っ走ります。AWDに加え、ブロックタイヤとモトクロッサーのようなロングストロークサスペンションの威力で、相当なヌタヌタ凸凹道でもグリップ走行が可能。ATとパワーステアリングのおかげで本格的なオフロード走行を気軽に楽しめてしまいますが、調子に乗ると痛い目に遭うでしょう。それでも万が一の場合は、頑丈なルーフと6点式シートベルトがトライバーの安全を確保してくれます。こちらは国内限定10台で、ポラリス輸入元のホワイトハウス(愛知県名古屋市)によると、いずれ日本でもワンメイクレースを開催したいそうです。

そして最後にトライしたのは『SPORTSMAN TOURING 570P』という跨るタイプのATV。コーナリングでは体重移動しながらハンドルバーを切って曲がるあたりも、2輪と4輪バギーの中間的な感じ。オープンエアの開放感やダイレクトな操作感がモーターサイクルに近く、これで野山をトレッキングしたらさぞかし楽しいでしょう。ちなみに本国では作業用、山岳パトロールなどに使われているそうです。

ポラリス社のラインナップは東京モーターショー2015でホワイトハウスのブースにて展示される予定。実車を見たい方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

フォトTOPICS(写真点数/19枚)

01最高出力173ps/6,200rpmを発生するシボレーの直列4気筒2.4リットルDOHCエンジンを鋼管スペースフレームに搭載。

02全幅は1,971mmとかなりワイド。一度見たら忘れられないアグレッシブな面構えが特徴だ。

03リアビューはフロント以上に衝撃的。映画に出てきた「バットモービル」にこんな感じがあったような…。

04こうして見ると2シーターのオープンカーのような雰囲気。写真は上級バージョンのSLタイプで、バックカメラやブルートゥース対応のオーディオシステムなどが装備される。

05リアまわりは片持ち式スイングアームにベルトドライブ、モノショックという、モーターサイクルのような組み合わせ。

06アルミホイールの美しいデザインが際立つ。リアタイヤのサイズはSTDが265/18に対してSLが255/20に設定され、ハンドリングも差別化しているようだ。

07トランスミッションは5速MT+バックギア。操作は通常のマニュアルシフトと同じだが、クラッチが重いこともあり、オートマに慣れた身にはちょっと難しかった。

08派手な色使いとエッジの効いたデザインが特徴のバケットシート。シートベルトは通常の2点式を装備。ちなみにドアはない。

09モーターサイクル用かと思ってしまうほどシンプルな2連メーター。試乗車では左のスピードメーターはマイル表示だった。

10RZRシリーズのハイエンドモデル『XP1000 CALAVERA EDITION』は、直列2気筒DOHC999ccエンジンを搭載する4輪駆動の本格派レーシングバギー。専用のカスタムグラフィックがかなりファンキーだ。

11とにかく頑丈そうなデザイン。全幅は約163cm、車重625kgとサイズは軽自動車並み。フロントサスペンションはWalker Evans製ショックアブソーバーを装備。ダブルウィッシュボーン構造でストローク長はなんと40.6cm!

12エンジンはリア側に搭載。車体はドライバースペースとエンジンをケージで囲んだような構造になっている。グランドクリアランスは余裕の約35cmを確保、フラットな車体底部と相まって大抵の荒地も走破してしまう。

13駆動方式はハイパフォーマンス・オンデマンド式パートタイムAWDで、トランスミッションはポラリスCVTオートマチックを採用。リアサスペンションもWalker Evans製で、トレーリングアーム構造により45.7cmのロングストローク。

14ホイールはHEXLR鍛造ブラックアルミホイールにオレンジビードロックを装備した特別仕様。ブレーキは4輪油圧ディスクに前後デュアルボアキャリパーを装備し、強力な制動力を発揮。

15電動パワーステアリングを標準装備。シンプルなインストルメントパネルにはスピードメーター、オドメーター、トリップメーター、タコメーター、ギアシフトインジケーター、燃料計、水温計、電圧などを表示。パッセンジャーシート前方には頑丈なアシストグリップも装備。

16『SPORTSMAN TOURING 570 SP』は単気筒DOHC567ccエンジンを搭載する、ポラリスATVの最もベーシックなモデル。最高出力45馬力だが低中速域の粘り強いトルクが持ち味で、コンパクトな車体と4輪駆動の強みを生かして道なき道を走破する。

17モーターサイクルのようにシートに跨るタイプで、アクセルは右グリップのレバー、ブレーキはフロントが左レバー、リアが右足ペダルで操作する。シート右横前にはCVTオートマチックミッションを操作するシフトレバーが見える。

18モーターサイクルではクラッチレバーの位置にあるのがフロントブレーキ。最初は困惑するがしばらく走ると慣れる。

19ハンドルのセンター部分にマウントされたメーターパネルはシンプルかつヘビーデューティーな作り。ゆったり座れるタンデムシートや荷物積載スペースも設けるなど、まさにオフロードツーリング仕様だ。

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