【ホンダ CRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツES 試乗記】国産アドベンチャーマシンの絶対王者が、より快適なツーリング向けに進化!!

掲載日:2024年08月31日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之

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HONDA CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ES

国産アドベンチャーモデルにおける王道マシンとして熟成を重ね、今なお人気モデルとして君臨するのがホンダのCRF1100L Africa Twin(アフリカツイン)シリーズだ。2024年モデルではオフロード指向の強い〈s〉と、ツーリング指向のAdventure Sports ES(アドベンチャースポーツES)という、よりキャラクター分けがはっきりしたモデル展開となった。今回はアドベンチャースポーツESに試乗し、その特徴と魅力を探ってみよう。

ホンダ CRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツES 特徴

フロントの19インチ化で、脚長モデル〈s〉との
キャラクター分けが明確に

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初代アフリカツインは、かつて1980年代後半から1990年代初頭にかけて販売されていた大排気量オフロードモデルだ。その名前を復活させ、2016年に登場したのがCRF1000Lアフリカツインで、MTモデルとともにクラッチ操作の必要がないDCTモデルもリリースされた。これにより、大型アドベンチャーマシンの存在はぐっと身近になったともいえる。

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そのCRF1000Lアフリカツインに24Lの大型燃料タンクやパイプガード、スキッドプレート。専用サスペンションなどを装備して、さらにタフな走りに対応したモデルが「アドベンチャースポーツ」で、2018年に登場した。その後アフリカツインは排気量を拡大し、2020年にCRF1100Lとなったが、アドベンチャースポーツもそれをベースとして続投。パイプガードの標準装着はなくなったが、電子制御サスペンションを装備したグレードが用意されるなど、上級モデルとしての位置づけも強くなっていった。その後も2022年にユーロ5相当の排ガス規制対応やウインドスクリーン形状の小型化、デイタイムランニングライトの採用などの仕様変更が行われた。

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熟成を重ねてなお人気を保ち続けているアフリカツインだが、2024年モデルにおいて大きな変化があった。これまではスタンダード、アドベンチャースポーツESともにフロント21インチ、リア18インチという共通のホイールサイズだったものが、アドベンチャースポーツにフロント19インチを採用したのだ。これは従来よりもオンロードに寄ったキャラクター付けといえる。これにより、2024年モデルはフロント21インチでサスペンションストロークが長く、シートも高いオフロード走行を意識したCRF1100Lアフリカツイン〈s〉と、フロント19インチで24Lの大型燃料タンクと電子制御サスペンションを備え、ツーリングでの快適性を追求したCRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツESというラインナップとなり、2つの個性をより明確に打ち出したことになる。なお、それぞれにMTモデルとDCT(クラッチ操作の必要がないセミオートマチック)モデルが用意されている。

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ちなみに2024年モデルではエンジンにも手が入れられた。最高出力は102PS/7500rpmのままだが、吸排気系の最適化や圧縮比のアップ、バルブタイミングの変更などで最大トルクが10.7kgf・m/6250rpmから11.4kgf・m/5500rpmへと向上。DCT仕様車は制御が見直され、発進特性と極低速域のコントロール性が向上している。アドベンチャースポーツESでは、このほかにもアッパーミドルカウルにエアダクトを設けるなど形状を変更し、走行風による疲労の軽減が図られている。

ホンダ CRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツES 試乗インプレッション

さらに曲がりやすくて扱いやすい!!
低めのシートとDCTで疲れずどこまでも

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最初に説明しておくと、今回試乗したアドベンチャースポーツESはDCTモデルで、受け取った際には純正のトップケースとサイドパニアがアクセサリーとして装着されていた。試乗はそれらを取り外した上で行ったが、ステーは装着したままとなっている。

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さて、実車を目の前にすると、アドベンチャースポーツESは燃料タンクの張り出しもあってかなりボリュームのあるボディだ。多少身構えつつ跨ると……乗る前までのイメージと違い、やけに安心感がある。それもそのはず、このマシンのシート高は標準で840mm、シートをローポジションにセットすると820mmで、ビッグアドベンチャーマシンとしてはかなり低めとなっている。身長170cmで短足気味の筆者にとっては非常にありがたい設定だ。実は少し前にアフリカツインの脚長バージョンである〈s〉にも試乗したのだが、その際はローポジションでも850mmというシート高にかなり緊張したのを覚えている。

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シートをローポジションにして東京都内の混雑した一般道を走り出すと、従来モデルよりも少し走りがスムーズになったように感じる。特に渋滞気味のノロノロとした低速走行で、変速のタイミングがより自然になり、ギクシャクすることが減った。やはりDCTのチューニングに磨きがかかったようだ。ただUターン時などはじわりとスロットルを一定開度で回す分にはいいが、少し無造作に開けると展開動作の途中で2速に入り、シフトショックに面食らう場面もあった。極低速でのDCT制御もかなり進化したと感じるが、MTモデルと違って半クラッチで調節はできないので、そこは気を付けたい。とはいえこれは自分がオーナーになって慣れれば「どのライディングモードで、これくらい開ければシフトチェンジされるか」が分かるので、大した問題ではないだろう。それよりも、信号で止まる際と発進する際に、両足を着いたままでもOKというDCTならではのメリットの方が大きい。

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フロントホイールが21インチから19インチになるに伴い、フロントタイヤも110/80R19と2サイズ太くなっている。これらの効果で低速でもどっしりとした安定感があり、道幅細めの交差点や路地での右左折なども、少し曲がりやすくなった印象だ。

高速道路に乗り入れると、より「オンロード感」が強まった。シートをローポジションにセットしていることも大きいかもしれないが、若干腰高感のあった従来の「ビッグオフ」に乗っている感覚よりも、マシン中央にどっしりと人がはまり込むようなポジションは、ツアラーとしてのイメージが強い。アドベンチャースポーツESは従来から電子制御サスペンションEERAを採用しており、ライディングモードや車両状態に応じて最適なサスペンション性能を発揮するようになっているが、フロントの19インチ化に伴い、サスストロークとセッティングを最適化し、より低重心になっている。この効果なのか、高速道路でのレーンチェンジや強風下のコーナーリングなどでも、より安心感が強まった印象だ。

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また、今回最大トルクの値が引き上げられたため、さらに力強い走りを見せてくれる。ここでもDCTの制御は優秀で、高速道路の合流レーンなどでスロットルをガバっと開けると「今はパワーが必要なのね」と低めのギアで引っ張ってくれるし、巡航時のゆったり目の追い越しなどではすぐに上のギアにシフトして必要以上にエンジンをうならせないなど、こちらの心を見透かしているかのような、心憎いタイミングでシフトを行ってくれる。標準装備のクルーズコントロールやグリップヒーターを組み合わせれば、季節を問わず、どこまでも疲れずに走り続けることができそうだ。

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最後に少しだけダートにも乗り入れてみた。フロントが19インチになったが、実は最低地上高は従来の210mmから220mmへと10mmアップしている。もちろん重量級なため石を踏んだり溝を越えたりする際の姿勢変化には気を付ける必要があるが、サスペンションをはじめとした優秀な電子制御と低めのシートのおかげで、フラットな林道レベルならそれほど気を遣わずに走れるだろう。

シティランからロングツーリングまで、あらゆる状況で快適な走りを約束してくれるCRF1100L アフリカツイン アドベンチャースポーツESは、ツアラーとしての実力をさらに高め、オールマイティに楽しめるマシンへと進化した。

ホンダ CRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツES 詳細写真

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昼間はデイタイムランニングライト(DRL)、暗くなると自動的にロービーム点灯に切り替わるオートモードを搭載。下部にはバンク角に応じて3段階に点灯するコーナーリングライトを備える。

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メーターの表示切替やファンクションスイッチなどが配置されているハンドル左側のスイッチボックス。効率よく並べられているが、慣れるまでは説明書が手放せない。

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ハンドル右側はDCTの操作スイッチとスターター/キルスイッチ、クルーズコントロールの操作ボタン、ファンクションスイッチが並ぶ。

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6.5インチのタッチパネル式フルカラー液晶を備えたディスプレイ。ライディングモードや各種設定を変更・確認できるほか、スマホと接続して様々なアプリを利用できる。直射日光下でも見やすい。

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カウル内側左サイドには、出力2Aのシガーソケットタイプのアクセサリー電源を装備。上向きのため雨天時の使用には防水対策が必要だ。

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カウル内側の右サイドにはUSBタイプAのアクセサリー電源ポートを備えている。端子はかなり奥に設置されている。

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内側のノブをつまむことで5段階に高さ調節ができるスクリーン。バイオ由来で環境に優しい素材を採用している。

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エンジンは吸排気系や圧縮比、バルブタイミングの変更などにより、低・中回転域でのパワーとトルクが向上した。DCTは発進特性や極低速域のコントロール性を高めたチューニングが施された。6軸IMUを用いた車体状態の検知精度を高めたことで、よりライダーの感性に近い制御となっている。

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シートのスポンジは強めの反発ながら、お尻にしっかりなじむという不思議なもの。ローポジションにセットしてどっしりと座り、ある程度の距離を連続して走ってもお尻は痛くならなかった。リアキャリアは標準装備だが、写真ではトップボックス用のプレートとサイドボックスのためのステーが装着されている。

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シート下のスペースにはETC2.0車載器を標準で装備。フロントシートの裏側には書類収納スペースがあり、リアシートの裏側にはドライバーとヘキサゴンレンチが格納されている。

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エンジン下部とエキパイを保護してくれる、大型のスキッドプレートを標準装備。ダート走行の際は心強い。

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電子制御サスペンションEERAは、ライディングモードに応じて電動で自動的に最適なセッティングを提供してくれるのはもちろん、好みに応じて簡単にアジャストすることも可能だ。

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DCTモデルには坂道などで車体が動いてしまわないよう手動式のパーキングレバーが備えられており、ブレーキをロックできる。

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新たに19インチを採用したフロントホイール。タイヤサイズは110/80R19M/C 59Vと21インチの時より太くなっている。ブレーキのローター径は310mm。

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リアのタイヤサイズは150/70R18M/C 70Hで従来通り。銘柄は前後ともにブリヂストンのBATTLAX ADVENTURE A41を履く。ブレーキのローター径は256mmとなっている。

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灯火類はすべてLEDを採用。テール/ブレーキランプは大き目で被視認性も十分だ。写真ではハザードを点灯させている。

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ライダーの身長は170cmで足は短め。るCRF1100L アフリカツイン アドベンチャースポーツESのシート高は840/820mm。写真はローポジションで、両足ではギリギリ母指球まで、片足ならしっかりと母指球が接地する。大きさの割に足つきは良好だが、重いので停車時のバランスには気を付けたい。

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