掲載日:2013年03月13日 エクストリーム › モトクロス
文・まとめ/宮本 将平
依然、デイビー・ミルサップス(スズキ)がポイントランキングでトップを守っている450クラス。しかし、中盤戦に突入してからはディフェンディングチャンピオンであるライアン・ビロポート(カワサキ)が徐々にではあるが、その差を縮め始めている。さらに、先週のセントルイスで総合ランキング2位のビロポートが勝利したのとは対称的に、ミルサップスは連続ポディウムフィニッシュが途絶え、6位フィニッシュ。ポイント差がわずか12で、今回のデイトナラウンドを迎える事となった。今回から250クラス ウエストでランキングトップを快走するケン・ロクスン(KTM)がエントリーを開始したため、ただでさえ混戦の450クラスはさらに見所満載に。その注目が集まる最初のレースでは、ヒートレースでジャスティン・バーシア(ホンダ)、ジェイムズ・スチュワート(スズキ)がそれぞれ勝利するが、ヒート2ではロクスンがファイナルラップまでスチュワートを抑える活躍を見せた。
メインレース(20周)、ホールショットは絶好調のビロポート、その後にロクスン、バーシア、ライアン・ダンジー(KTM)、トレイ・カナード(ホンダ)、スチュワート、チャド・リード(ホンダ)と続く。2ラップ目、トップを走るビロポートがヘアピンコーナーの立ち上がりでスリップし、コースアウト。順位を3位まで落とす。それに代わってトップに立ったのは、すぐ背後に着けていたロクスン。ビロポートのコースアウトで2位にポジションアップしたバーシアだが、コースに復帰したビロポートにコーナリングですぐにパスされてしまう。そのままの勢いで、2位へとポジションをアップしたビロポートはロクスンの背後に迫り、プレッシャーを与え始める。4ラップ目、連続ジャンプを強烈なスクラブで通過したビロポートがロクスンをあっさりとパスし、トップを奪う。さらに、その後すぐにバーシアが得意の連続ジャンプセクションでロクスンをパスし、ビロポートの追撃を開始する。その一方で、トップから僅差で5位を走っていたスチュワートは、ヘアピンコーナのサンドでフロントタイヤをとられ転倒、大きく順位を落としてしまう。6ラップ目、なかなかペースを上げる事の出来ないロクスンを、チームメイトのダンジーがパス、さらにその後からはカナード、リードもロクスンに迫り始め、4位争いが激化し始める。9ラップ目、ビロポートから徐々にリードを広げられていたバーシアを、ダンジーがバンクの外側からクリーンパスし、順位を2位へと上げる。その後ろではロクスンをパスしたリードが、その直後にバランスを崩し転倒。彼も順位を落としてしまう事となった。12ラップ目、今度は4位のロクスンをトマックが捉え順位を上げるが、3位を走るバーシアとは8秒以上の差があり、追いつくには相当なペースアップが必要に見えた。
13ラップ目、トラックにはギャップや轍が増え、本当にタフなメインレースとなったが、ビロポートは2位のダンジーに約8秒のアドバンテージを築いていた。14ラップ目、今度はロクスンの後方からカナード、そして先程クラッシュしたリードが迫り、彼らもロクスンを難なくパス。さらに、リードはカナードまでもパスし、5位まで順位を回復させる。ビロポートはトップをクルージングしたままで快走し、8秒程のリードをキープしたままフィニッシュ。今シーズン5勝目をマークしたのと同時に、10位でフィニッシュしたミルサップスに代わってポイントリーダーの座を奪った。
今回のデイトナラウンドは多くのクラッシュからもわかる通り、本当にタフなトラックでのレースとなった。そんな中でも圧倒的な強さを見せたのが、ディフェンディングチャンピオンであるビロポートで、対照的に今シーズンのワースト順位である10位でのフィニッシュとなってしまったのはミルサップス。彼は10ラウンド守り続けたレッドプレートをビロポートへ譲る事になった。しかし、まだ彼ら2人のポイント差はわずか2ポイント。ビロポートに流れが傾いたように見える450クラスだが、まだミルサップス、そしてダンジーにはタイトルの可能性がある。来週のインディアナポリスからは、また通常のスーパークラストラックでの戦いが始まり、まだまだヒートアップして行きそうな気配だ。
順位 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | ベストタイム | |
1 | 1 | R・ビロポート | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | 1:18.964 | |
2 | 5 | R・ダンジー | Red Bull KTM | KTM | 1:19.908 | |
3 | 51 | J・バーシア | Team Honda Muscle Milk | Honda | 1:19.471 | |
4 | 17 | E・トマック | GEICO Honda | Honda | 1:20.613 | |
5 | 22 | C・リード | TWOTWO Mortorsports | Honda | 1:20.547 | |
6 | 18 | T・カナード | Musklemilk HONDA | Honda | 1:20.684 | |
7 | 94 | K・ロクスン | Red Bull KTM | KTM | 1:19.930 | |
8 | 7 | J・スチュワート | Yoshimura Suzuki | Suzuki | 1:19.795 | |
9 | 20 | B・ティックル | RCH Suzuki | Suzuki | 1:21.268 | |
10 | 18 | D・ミルサップス | Rockstar Energy Racing | Suzuki | 1:21.993 | |
11 | 62 | M・ゴーキー | BTOSports.com/KTM | KTM | 1:21.379 | |
12 | 29 | A・ショート | BTOSports.com/KTM | KTM | 1:22.137 | |
13 | 12 | J・ワイマー | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | 1:23.912 | |
14 | 54 | L・スミス | BTOSports.com/KTM | KTM | 1:23.126 | |
15 | 75 | J・ヒル | RCH Suzuki | Suzuki | 1:24.228 | |
16 | 800 | M・アレッシ | Motoconcepts Racing | Suzuki | 1:21.852 | |
17 | 57 | B・ラメイ | Rock River Yamaha | Yamaha | 1:24.178 | |
18 | 46 | W・ペイク | - | Suzuki | 1:23.801 | |
19 | 49 | P・ニコレッティー | N-Fab TiLUBE Yamaha | Yamaha | 1:24.283 | |
20 | 10 | J・ブレイトン | JGRMX Toyota Yamaha | Yamaha | 1:22.813 |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | メーカー | ポイント | |
1 | 1 | R・ビロポート | Kawasaki | 202 | |
2 | 18 | D・ミルサップス | Suzuki | 200 | |
3 | 5 | R・ダンジー | KTM | 188 | |
4 | 41 | T・カナード | Honda | 163 | |
5 | 22 | C・リード | Honda | 163 | |
6 | 51 | J・バーシア | Honda | 152 | |
7 | 7 | J・スチュワート | Suzuki | 135 | |
8 | 29 | A・ショート | KTM | 122 | |
9 | 10 | J・ブレイトン | Yamaha | 104 | |
10 | 20 | B・ティックル | Suzuki | 99 | |
11 | 62 | M・ゴーキー | KTM | 95 | |
12 | 800 | M・アレッシ | Suzuki | 79 | |
13 | 12 | J・ワイマー | Kawasaki | 78 | |
14 | 46 | W・ペイック | Suzuki | 45 | |
15 | 17 | E・トマック | Honda | 40 | |
16 | 33 | J・グラント | Yamaha | 40 | |
17 | 55 | J・アルバートソン | Honda | 38 | |
18 | 11 | K・チゾム | Yamaha | 38 | |
19 | 47 | M・ラモイン | Kawasaki | 34 | |
20 | 42 | V・フリッシー | Honda | 30 |
アトランタ、セントルイスと2周連続で優勝し、今回のレースではレッドプレート(ポイントリーダーの証)で臨むウィル・ハーン(ホンダ)と、先週までポイントリーダーだったディーン・ウィルソン(カワサキ)。さらに、ポディウム常連のマービン・ムスキャン(KTM)、ブレイク・ウォートン(スズキ)がシリーズをリードする250シリーズ イースト。デイトナは、シリーズの中で唯一アウトドア的なサンドトラックとして知られる伝統のラウンド。今回も、ウィルソン、ハーンの両ライダーがきっちりとヒートレースで勝利し、それぞれメインレースに駒を進める事となった。また、ランキングで上位を走るライダーたちもそれぞれヒートレースでは上位でフィニッシュし、LCQ(ラストチャンスクォリファイ)へ進んだのはオーストラリアのSXライダー、ギャビン・フェイス(ホンダ)だけであったが、LCQでは強さを見せ、メインレースに進む事となった。
メインレース(15周)、ホールショットは完璧なスタートダッシュを見せたムスキャン、その後ろにルーキーのザック・ベル(ホンダ)、さらにはウィルソン、ハーン、カイル・ピーターズ(ホンダ)、ジェレミー・マーティン(ヤマハ)らが続く。2ラップ目、2位を走るベルがウィルソンと接触転倒し、大きくポジションを落とす。その後方では好調のルーキー、マーティンがピーターズをパスし、順位を4位へと上げる。3ラップ目、2位へポジションを上げたウィルソンがトップのムスキャンとの距離を縮め、トップ争いが始まる。一方、なかなかペースの上がらないピーターズは、ウォートン、ジェームス・デコティス(ホンダ)に次々とパスされてしまうが、そのデコティスはその直後に単独で転倒し姿を消してしまう。
トップ争いはウィルソンがムスキャンを捉えるように思われたが、ウィルソンはミスを連発しムスキャンにリードを広げられてしまう事になる。7ラップ目、ペースの上がらないウィルソンは、3位、4位を走るハーンとマーティンに距離を縮められ始めていた。10ラップ目、連続ジャンプで並びかけたハーンがウィルソンをあっさりとパス。ウィルソンも一度は食い下がるが、ハーンはこの後、徐々にリードを広げる事となる。11ラップ目、今度はマーティンがウィルソンをクリーンパスし、3位へとポジションをアップさせる。トップを走るムスキャンは、この時点ですでに2位のハーンに10秒以上のリードがあり、優勝はほぼ確実。結果は、大方の予想通り、残り3ラップを危なげなく走り切ったムスキャンが勝利。彼にとってはスーパークロス初優勝という、記念すべきレースとなった。そして2位にはハーン、3位にはマーティンがそれぞれ入るという結果に終わった。
今回のデイトナはアウトドア的なトラックという事もあってか、ムスキャンが安定したライディングで勝利し、ポイント争いでもトップ2に若干ではあるが迫る事となった。だが、トップ2もきっちりと上位でフィニッシュしたため、ランキングが変動するまでに至らなかった。また、今回はルーキー勢としては初めて、マーティンがポディウムに立ち、そのポテンシャルを大きくアピールする事にもなった。これから中盤戦へと突入する250クラス イーストだが、450クラス、250クラス ウエスト同様、こちらも大混戦。来週が楽しみだ。
順位 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | ベストタイム | |
1 | 25 | M・ムスキャン | Red Bull KTM | KTM | 1:20.855 | |
2 | 19 | W・ハーン | GEICO Honda | Honda | 1:21.539 | |
3 | 77 | J・マーティン | Star Racing Yamaha | Yamaha | 1:21.739 | |
4 | 15 | D・ウィルソン | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | 1:19.778 | |
5 | 13 | B・ウォートン | Rockstar Energy Racing | Suzuki | 1:23.161 | |
6 | 317 | J・ヒル | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | 1:23.228 | |
7 | 50 | K・ピーターズ | AG Motorsports | Honda | 1:23.837 | |
8 | 71 | Z・フリーバーグ | - | Honda | 1:24.264 | |
9 | 48 | C・トンプソン | - | Honda | 1:23.923 | |
10 | 42 | V・フリージー | - | Honda | 1:23.482 | |
11 | 248 | M・オールデンバーグ | - | Honda | 1:24.485 | |
12 | 613 | J・デコティス | - | Honda | 1:23.196 | |
13 | 69 | P・ラーセン | - | Yamaha | 1:24.807 | |
14 | 73 | AJ・カンタザーロ | - | Kawasaki | 1:25.165 | |
15 | 87 | L・ビンセント | Munn Racing | KTM | 1:24.476 | |
16 | 556 | B・キーセル | - | Yamaha | 1:24.590 | |
17 | 393 | D・ヒーレイン | - | Honda | 1:27.864 | |
18 | 167 | Z・ベル | GEICO Honda | Honda | 1:22.807 | |
19 | 67 | G・フェイス | Motoconcepts Racing | Honda | 1:25.495 | |
20 | 81 | S・ライフ | - | Honda | - |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | メーカー | ポイント | |
1 | 19 | W・ハーン | Honda | 92 | |
2 | 15 | D・ウィルソン | Kawasaki | 87 | |
3 | 25 | M・ムスキャン | KTM | 78 | |
4 | 13 | B・ウォートン | Suzuki | 76 | |
5 | 77 | J・マーティン | Yamaha | 52 | |
6 | 317 | J・ヒル | Kawasaki | 51 | |
7 | 42 | V・フリージー | Honda | 50 | |
8 | 50 | K・ピーターズ | Honda | 45 | |
9 | 613 | J・デコティス | Honda | 43 | |
10 | 67 | G・フェイス | Honda | 40 | |
11 | 48 | C・トンプソン | Honda | 37 | |
12 | 248 | M・オールデンバーグ | Honda | 35 | |
13 | 167 | Z・ベル | Honda | 29 | |
14 | 87 | L・ビンセント | KTM | 28 | |
15 | 71 | Z・フリーバーグ | Honda | 22 | |
16 | 69 | P・ラーセン | Honda | 19 | |
17 | 73 | AJ・カタンザーロ | Kawasaki | 18 | |
18 | 45 | G・スワンプール | Kawasaki | 13 | |
19 | 412 | L・キルバーガー | Honda | 11 | |
20 | 194 | J・リチャードソン | Honda | 11 |
WEB・GRAPHIC DESIGNER/PHOTOGRAPHER 元プロMXライダー。トランスワールドMX編集部を経て、同社でデザイナーとして勤務。退社後に独立、いわきで バンザイマガジン (FMXフリーマガジン)を立ち上げ、編集長を勤めている。