


掲載日:2011年01月26日 試乗インプレ・レビュー
ガスガスがエンデューロ世界選手権で得たノウハウを基に、新たな可能性を秘めたエンデューロマシンを作り上げた。しなやかでコンパクトなフレームに熟成したヤマハWR250F用エンジンを搭載。オフロードに強いヤマハは250もエンジンの供給をしているのだ。この夢のような組み合わせが実現したEC250cc 4Tの実力をレジェンド・石井正美氏にインプレッションしてもらった。
なめらかな曲線を描くツインチューブフレームは、トライアルに強いガスガスらしくコンパクトかつ衝撃吸収性にすぐれた特性を持つ。これにヤマハを代表する5バルブ・シングルを搭載。このマシンに試乗した2010年4月は、すでにヤマハ製エンデューロレーサーであるWR250Fが生産を中止していた。後になって海外向けに生産を再開したようだが、プレストコーポレーションは国内販売を行っていない。そんなタイミングで登場したガスガスEC250cc 4Tは、貴重な国産エンジンのエンデューロモデルだ。
「跨ったポジションが小さくまとまっていて、(エンデューロマシンのわりに)足着き性も厳しくない。エンジン搭載位置が良いから取り回しもラクだね。WR250Fよりも(車体が)小さく感じる。ガスガスらしい、乗りやすいポジションになっている。
2009年まで乗っていたガスガスの2スト300仕様は、低速トルクの太さと高回転のパワーが気に入っていたんだ。でも、パワーバルブが開く低中速でエンジンがついてこないことがあった。それがこのエンジンでは感じられず、どの回転域でもトルクとパワーが立ち上がってくる。
このニューフレームはしなやかさがあるから、マシンを寝かしやすいね。以前のガスガスより曲がりやすくなった。もちろん、直進安定性を重視した作りのWR-Fよりもね。フロントサスも(細めの)45φを採用しているので、ハンドリングに適度な軽さがある。リヤサスにも硬さがない。それまでのガスガスとWR-Fの弱かった部分を解消している。固く引き締まったダートでも前後サスがショックを吸収してくれるから、幅広いレベルのライダーが気負わずに乗れると思う」と石井氏は言う。ガスガスはハイパワー&高剛性路線を見直し、ドライバビリティ重視の乗り味を狙ったようだ。
「WR-Fのエンジンは非常に評価が高いよね。だけど、あのシャシーを乗りこなすにはテクニックも求められた。それが車体と足まわりを一新することで、現代版XR250とでも言うような扱いやすさを手に入れた。エンデューロで勝ちを狙うのはもちろん、林道ツーリングに使っても楽しいだろうね」。
レーサーとしてのポテンシャルを持ちつつ、ビギナーでも構えず走れる乗り味や940mmと低く抑えられたシート高は、輸入エンデューロマシンにあるベテラン向けというイメージを払拭したといえる。熟成したエンジンをガスガス流に味つけして、新しい常識を確立したモデルだ。
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