
掲載日:2013年03月06日 エクストリーム › モトクロス
文・まとめ/宮本 将平
先週のアトランタでは、ジェイムズ・スチュワート(スズキ)がスタートから安定した強さを見せ、今シーズンの初優勝を飾った。彼にとっては、ラウンド1での不運なケガから徐々に調子を取り戻して来た流れででの勝利となり、これからのラウンドもアトランタのような調子で走れば、ポイントランキングでトップを争うライダーたちにとって、大きな脅威となるだろう。また、ラウンド7までは250ccクラス ウエストにエントリーしていたイーライ・トマック(ホンダ)もスポットではあるが、ラウンド8のアトランタから450ccクラスへエントリーを開始した事で、ただでさえ近年では1番エキサイティングなシーズンが続いている450クラスをさらに盛り上げる事となった。この日も、ヒートレースでは先週のレースのトップ2、ライアン・ビロポート(カワサキ)、スチュワートの2ライダーが他を寄せ付けないスピードで勝利し、メインレースへと駒を進めた。その他のトップライダーたちも、順当にメインレースへと勝ち上がったが、トマックだけはLCQ(ラストチャンスクォリファイ)からのメインレースとなってしまった。
メインレース(20周)、好調のスチュワートがスタートから飛び出したが、3ラップ目のマット・ゴーキー(KTM)、カイル・チゾム(ヤマハ)のトリプルでの接触クラッシュによりレッドフラッグが振られ、ラップ3の順位での再スタートとなり、残りの17ラップを走る形がとられた。注目の再スタート、レッドフラッグ前からレースをリードしていたスチュワートが再びレースを引っ張る。このスチュワートに続いて、マイク・アレッシ(スズキ)、さらに背後にはジャスティン・バーシア(ホンダ)が着ける。しかし、バーシアが再スタート1ラップ目のフープスで、あっさりとアレッシをパス。2ラップ目にはチャド・リード(ホンダ)、ビロポート、ライアン・ダンジー(KTM)もそれぞれアレッシをパスし、トップ2を追うための状況を整える。3ラップ目、好調のビロポートは早くも前を走るリードをパスし、さらに2位のバーシアにも接近する。この時点で、トップのスチュワートから3位のビロポートまでのタイム差は、わずか1秒。ここから劇的なバトルが始まる。6ラップ目、まず3位のビロポートがトリプルジャンプでバーシアに並びかけ、その後のコーナーでパス。そのままの勢いでスチュワートにも迫る。7ラップ目、サンドセクション手前のタイトコーナーでスチュワートをパスするが、すぐにスチュワートも反撃し再びトップを奪う。しかし、またもビロポートがすぐにトップを奪い、ここから一気にペースを上げ始める。一方、スチュワートの背後を走るバーシア、リード、ダンジーも着々とその距離を縮めて来ていた。10ラップ目、フィニッシュジャンプ直後のコーナーで、バーシアがスチュワートをブロックパスするが、トリプルジャンプ手前でミスをしてこれを飛ぶ事が出来ず、一気に2位から5位まで順位を落としてしまう。この時点で、ビロポートは2位以下に3秒以上のリードを築いていた。その後も、2位以下のバトルはレース終了まで続いたが、順位が入れ替わるまでには至らず、最終的にはビロポート、スチュワート、リード、ダンジー、バーシアの順でフィニッシュ。ポイントリーダーのデイビー・ミルサップス(スズキ)は、彼らと僅差の6位に終わった。
今回のセントルイスでは、圧倒的なスピードを見せたビロポートが中盤から独走で走り切り、今シーズン4勝目を挙げたが、一方で、ポイントリーダーのミルサップスは6位に終わり、ポイント差はビロポートと12ポイントにまで縮まってしまった。まだまだ残りのラウンド数を考えるとタイトルの行方を予想するのは難しいが、なんとなくミルサップス、ビロポート、ダンジーの3ライダーに絞られてきたようにも見える。そしてそのタイトル争いを掻き回すであろうスチュワート、バーシア、トマックなどのライディングからも目が離せない。次のラウンドは、スーパークロスの中でも最も歴史が長い場所のひとつである、デイトナだ。来週もエキサイティングなレースを期待したい。
順位 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | ベストタイム | |
1 | 1 | R・ビロポート | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | 49.369 | |
2 | 7 | J・スチュワート | Yoshimura Suzuki | Suzuki | 49.843 | |
3 | 22 | C・リード | TWOTWO Mortorsports | Honda | 50.134 | |
4 | 5 | R・ダンジー | Red Bull KTM | KTM | 52.537 | |
5 | 51 | J・バーシア | Team Honda Muscle Milk | Honda | 49.879 | |
6 | 18 | D・ミルサップス | Rockstar Energy Racing | Suzuki | 49.883 | |
7 | 800 | M・アレッシ | Motoconcepts Racing | Suzuki | 50.493 | |
8 | 41 | T・カナード | Team Honda Muscle Milk | Honda | 38.114 | |
9 | 10 | J・ブレイトン | JGRMX Toyota Yamaha | Yamaha | 50.980 | |
10 | 29 | A・ショート | BTOSports.com/KTM | KTM | 51.040 | |
11 | 20 | B・ティックル | RCH Suzuki | Suzuki | 51.120 | |
12 | 12 | J・ワイマー | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | 51.207 | |
13 | 17 | E・トマック | GEICO Honda | Honda | 50.583 | |
14 | 55 | J・アルバートソン | - | Honda | 51.286 | |
15 | 62 | M・ゴーキー | BTOSports.com/KTM | KTM | 51.190 | |
16 | 85 | C・パートリッジ | - | Honda | 52.481 | |
17 | 39 | R・キナイリー | N-Fab TiLUBE Yamaha | Yamaha | 51.449 | |
18 | 46 | W・ペイク | - | Suzuki | 51.159 | |
19 | 49 | P・ニコレッティー | N-Fab TiLUBE Yamaha | Yamaha | 53.979 | |
20 | 11 | K・チゾム | JGRMX Toyota Yamaha | Yamaha |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | メーカー | ポイント | |
1 | 18 | D・ミルサップス | Suzuki | 189 | |
2 | 1 | R・ビロポート | Kawasaki | 177 | |
3 | 5 | R・ダンジー | KTM | 166 | |
4 | 41 | T・カナード | Honda | 148 | |
5 | 22 | C・リード | Honda | 147 | |
6 | 51 | J・バーシア | Honda | 132 | |
7 | 7 | J・スチュワート | Suzuki? | 122 | |
8 | 29 | A・ショート | KTM | 113 | |
9 | 10 | J・ブレイトン | Yamaha | 103 | |
10 | 20 | B・ティックル | Suzuki? | 87 | |
11 | 62 | M・ゴーキー | KTM | 85 | |
12 | 800 | M・アレッシ | Suzuki? | 74 | |
13 | 12 | J・ワイマー | Kawasaki | 70 | |
14 | 46 | W・ペイック | Suzuki? | 42 | |
15 | 33 | J・グラント | Yamaha | 40 | |
16 | 55 | J・アルバートソン | Honda? | 38 | |
17 | 11 | K・チゾム | Yamaha? | 38 | |
18 | 47 | M・ラモイン | Kawasaki | 34 | |
19 | 42 | V・フリッシー | Honda? | 30 | |
20 | 39 | R・キナイリー | Yamaha | 28 |
アーリントン、アトランタと、現在まで2ラウンドが消化されている250ccクラス イースト。ディーン・ウィルソン(カワサキ)、ウィル・ハーン(ホンダ)の2人がそれぞれ優勝を分け合い、ランキングもこのクラスをリードしている。ルーキーのライダーたちも健闘してはいるものの、今のところ彼らを脅かすまでには至っていない。メインレース前に行われるヒートレースではブレイク・ウォートン(スズキ)、ウィルソンの2ライダーが勝利し、メインレース進出を決めた。ルーキーのザック・ベル(ホンダ)は、またしてもクラッシュでLCQからのメインレース進出となったが、相変わらずルーキーらしいアグレッシブなライディングスタイルで会場を沸かせていた。
メインレース(15周)、スタートから飛び出したのは、先週キャリア初優勝を飾ったハーン。その後ろにはビンス・フリージー(ホンダ)、ウォートンと続くが、2ラップ目にはウォートンがフリージーをパスし早くも2位へとポジションをアップする。さらに、3ラップ目にはウィルソンもフリージーをフープス手前のコーナーでクリーンパスし、3位へとポジションをアップ。それに続くように、マービン・ムスキャン(KTM)も5ラップ目にはフリージーをパスし、4位へとポジションを上げる。一方、トップのハーンはウォートンに2秒ほどのリードを保っていたが、その後ろでウィルソンがハイペースでウォートンに迫り、8ラップ目のフィニッシュジャンプ直後のスリッピーなコーナーでインサイドに入りパス。その後もウィルソンはハイペースで走り続けた結果、10ラップ目には完全にハーンへプレッシャーを与える事の出来る距離まで近づいていた。しかし、ここからハーンが素晴らしい粘りを見せる。13ラップ目、完全にハーンを射程距離内に収めていたウィルソンが、またもフィニッシュジャンプ直後のコーナーでインに入り一旦はパスするが、ハーンはそれにすかさず反応し、すぐにラインをクロスさせ再び前に出る。その後、2人のバトルはファイナルラップまで続くものの、ウィルソンはハーンを捕らえるまでには至らず、ハーンが先週のアトランタに続き2連勝を飾った。2位にはそのままウィルソン、3位にはウォートンが入り、ラウンド1と同じ顔ぶれのポディウムとなった。
ここまでのラウンドでは完全にトップ4がこのクラスをリードしているシーズンが続いているが、次のラウンドはデイトナ。いつものレギュラーのスーパークロストラックとは異なり、アウトドアレースとの中間のようなサンドトラックが特徴で、ラップタイムもいつもよりかなり長めのラウンドでもある。一昨年(2011年)のアウトドアシリーズのチャンピオンであるウィルソンが勝つのか、それとも絶好調のハーンか。さらには、アウトドアでは絶対的な強さを誇るムスキャンか、予想困難なラウンドになりそうだ。
順位 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | ベストタイム | |
1 | 19 | W・ハーン | GEICO Honda | Honda | 50.232 | |
2 | 15 | D・ウィルソン | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | 49.795 | |
3 | 13 | B・ウォートン | Rockstar Energy Racing | Suzuki | 50.388 | |
4 | 25 | M・ムスキャン | Red Bull KTM | KTM | 50.812 | |
5 | 77 | J・マーティン | Starracing/Yamaha | Yamaha | 51.029 | |
6 | 42 | V・フリージー | Slaton Racing | Honda | 52.512 | |
7 | 613 | J・デコティス | High octane Harley Davidson/Dedicated athletics | Honda | 51.865 | |
8 | 48 | C・トンプソン | - | Honda | 51.819 | |
9 | 167 | Z・ベル | GEICO Honda | Honda | 52.149 | |
10 | 69 | P・ラーセン | - | Honda | 52.142 | |
11 | 67 | G・フェイス | Motoconcepts Racing | Honda | 51.814 | |
12 | 71 | Z・フリーバーグ | - | Honda | 53.065 | |
13 | 73 | AJ・カタンザーロ | - | Kawasaki | 52.519 | |
14 | 675 | K・フッシー | High octane Harley Davidson/Dedicated athletics | Honda | 53.104 | |
15 | 248 | M・オールデンバーグ | Core MX Performance/Karl Klement Ford/One In | Honda | 53.128 | |
16 | 317 | J・ヒル | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | 51.821 | |
17 | 412 | L・キルバーガー | - | Honda | 54.104 | |
18 | 393 | D・ハーレイン | - | Honda | 53.460 | |
19 | 87 | L・ビンセント | - | KTM | 53.091 | |
20 | 81 | S・ライフ | - | Honda | 53.506 |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | メーカー | ポイント | |
1 | 19 | W・ハーン | Honda | 70 | |
2 | 15 | D・ウィルソン | Kawasaki | 69 | |
3 | 13 | B・ウォートン | Suzuki | 60 | |
4 | 25 | M・ムスキャン | KTM | 53 | |
5 | 42 | V・フリージー | Honda? | 39 | |
6 | 67 | G・フェイス | Suzuki | 38 | |
7 | 317 | J・ヒル | Kawasaki | 36 | |
8 | 613 | J・デコティス | Honda | 34 | |
9 | 77 | J・マーティン | Yamaha | 32 | |
10 | 50 | K・ピーターズ | Honda | 31 | |
11 | 167 | Z・ベル | Honda | 26 | |
12 | 48 | C・トンプソン | Honda | 25 | |
13 | 248 | M・オールデンバーグ | Honda | 25 | |
14 | 87 | L・ビンセント | KTM | 22 | |
15 | 45 | G・スワンプール | Kawasaki | 13 | |
16 | 69 | P・ラーセン | Honda | 11 | |
17 | 194 | J・リチャードソン | Honda? | 11 | |
18 | 73 | AJ・カタンザーロ | Kawasaki | 11 | |
19 | 412 | L・キルバーガー | Honda | 11 | |
20 | 385 | A・ガレイ | Kawasaki | 10 |
WEB・GRAPHIC DESIGNER/PHOTOGRAPHER 元プロMXライダー。トランスワールドMX編集部を経て、同社でデザイナーとして勤務。退社後に独立、いわきで バンザイマガジン (FMXフリーマガジン)を立ち上げ、編集長を勤めている。
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