
掲載日:2013年08月02日 エクストリーム › モトクロス
文・まとめ/宮本 将平
前ラウンド、ワシューガルでは地元でポイントリーダーのライアン・ビロポート(カワサキ)が、またもライアン・ダンジー(KTM)と優勝を分け合うラウンドとなった。シーズン前半はビロポートがほぼすべてのレースに勝利していたが、ここへ来てダンジーが勝利数を伸ばしてきている。そして今回のラウンド9、ミネソタ州のスプリングクリークはダンジーの地元ラウンド。ダンジーとしてはバッズクリークでのDNF(リタイア)で開いてしまったビロポートとのポイント差を少しでも詰めて、残り3ラウンドに挑みたいところだが、今回はおもわぬライダーがレースを沸かせる事になる。
モト1(30分+2周)、ホールショットはランキング3位のジャスティン・バーシア(ホンダ)。その後にチームメイトのトレイ・カナード(ホンダ)、そしてダンジー、ビロポート、ジェイムズ・スチュワート(スズキ)らが続いた。しかし、すぐにビロポートが単独でクラッシュ、ケガこそなかったものの、ほぼ最後尾からのレースとなってしまう。トップのバーシアから4位のスチュワートまでほとんど差がないままレースは進行するが、まず動いたのはスチュワート。ダンジーをあっさりとパスし、3位のカナードにも迫る。一度はカナードをパスするが、その周にエンジンをストールさせてしまい、再びカナードが前へ出るが、この日のスチュワートのサンドフープスのスピードは凄まじく、再びそのセクションで2位を奪い返し、さらにトップのバーシアもサンドフープスであっさりとパスしトップを奪った。このままレース終了かと思われたラスト3ラップ、バーシアをパスしたカナードが再びスチュワートに迫りはじめ、サイドバイサイドの攻防戦が展開され始める。しかし、今回はスチュワートが落ち着いたライディングでこのピンチを乗り切り、今シーズン初のモトウィンをマークする。
モト2、ホールショットはモト1で今シーズン初優勝を果たしているスチュワート。背後にはダンジー、マイク・アレッシ(スズキ)、カナードらが着ける。注目のビロポートは10位前後からのスタートとなった。スチュワートはアグレッシブなライディングでペースアップするが、一瞬のスキをついた地元のダンジーがトップを奪う。しかし、スチュワートは気合いで一度はトップを奪い返すが、再びダンジーがトップへ。さらに後ろからはカナードも迫っていて、今度はスチュワート VS カナードのバトルが2位をかけて争われる事に。長く続いたこのバトルは結局カナードが制し、2位のポジションを確立する。一方、ビロポートは4位までポジションをアップさせるが、3位のスチュワートを脅かすまでには至る事が出来ないでいた。レースは結局ダンジーが前半で奪ったトップを守りきり優勝。2位にはカナード、そしてスチュワートが3位に入った。
今回は、スチュワートが常勝だった頃を彷彿させるようなキレのあるライディングで、オーバーオールウィンを手にした。一方、ランキングトップのビロポートは、彼らしくないクラッシュやミスで6-4という、今シーズンワーストのリザルト。これにより、ランキング2位のダンジーとのポイントは34。残り3ラウンドとなった450クラスは依然ビロポートが優位な状況にあるが、ダンジーの巻き返しはあるのか。次のラウンドでタイトルの行方が見えてくるかもしれない。
順位 | 総合 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | |
1 | 1-3 | 7 | J・スチュワート | Yoshimura Suzuki | Suzuki | |
2 | 2-2 | 41 | T・カナード | Team Honda Muscle Milk | Honda | |
3 | 5-1 | 1 | R・ダンジー | Red Bull KTM | KTM | |
4 | 3-5 | 51 | J・バーシア | Team Honda Muscle Milk | Honda | |
5 | 6-4 | 2 | R・ビロポート | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | |
6 | 7-8 | 29 | A・ショート | BTO Sports KTM | KTM | |
7 | 11-6 | 800 | M・アレッシ | Motoconcepts Racing | Suzuki | |
8 | 10-7 | 22 | C・リード | TWOTWO Mortorsports | Honda | |
9 | 9-9 | 12 | J・ワイマー | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | |
10 | 8-10 | 20 | B・ティックル | RCH Suzuki | Suzuki |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | ポイント | メーカー | |
1 | 2 | R・ビロポート | 413 | Kawasaki | |
2 | 1 | R・ダンジー | 379 | KTM | |
3 | 51 | J・バーシア | 307 | Honda | |
4 | 7 | J・スチュワート | 269 | Suzuki | |
5 | 41 | T・カナード | 263 | Honda | |
6 | 800 | M・アレッシ | 195 | Suzuki | |
7 | 29 | A・ショート | 191 | KTM | |
8 | 12 | J・ワイマー | 184 | Kawasaki | |
9 | 20 | B・ティックル | 183 | Suzuki | |
10 | 33 | J・グラント | 176 | Yamaha |
イーライ・トマック(ホンダ)が前ラウンド、ワシューガルでの完全勝利で、トップのケン・ロクスン(KTM)とのポイント差をわずか1に縮めた250クラス。ロクスンとしては再びポイントリードを広げたいところだが、ここ数ラウンドのトマックはコンディションも良く、完全にトマックの方へ流れが傾いてきているようにも感じる。マービン・ムスキャン(KTM)もしっかりとランキング3位に着けているが、トップ2とのポイント差は大きく、事実上タイトル争いは残り4ラウンドを残し、トマックとロクスンに絞られてきた。
モト1、ホールショットはウィル・ハーン(ホンダ)、その後にルーキーのジェレミー・マーティン(ヤマハ)、ムスキャン、ジャスティン・ボーグル(ホンダ)、ロクスンらが続く。2ラップ目、早くも4位に上がってきたロクスンがサンドフープスセクションでムスキャンに並びかけると、次のコーナーでアウトサイドからあっさりとパスし、今度はマーティンにも襲いかかるがマーティンは簡単には譲らない。3ラップ目、今度はマーティンがトップのハーンとの距離を詰め始め、トップ3による接近戦がスタート、まずはロクスンがマーティンをパスする。しかし、4ラップ目に入ったところでロクスンがビッググラッシュし、ここでDNFとなってしまう。一方、スタートに失敗したランキング2位のトマックだったが、すでに8位までポジションをアップさせていた。ロクスンのクラッシュで完全にトップ争いは2人に絞られたが、レース中盤に入った頃にマーティンがハーンをパス、その後ハーンはずるずるとポジションを落とす事になる。代わって2位に上がったのはムスキャンだったが、その背後にはすでにトマックが迫っていて、すぐにムスキャンをパス、ここからマーティンとの戦いがスタートする。ラスト5分、ついにマーティンの背後にまで迫ったトマックは下りのジャンプであっさりとパス。そこからは完全に独体制を築き、トマックがそのままチェッカーを受けた。
モト2、ホールショットはまたもやハーン、背後にはマーティン、ブレイク・バゲット(カワサキ)、ロクスンらが続いたが、すぐにバゲットがマーティンをパスすると、2ラップ目にはハーンもパスし、トップに立つ。3ラップ目、モト1でDNFに終わったロクスンがハーンをパスしトップのバゲットへの追撃態勢を整え、そのままの勢いでバゲットもパスしトップに立つ。一方、モト1のウィナー、トマックはこのレースもスタートに出遅れたが、レース中盤には3位までポジションをアップさせていた。トップに立ったロクスンはクラッシュの影響を感じさせないライディングでトップを快走していたが、2位に上がってきたトマックを抑えることは出来ず、トップを譲る事になってしまう。ロクスンも健闘するが、その差は少しずつ開き最終的にはトマックが10秒以上の大差でパーフェクトウィンを飾り、2位にはロクスン、3位にはバゲットが入った。
今回のラウンド9、スプリングクリークではトマックが今シーズン一番と言っていいパーフェクトなレースで、1-1のパーフェクトウィンを飾った。もちろん、ランキングトップのロクスンはクラッシュしたモト1の影響もあり、トマックにレッドプレート(ランキングトップのライダーのみが装着出来る赤ゼッケン)を譲る事となってしまった。しかも、27ポイントという大きなアドバンテージをつけられて。ロクスンは、残り3ラウンドでこの差を逆転する事は出来るのか。今のトマックに死角は見当たらないが、何が起こるかわからないのもレース。ここから再び死闘を繰り広げ、ファンを魅了してもらいたい。
順位 | 総合 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | |
1 | 1-1 | 17 | E・トマック | GEICO Honda | Honda | |
2 | 4-4 | 25 | M・ムスキャン | Red Bull KTM | KTM | |
3 | 3-5 | 21 | J・アンダーソン | Rockstar Suzuki | Suzuki | |
4 | 2-7 | 77 | J・マーティン | StarRacing | Yamaha | |
5 | 6-3 | 1 | B・バゲット | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | |
6 | 5-6 | 34 | J・ボーグル | GEICO Honda | Honda | |
7 | 8-8 | 19 | W・ハーン | GEICO Honda | Honda | |
8 | 7-11 | 317 | J・ヒル | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | |
9 | 35-2 | 94 | K・ロクスン | Red Bull KTM | KTM | |
10 | 11-9 | 338 | Z・オズボーン | GEICO Honda | Honda |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | ポイント | メーカー | |
1 | 17 | E・トマック | 405 | Honda | |
2 | 94 | K・ロクスン | 378 | KTM | |
2 | 25 | M・ムスキャン | 334 | KTM | |
4 | 1 | B・バゲット | 295 | Kawasaki | |
5 | 338 | Z・オズボーン | 261 | Honda | |
6 | 21 | J・アンダーソン | 238 | Suzuki | |
7 | 34 | J・ボーグル | 209 | Honda | |
8 | 77 | J・マーティン | 207 | Yamaha | |
9 | 38 | K・カニンガム | 183 | Yamaha | |
10 | 175 | C・ウェブ | 170 | Yamaha |
WEB・GRAPHIC DESIGNER/PHOTOGRAPHER 元プロMXライダー。トランスワールドMX編集部を経て、同社でデザイナーとして勤務。退社後に独立、いわきで バンザイマガジン (FMXフリーマガジン)を立ち上げ、編集長を勤めている。
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