ヤマハ XT1200ZEスーパーテネレ
ヤマハ XT1200ZEスーパーテネレ

ヤマハ XT1200ZEスーパーテネレ – テネレの最高峰モデルとして君臨

掲載日:2014年04月18日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文/田宮 徹  写真/増井 貴光

ヤマハ XT1200ZEスーパーテネレの試乗インプレッション

ヤマハ XT1200ZEスーパーテネレの画像

先進技術満載の設計がもたらす
意外なほどオーソドックスな乗り味

シートは、従来型同様に2段階の高さ調整が可能。ロー時で845mm、ハイ時で870mmという設定も、これまでと変わらない。身長167cmで体重63kgの筆者が、ローシート時に最前部にまたがると、両足のつま先が接地する程度。さすがに「良好」という言葉は使えないが、ビッグアドベンチャークラスとしては普通である。ハンドルは非常に幅広く、絞り角は少なめ。かなりオフロードを意識した設定である。

この2014年型では、スクリーンの4段階調整が可能となった。手動でダイアルを操作して行うこの調整には、ややコツが必要だが、凝った機構が使われていないぶん、耐久性の点では信頼度が高そう。ちなみに、もっとも低い状態でも一番上にセットしても、視界にこれといった違和感はない。

ヤマハ XT1200ZEスーパーテネレの画像

エンジンは、2014年型で各部の熟成が施されたが、記憶の中にあるかつてのXT1200Zスーパーテネレと比較して、劇的な変化が感じられるほどではない。1,200ccという排気量のイメージからすると、低回転域のトルクはマイルド。エキスパートライダーの中には、物足りなさを感じる人もいるかもしれないが、だらっとクルージングするのには心地いい。

一方で、5,000回転を迎えるあたりから、トルク&パワーは盛り上がりをみせる。そして、8,000回転を超えたところに設定されたレブリミットまで、元気のよさをアピール。このエンジンには、特性を2タイプに切り替えられるD-MODEが採用されていて、スポーティに走りたい時はSモード、より気軽に接したいときはTモードと、スイッチ操作ひとつで切り替えられるのもうれしい。

ヤマハ XT1200ZEスーパーテネレの画像

舗装路でのコーナリングは、やはり車体が大きいという印象が強いが、とはいえ覚悟するほどの重さは感じない。ハンドル舵角をやや多めにつけながらも、ハンドリングには大きなクセもなく、中速コーナーを中心に振りまわして乗っていくことができる。細かいワインディングでは、車体の大きさからくるプレッシャーがネックとなるが、深いバンクもさせやすく、普通にツーリングを楽しむぶんには道を選ばない。

ZE仕様には電動調整式サスペンションが搭載されていて、減衰力調整は21タイプに細かく調整できるが、正直なところ、荷物もなく一人で舗装路のみを乗っているぶんには、完全なスタンダード状態でまったく不満はない。とはいえ、プリロードと減衰力がもっともソフトな状態や、逆に最強のセッティングにしてみると、それぞれ大きく乗り味が変わり、なかなかに楽しい。調整はスイッチ操作で簡単に行えるので、ベストなセッティングを探すというよりは、気分に応じてツーリングの途中で調整してみるなんていう使い方もいいだろう。もちろん、二人乗りをしたり荷物を満載したりするときには、より快適な乗り心地を追求するアイテムとして、フル活用してもらいたい。

ヤマハ XT1200ZEスーパーテネレの画像

さて、この大きな車体のアドベンチャーで、実際にオフロードを走行しようと考えているユーザーが、日本にどれくらい存在するかということには少し疑問もあるが、スーパーテネレは道を選ばぬビッグアドベンチャーである。今回の試乗では、フラットダートを中心としたオフロード走行も楽しんでみた。

その結果、ダートにおける意外なほどの扱いやすさに驚かされた。舗装路ではやや物足りなさを感じたエンジン低回転域は、滑りやすいオフロードをノーマルタイヤで乗る場合には、ピックアップがよすぎないことから安心感にもつながる。また、従来型にも搭載されていた、2モードとオフから選択できるトラクションコントロール機構は、スポーティなモード2でもやや介入度が多めな印象もあるが、絶大な安心感を生んでくれる。

そして極めつけは、ZEに搭載される電動調整サスペンション。これにより、短時間でオフロード向きのソフトな足まわりに変更が可能で、より安心してダートに踏み込むことができた。

ヤマハ XT1200ZEスーパーテネレの画像

このクラスは、ベンチマークとなっているBMWのR1200GSが空水冷仕様にモデルチェンジされたり、各メーカーからニューモデルが続々と投入されたりと、近年は激しい競争が続いている。この中でスーパーテネレは、オーソドックスな乗り味という印象がある。高速道路を多く使う舗装路のみのツーリングマシンとして考えると、その性能にもしかしたら物足りなさを感じる瞬間があるかもしれない。

しかし一方で、本格的なロングツーリングの相棒や、さらにフラットダートにも踏み込んでいくアドベンチャーモデルとして捉えた場合、ライダーを身構えさせないその乗り味は、最高の長所に変わるはずだ。そこにさらに、電動調整式サスペンションやトップケース用ベースなどの装備が加わっているZEなら、ロングツーリングがより楽しくなるに違いない。

ヤマハ XT1200ZEスーパーテネレの詳細写真は次ページにて

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索