
掲載日:2013年02月20日 エクストリーム › モトクロス
文・まとめ/宮本 将平
先週のサンディエゴではスタートから飛び出したポイントリーダー、デイビー・ミルサップス(スズキ)が圧倒的な強さを見せ、今シーズン2勝目を挙げたレースとなったが、今週からは開催地を東地区に移し、イーストラウンドがスタートする。トラックは例年通りのハードパックで、クラッシュした時のダメージは相当なものになる事が予想された。ヒート1ではここ2ラウンドで徐々に調子を上げて来ているジェイムズ・スチュワート(スズキ)がライアン・ビロポート(カワサキ)との接近戦に勝利し、トップでメインレースへ進出した。続くヒート2では、ポイントリーダーのミルサップスがトップでメインレース出場を決めた。そんな好調な彼らとは逆に、ジャスティン・バーシア(ホンダ)はヒート2のスタート直後の転倒で順位を大きく落とし、LCQ(ラストチャンスクォリファイ)からのメインレースとなってしまった。
メインレース(20周)、スタート前に大きな波乱が起きる。プラクティス、ヒートレース共に絶好調だったスチュワートのマシンがトラブルに見舞われ、彼はスタートラインにすら並ぶ事ができなかったのだ。スタートさえ決まれば勝利の可能性すらあっただけに、本当に残念だ。そして、彼を残したままスタートしたメインレースでホールショットを奪ったのは、ポイントリーダーのミルサップス。しかし、ほぼ真横に並んでいたディフェンディングチャンピオンのビロポートが、すぐにトップを奪う。そして、彼らのすぐ後に着けていたチャド・リード(ホンダ)がフィニッシュジャンプ手前で2位のミルサップスをあっさりとパスし2位へ浮上。ビロポートとリードの1、2という、昨年のこのレースとまったく同じシュチューションでのメインレースがスタートし、彼らの後ろにはミルサップス、ライアン・ダンジー(KTM)が着ける。ラウンド5、6と2ラウンド連続でポディウムフィニッシュのバーシアは、スタートで前に出る事が出来ず、中盤からのレースとなってしまう。4ラップ目、トップのビロポートは後続との差を徐々に広げ始めていたが、2位を争うリードとミルサップスのバトルは激化していた。何度もコーナーでリードのインサイドに入りプレッシャーを与え続けていたミルサップスがついにリードをクリーンパスし、トップを走るビロポートの追撃を開始する。一方、5位争いはここ数ラウンド好調のジャスティン・ブレイトン(ヤマハ)と、スタートで出遅れながらも徐々に順位を上げて来たバーシアの間で繰り広げられていた。しかし、ブレイトンはほぼノーミスで、後から迫るバーシアに隙を与えず、結局この2人のバトルはフィニッシュまで続く事となる。14ラップ目、3位のリードに迫っていたダンジーがついに彼をパスし、3位へ。さらに、ここから前を走るミルサップスとの距離を詰め始める。一方、トップのビロポートはこの時点でミルサップスに約4秒のリードを築いていて、彼の優勝は間違いないように見えた。この辺りから、ミルサップスの真後ろまで迫ったダンジーがミルサップスにプレッシャーをかけ続けるが、なかなかパスするまでには至らない。結局彼らのバトルはファイナルラップまで続くが、順位が変わるまでには至らなかった。優勝は、スタートからトップを守り続けたビロポート、2位にはポイントリーダーのミルサップス、3位にはランキング2位のダンジー、4位にはリード、その後ろにブレイトン、バーシアと続いた。
今回のラウンド7では、ビロポートがディフェンディングチャンピオンらしい貫禄のレースで今シーズン3勝目を挙げたが、彼にとってはこの会場でのレースで今まで5位以下になった事が無いという、最高に相性の良いトラックでもあり、その記録をさらに伸ばす結果にもなった。だが、ミルサップスもダンジーも、きっちりと2位、3位に入ったため、ポイント差を大きく詰めるまでには至らなかった。4位に入ったリードも、昨年はこのラウンドでビッグクラッシュしてそれ以降のラウンドをすべてキャンセルする事になったが、今シーズンはきっちりと次のラウンドにつなげた。そして、今回は不運でメインレースを走れなかったスチュワートも、毎ラウンド、ヒートレースでは強さを見せているだけに、今後はトップ争いに絡んでくる可能性は充分にある。次のラウンドは、アトランタ。今回のアーリントンを皮切りに、ハードパックトラックでのラウンドが始まったが、これが今後どのように影響してくるのか。次週のアトランタからは、250ウエストで3勝を挙げているイーライ・トマック(ホンダ)もこのクラスに参戦する予定だ。450クラスは、これからますます面白くなってくるだろう。
順位 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | ベストタイム | |
1 | 1 | R・ビロポート | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | 44.356 | |
2 | 18 | D・ミルサップス | Rockstar Suzuki | Suzuki | 44.530 | |
3 | 5 | R・ダンジー | Red Bull KTM | KTM | 44.800 | |
4 | 22 | C・リード | TWOTWO Mortorsports | Honda | 44.923 | |
5 | 10 | J・ブレイトン | RJGRMX Toyota Yamaha | Yamaha | 45.071 | |
6 | 51 | J・バーシア | Team Honda Muscle Milk | Honda | 44.785 | |
7 | 41 | T・カナード | Team Honda Muscle Milk | Honda | 45.318 | |
8 | 62 | M・ゴーキー | BTOSports.com/KTM | KTM | 45.787 | |
9 | 29 | A・ショート | - | Honda | 45.986 | |
10 | 20 | B・ティックル | RCH Suzuki | Suzuki | 45.779 | |
11 | 46 | W・ペイック | Hyper X/R2MX/ProRide/Fly/Utopia | Suzuki | 46.000 | |
12 | 800 | M・アレッシ | Motoconcepts Racing/Smartop/JT Racing/FMF | Suzuki? | 45.681 | |
13 | 55 | J・アルバートソン | Fly Racing/HRT/MotoThump/Merge Racing/Be | Honda | 46.069 | |
14 | 39 | R・キナイリー | Velocity3 Racing/Yamaha | Yamaha | 46.691 | |
15 | 75 | J・ヒル | RCH Suzuki | Suzuki | 47.258 | |
16 | 57 | B・ラメイ | Rock River Yamaha | Yamaha | 47.109 | |
17 | 64 | J・サイプス | Gateway Cycles/The Privateer Journey/Fly Racing | Kawasaki | 47.783 | |
18 | 85 | K・パートリッジ | MB1 racing,shift, FMF,2up racing/high desert se | Honda | 46.474 | |
19 | 84 | C・ブルース | N-Fab TiLUBE Yamaha | Yamaha | 46.730 | |
20 | 7 | J・スチュワート | Yoshimura Suzuki | Suzuki? |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | メーカー | ポイント | |
1 | 18 | D・ミルサップス | Suzuki | 154 | |
2 | 5 | R・ダンジー | KTM | 133 | |
3 | 1 | R・ビロポート | Kawasaki | 130 | |
4 | 41 | T・カナード | Honda | 119 | |
5 | 22 | C・リード | Honda | 115 | |
6 | 51 | J・バーシア | Honda | 98 | |
7 | 29 | A・ショート | Honda | 95 | |
8 | 10 | J・ブレイトン | Yamaha | 83 | |
9 | 7 | J・スチュワート | Suzuki | 75 | |
10 | 62 | M・ゴーキー | KTM | 69 | |
11 | 20 | B・ティックル | Suzuki | 68 | |
12 | 800 | M・アレッシ | Suzuki | 49 | |
13 | 12 | J・ワイマー | Kawasaki | 48 | |
14 | 33 | J・グラント | Yamaha | 40 | |
15 | 46 | W・ペイック | Suzuki | 39 | |
16 | 11 | K・チゾム | Yamaha | 37 | |
17 | 47 | M・ラモイン | Kawasaki | 34 | |
18 | 42 | V・フリッシー | Honda | 30 | |
19 | 55 | J・アルバートソン | Honda | 29 | |
20 | 39 | R・キナイリー | Yamaha | 23 |
昨シーズンまで2年連続でタイトルを獲得し、絶対的チャンピオンとしてこのクラスに君臨していたジャスティン・バーシア(ホンダ)が450クラスへステップアップしたため、新たな時代が始まった250イースト。さらに、昨シーズンのこのクラスで上位常連ライダーだった、ケン・ロクスン(KTM)やブレイク・バゲット(カワサキ)もウエストシリーズにクラスを変更したり、逆に昨シーズンのウエストでトマックとタイトル争いを展開したディーン・ウィルソン(カワサキ)、そしてフランス人ライダーのマービン・ムスキャン(KTM)が新たにイーストシリーズに参戦したりと、予想困難なシーズン開幕でもあった。ヒートーレースではそのウィルソンと、オーストラリアのスーパークロスチャンピオン、ギャビン・フェイス(ホンダ)がそれぞれ勝利したが、ブレイク・ウォートン(スズキ)やルーキーのザック・ベル(ホンダ)はヒートレースでクラッシュし、それぞれLCQからのメインレースとなってしまった。特にベルはヒートレースでとんでもないクラッシュをしたのにも関わらずメインレースへ出場を果たしたのには、誰もが驚いただろう。
メインレース(15周)、ホールショットはルーキーのカイル・ピータース(ホンダ)、そのすぐ後ろにはウィルソン、さらにLCQからのメインレース出場となったウォートンが続く。残念ながらムスキャンは1コーナーでクラッシュし、最後尾からのレースとなってしまった。1ラップ目の後半、フープスでスピードに乗ったウィルソンが、続くバンクでアウトサイドから早くもピータースをパス。すぐに後続とのリードを広げ始める。2ラップ目、ペースの上がらないピータースを、今度はウォートンがあっさりとパスし2位へ順位を上げるが、トップのウィルソンはその時すでに3秒のリードを築いていた。3位に順位を落としたピータースはその後もペースを上げることが出来ず、6ラップ目にはカナディアンのコール・トンプソン(ホンダ)にもパスされる事になる。一方、後方からはウィル・ハーン(ホンダ)、ルーキーのジャスティン・ヒル(カワサキ)が徐々に順位を上げ始め、7ラップ目にはそれぞれ5位、6位まで上がってきていた。8ラップ目、3位のトンプソンがトリプルジャンプで、9位のベルがリズムセクションでそれぞれクラッシュし、姿を消す。シリーズ全17ラウンドの中でも特にハードパックで有名なアーリントンでは、ひとつのクラッシュでこのような結果になってしまう事は決して珍しくない。一方で、トップのウィルソン、ウォートンは3位以下に大きな差を付け独走していたが、3位のピータースは10ラップ目にハーンにパスされる事になる。その後は大きな動きがないままレースは後半戦を迎え、結果的には1ラップ目からトップに立ったウィルソンが、他を寄せ付けない圧倒的な強さで優勝。2位には、こちらも序盤からずっと2位を守ったウォートン、3位にはハーン、4位にはホールショットのピータース、5位にはルーキーのヒル、6位には最後尾から追い上げのムスキャンが入った。
450クラスはすでに中盤戦へと突入しているが、250クラスイーストはまだラウンド1を終えたばかり。ウィルソンとウォートンの2人は前評判通りの強さを見せたが、今回はスタート直後のクラッシュで6位に終わったムスキャンや、強烈な印象を残してくれたルーキーたちもどんどん上位へ進出してくるだろう。来週のアトランタも非常に楽しみだ。
順位 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | ベストタイム | |
1 | 15 | D・ウィルソン | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | 45.997 | |
2 | 13 | B・ウォートン | Rockstar Suzuki | Suzuki | 46.482 | |
3 | 19 | W・ハーン | GEICO Honda | Honda | 46.534 | |
4 | 50 | K・ピータース? | AG Motorsports | Honda | 47.070 | |
5 | 317 | J・ヒル | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | 47.421 | |
6 | 25 | M・ムスキャン | Red Bull KTM | KTM | 46.765 | |
7 | 67 | G・フェイス | Motoconcepts Racing | Suzuki | 47.341 | |
8 | 613 | J・デコティス | High octane Harley Davidson/Dedicated athletics | Honda | 47.683 | |
9 | 42 | V・フリージー | Slaton Racing/Tuf Racing/ONeal/Shoei/Dunlop/A | Honda | 47.806 | |
10 | 87 | L・ビンセント | Munn Racing | KTM | 47.455 | |
11 | 194 | J・リチャードソン | - | Honda | 47.721 | |
12 | 248 | M・オールデンバーグ | Core MX Performance/Karl Klement Ford/One In | Honda | 47.784 | |
13 | 45 | G・スワンプール | Motosport.com/Motul/WeAllRide/MX707 Designs | Kawasaki | 48.792 | |
14 | 412 | L・キルバーガー | kilbarger drilling, oneal, scott, renegade, sunsta | Honda | 49.675 | |
15 | 385 | W・ガレイ | DG Flooring/Glory Hog/Fly/Shades of Gray/DZ G | Kawasaki | 49.382 | |
16 | 244 | R・ジマー | Maykers/Witt Racing | Honda | 49.230 | |
17 | 48 | C・トンプソン | - | Honda | 47.094 | |
18 | 167 | Z・ベル | GEICO Honda | Honda | 47.665 | |
19 | 304 | B・リップル | Shea Racing/SMS Racing/PassportWorld.com/N | KTM | 51.380 | |
20 | 266 | J・ウェントランド | LCR KTM, Fox, Oakley, Enzo Suspension, FMF | KTM | 1:06.347 |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | メーカー | ポイント | |
1 | 15 | D・ウィルソン | Kawasaki | 25 | |
2 | 13 | B・ウォートン | Suzuki | 22 | |
3 | 19 | W・ハーン | Honda | 20 | |
4 | 50 | K・ピータース | Honda | 18 | |
5 | 317 | J・ヒル | Kawasaki | 16 | |
6 | 25 | M・ムスキャン | KTM | 15 | |
7 | 67 | G・フェイス | Suzuki | 14 | |
8 | 613 | J・デコティス | Honda | 13 | |
9 | 42 | V・フリージー | Honda | 12 | |
10 | 87 | L・ビンセント | KTM | 11 | |
11 | 194 | J・リチャードソン | Honda | 10 | |
12 | 248 | M・オールデンバーグ | Honda | 9 | |
13 | 45 | G・スワンプール | Kawasaki | 8 | |
14 | 412 | L・キルバーガー | Honda | 7 | |
15 | 385 | W・ガレイ | Kawasaki | 6 | |
16 | 244 | R・ジマー | Honda | 5 | |
17 | 48 | C・トンプソン | Honda | 4 | |
18 | 167 | Z・ベル | Honda | 3 | |
19 | 304 | B・リップル | KTM | 2 | |
20 | 266 | J・ウェントランド | KTM | 1 |
1コーナー直後に設けられているフープスは、本番前にライダーからの要望でステップオン・ステップオフを含むリズムセクションに変更されました。
WEB・GRAPHIC DESIGNER/PHOTOGRAPHER 元プロMXライダー。トランスワールドMX編集部を経て、同社でデザイナーとして勤務。退社後に独立、いわきで バンザイマガジン (FMXフリーマガジン)を立ち上げ、編集長を勤めている。
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