【Page6】スティル→ヒルクライム→斜面の途中でスティル→再びヒルクライム

掲載日:2010年01月22日 特集記事「極」低速トライアルテクニック    

2009年7月1日発行 月刊ガルル No.281より記事提供

平地から斜面を駆け上り、その斜面の途中で一旦停止。さらに体勢を整えてから再び斜面を駆け上る。平地でのスタンディングスティルとは前後のバランス配分が変わってくるため、難易度は当然高くなる。スティル時に切ったハンドルを再発進時にはまっすぐに戻しておく、上り斜面での停止はリヤブレーキを利かす、などの細かいマシンコントロールをていねいに実行できるかどうかが成功への分かれ道だ

 

 
 

①最初は平地でスタンディングスティル。数秒停止してから斜面にアプローチしよう。②ハンドルをまっすぐに戻し、勢いをつけずにタイヤを卜ラクションさせてトコトコ斜面を上る。③斜面の途中で2度目のスタンディングスティル。上り斜面ではリヤブレーキを利かせて止まるのが鉄則。ただし、フロントブレーキをまったく使っていないというわけではない点に注意。④先の状況を確認したら、ハンドルをまっすぐに戻して再びヒルクライムへ。このときアクセルを急に開けるとリヤタイヤが滑り出すこともあるので操作は慎重に。⑤フロントタイヤが浮いているのは、リヤタイヤが路面に十分グリップしている証拠。トラクションを失わないようにリヤ荷重を続け、頂上を目指そう

 

 

実際のトライアル競技におけるセクションは、難易度の差があるにせよ、複数ある障害物が連続して配置されている場合がほとんどだ。ライダーは自分の持っているテクニックを組み合わせてはじめてクリーン(一度も減点しないでセクションを通過すること)を得ることができる。

 

そこで、今回はスタンディングスティルとヒルクライムのふたつを組み合わせたセクションを想定してみた。ここでのポイントは、スタートからゴールまで、終始低速で走りきるということだ。坂の斜度は決して大きいものではないが、斜面でマシン操作を放棄すれば押し戻されてしまう程度の坂ではある。ハンドルとステップによるバランス維持、正確なアクセルワーク、進路の確認、トラクションを得るための荷重・・・・・・と、ライダーがすべきことがたくさんつまったセクションとなっている。

 

おもしろいことに、ここで駆使するテクニックの数々は、一見シチュエーションのまったく異なる川渡りで必要となるライディングテクニックと重なる部分が多い。

 

ちょっと想像してみてほしい。状況が把握しづらい川の中にはゴロゴロと大きな石が転がっている・・・・・・。そんなところを走るときは、ハンドルをまっすぐにして、ステップによるバランス荷重を行い、ラフなアクセル開閉を避け、リヤタイヤのトラクションを確保する。つまり、この「スティル→ヒルクライム→斜面の途中でスティル→再びヒルクライム」のセクションと同じようなことをしているのだ。

 

低速におけるマシンコントロールは「バランス」を意識しながら走ることがもっとも重要だ。バイクを操作するためのさまざまな方法があるにせよ、いずれもバイクのバランスを崩さないように(あるいは意図的に崩しながら)走るためのテクニックであることを理解すると、極低速テクニックを習得することができるだろう。

 

 

 

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