2014MFJ 全日本エンデューロ選手権第1戦 ラウンド1 広島大会

掲載日:2014年05月28日 フォトTOPICS    

文/三上 勝久(FRM)  写真/三上 勝久(FRM)、ANIMAL HOUSE  取材協力/MFJ 全日本エンデューロ選手権

全10テストのうち、7テストでトップタイムを叩き出して初戦を優勝で飾った鈴木 健二(チームWR with YAMAHA)。

ハードに幕を開けたJEC開幕戦
総合優勝は10本中7本でベストタイムを叩き出した鈴木 健二

2014年MFJ全日本エンデューロ選手権が5月18日、JECラウンド1広島大会でようやく開幕しました。会場は広島県のテージャスランチ。4月に同じくここで開催されたJNCCはヘビーマディのハードな大会でしたが、今回はおりからの晴天によってオールドライコンディション。ところが、汗ばむほどの天候に加え、エンデューロらしさを追求したハードなルート設定、そしてIA・IBはラップごとに短くなるタイム設定が採用されたことにより、かなり難しい内容の大会となりました。

2箇所に設定されたテスト(競技区間)の難易度はさほど高くありませんでしたが、難しかったのがルート(移動区間)です。名物であるテージャス山周辺のエリアには、トライアル的なテクニックが要求されるヒルクライムやタイトターンが多く設定され、ナショナルクラス以下においては半数近くがDNF(リタイア)・タイムオーバーとなる厳しさでした。全日本選手権クラスと同一のコースとされた承認競技のBクラスは、なんと参加者10名中完走したのが2名という非常に厳しい結果です。

昨年までの、タイム設定に余裕が多すぎ、耐久競技としての緊張感に欠ける……という反省から、今回の設定になったことで「競技らしくてちょうどいいと思う」(和泉 拓)という好意的な意見がある一方、全日本選手権のエントリークラスであるナショナルクラスでは半数がDNFとなり「厳しすぎる」という声も聞かれました。

もっとも、ビギナーのための最下位クラスであるCクラスと、全日本ウイメンズクラスには4つの難所をカットしたコースが設定されたため完走率は高く、楽しんで走れたライダーも多かった模様です。しかし、「山」の走行経験のないライダーには到底走破できないような箇所もあったため、かなり苦しんだライダーも多く、熱中症で戦列を去る選手も。広島を含む西日本エリアのエンデューロではこうしたハードな設定が好まれることもあり、その傾向が顕著に出た大会だったと言えます。

大会終了後、次回のラウンド2・近畿大会では全日本選手権はそれらしくハードな内容とし、アマチュアのための承認クラスは気持ち良く走れる設定にすると、近畿大会コースディレクター・吉川 和宏氏が表明しました。「挑戦してみたい!」という近畿圏のライダーは、ぜひ腕試しに一度参戦してみてはいかがでしょうか。

フォトTOPICS(写真点数/18枚)

01スタート前にスターティングゲートに集まったIA・IBライダーたち。IA15名、IB14名が参戦した。

02スタート前のブリーフィングを受ける選手たち。今回はワンデイの大会で、朝9時過ぎにスタート、午後1時前後に終わるスケジュールだった。

03スタートしていく1組目のライダーたち。左から、2013チャンピオンの内山 裕太郎(チームWR with YAMAHA)、昨年ランキング2位の太田 真成(TEAM RABBIT with ACERBIS.com)、そして鈴木 健二。

04今回のコースを設計したのは、エンデューロIAライダーでもある藤田 貴敏。かなり難しい場所もあるが、ラインをよく見れば中級者でも確実に走破できるコース、とブリーフィングで説明。

05JECでは今回初めて取り入れられた、区間指定タイムが周回毎に削られていくオンタイム設定(IA、IBのみ)。後半になればなるほど指定タイムが短くなるため、オンタイムで走るのが難しくなる。

06昨年までハスクバーナで走っていた釘村忠(TEAM TARGET)は、マシンをホンダCRF250Rにスイッチして参戦。昨年は、参戦したほぼすべての大会で鈴木に勝っていたが今回は約25秒及ばず。

07釘村 忠。所属するMVアグスタ・ジャパンがハスクバーナの輸入販売を行わなくなったことで、普段なかなかオフロードバイクに乗れる機会が少なくなったと言う。なおかつ、まだ不慣れなマシンで2位に入るタイムを安定して叩き出すのはさすがだ。

083位は太田 真成。今季はSUGO大会(ラウンド5/6)での欠場が決まっているだけに、確実に1戦ずつポイントを獲得していきたいとコメント。今回も確実な速さを見せてトップ2に次ぐ速さを見せた。

09IB優勝は、地元出身の熊本 悠太(バイカーズ・ベア with CFC)。4月に開催されたヘビーマディのJNCCにおいてAクラスを制したライダーでもある。一番時計こそ1テストのみだったが、着実に安定して速いタイムを出して優勝。IAを加えての総合順位でも8位相当という好結果。

10クロステストのスタート風景。会場となったテージャスランチは広大な牧場で、草原での気持ちのよいタイムアタックが楽しめた。だが、JNCCのワダチが残っていたこともあってタイムを出すのは難しかった。奥に見えるのが名物「テージャス山」だ。

11今回はルート(移動区間)に難所が多く、また気温も32℃まで上がったこともあって複数のライダーが熱中症となって苦しんだ。

12森の中のタイトなコーナーが連続する区間では、ラインを見誤ると泥沼にはまってしまうようなセクションも。

13JNCCでも使用されるガレ場。コース全体で見ればこれはイージーなほう。加速区間の短いヒルクライムや、長く続く急斜面、沢などテクニカルなセクションが多く、多数のライダーたちが遅着、リタイアした。

14左から、IA2位の釘村、優勝の鈴木、3位の太田。

15IB表彰式。左から2位の柳原 博一(ダートバイクZIM)、優勝の熊本 悠太、そして3位の小菅泰輝(MCオープンエリア)。小菅はIAライダー小菅浩司の息子さんでまだ17歳。クロステストではIAに食い込む速さを見せており、今後が楽しみ。

16ナショナルクラス表彰式。後列左から2位の三上 祥雄(バイカーズ・ベア)、優勝の勝野 善太郎(Honda緑陽会熊本レーシング)、3位の荒川 一佳(FFMC-岡山 with IWD)。荒川はオンタイム初参戦で途中、早着、1分をロス。これがなければ初参戦初優勝となるところだった。

17全日本ウイメンズクラスは4名出走して3名完走。左から2位の難波 美和子(チームミワコング)、近藤 香織(モトプライムレーシング)、岩本 恵美(MONDOMOTO-OPENAREA)。ウイメンズクラスは4箇所ほど難所をカットされたルートだったが、それでもやはり手強かったようで全員が2分~6分のペナルティを受けている。

18今大会ではMAX BRAINの野口 正義氏がドローンを使用しての空撮を行い、一般に公開してくれている。会場がよくわかる素晴らしい動画なのでぜひ一度見て欲しい。https://www.youtube.com/watch?v=DKLRs72uhA4

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