
掲載日:2013年01月23日 エクストリーム › モトクロス
文・まとめ/宮本 将平
ジャスティン・バーシア(ホンダ)の450クラス初勝利から1週間、フェニックスから再びアナハイムスタジアムに戻り、ラウンド3が開催された。今回のレースのオープニングセレモニーではスーパークロス レジェンド、ケビン・ウィンダム(ホンダ)の電撃引退が発表され、多くのファンが彼の偉大な功績に拍手を送った。まだまだ強さは健在だっただけに残念ではあるが、彼は引退後もアメリカのモトクロスシーンに大きな影響を残していくだろう。
ヒートレース(予選)ではなんと、ラウンド1・ラウンド2でそれぞれ勝利しているデイビー・ミルサップス(スズキ)とバーシアが共にクラッシュし、LCQ(ラストチャンスクオリファイ)へ進むという波乱が起きた。LCQでは順当に1、2フィニッシュでメインレースには進んだ彼らだが、スタートのポジション選択権がほとんど無い状態でのメインレーススタートは、相当不利となる事が予想された。
注目のメインレース、ホールショットはジェイク・ワイマー(カワサキ)。そしてすぐ後にLCQから上がってきたバーシアがピタリと着けるが、リズムレーンでケース(失敗)し、順位を落とす。変わって2位に上がった好調のトレイ・カナード(ホンダ)が2周目のリズムレーン後のバンクでインからワイマーをパスし、早くもトップに立つ。ここからカナードは後ろとリードを広げ始めるが、ワイマーは逆にペースが上がらずどんどん順位を落としていく事になる。3周目、カナードと同じセクションでワイマーをパスしたバーシアが、続くトリプルジャンプへスピードが足りないまま進入し、おもいっきり逆斜面にケース。その衝撃でハンドルバーに顔面を強打し、なんとここでDNF(Did Not Finish リタイア)。彼は先週のフェニックスで勝利しただけに、とても残念だ。一方、ヒートレースではトップタイムをマークし、今日こそは今シーズン初勝利を狙うライアン・ビロポート(カワサキ)は、スタートではセカンドグループにいたものの徐々に順位を上げ、5周目には2位走行中のポイントリーダー、ミルサップスをパスし、トップのカナードに迫る。さらに6周目にはトップのカナードにフープスで並びかけ、続くスリッピーなフラットコーナーでカナードがミスした瞬間にあっさりと彼をパスし、トップに立つ。その後はディフェンディングチャンピオンらしい圧倒的な強さで残りのラップを走りきり、ラウンド3でようやく今シーズンの初勝利をマークした。2位には昨年の大ケガからこのレースでちょうど1年のカナード、3位にはミルサップスがスリップダウンした隙に前に出たチャド・リード(ホンダ)がそれぞれ入った。リードは2ラウンド連続で4位だったが、このラウンドでようやく今シーズン初ポディウムをゲット。スタートで前に出られなかったライアン・ダンジー(KTM)は我慢のレースで6位。アナハイム1のプラクティスでの転倒で右膝の前十字靭帯を負傷した事を発表したジェームズ・スチュワート(スズキ)は、転倒で12位という結果に終わる。
振り返ってみると昨年もビロポートは開幕直後は不運なレースが続き、このラウンド3くらいから徐々に調子を取り戻し、勝利を重ね始めた。そしてリードも昨年、ビロポート同様にラウンド3あたりから調子を上げ始め、ラウンド7のダラスでクラッシュし戦線離脱するまでは常にトップを伺えるポジションでレースをしていた。450クラスはまだまだ序盤戦でこの先を予想する事は難しいが、ここからビロポートが連勝し独走態勢を築くか、それとも他のライダーが連勝を止めるかで、シーズンの流れが変わっていきそうな予感もする。いずれにせよ今週末オークランドは、キーとなるラウンドになるだろう。
順位 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | ベストタイム | |
1 | 1 | R・ビロポート | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | 52.892 | |
2 | 41 | T・カナード | Team Honda Muscle Milk | Honda | 53.467 | |
3 | 22 | C・リード | TWOTWO Mortorsports | Honda | 53.813 | |
4 | 18 | D・ミルサップス | Rockstar Suzuki | Suzuki | 53.780 | |
5 | 12 | J・ワイマー | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | 54.264 | |
6 | 5 | R・ダンジー | Red Bull KTM | KTM | 54.130 | |
7 | 29 | A・ショート | Chaparral Honda | Honda | 54.574 | |
8 | 10 | J・ブレイトン | JGRMX Toyota Yamaha | Yamaha | 54.985 | |
9 | 62 | M・ゴーキー | BTOSports.com/KTM | KTM | 55.344 | |
10 | 33 | J・グラント | JGRMX Toyota Yamaha | Yamaha | 55.490 | |
11 | 20 | B・ティックル | RCH Suzuki | Suzuki | 55.538 | |
12 | 7 | J・スチュワート | Yoshimura Suzuki | Suzuki | 54.675 | |
13 | 46 | W・ペイック | Hyper-X,FLY,R2MX,Rocket Exhaust,Pro Ride. | Suzuki | 55.151 | |
14 | 800 | M・アレッシ | Motoconcepts Racing/Smartop/JT Racing/FMF | Suzuki | 55.851 | |
15 | 13 | K・チゾム | Velocity3 Racing | Yamaha | 56.096 | |
16 | 42 | V・フリッシー | Slaton Racing/Tuf Racing/ONeal/Dunlop/Shoei | Honda | 56.322 | |
17 | 84 | C・ブルース | N-Fab TiLUBE Yamaha | Yamaha | 57.099 | |
18 | 39 | R・キナイリー | - | Yamaha | 56.549 | |
19 | 47 | M・ラモイン | JAB Motorsports/SCOTT/Silkolene/FMF/JM Racing | Kawasaki | 58.376 | |
DNF | 51 | J・バーシア | Team Honda Muscle Milk | Honda | 55.359 |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | メーカー | ポイント | |
1 | 18 | D・ミルサップス | Suzuki | 63 | |
2 | 41 | T・カナード | Honda | 60 | |
3 | 22 | C・リード | Honda | 56 | |
4 | 1 | R・ビロポート | Kawasaki | 52 | |
5 | 5 | R・ダンジー | KTM | 48 | |
6 | 12 | J・ワイマー | Kawasaki | 47 | |
7 | 29 | A・ショート | Honda | 41 | |
8 | 51 | J・バーシア | Honda | 40 | |
9 | 7 | J・スチュワート | Suzuki | 36 | |
10 | 33 | J・グラント | Yamaha | 32 | |
11 | 10 | J・ブレイトン | Yamaha | 31 | |
12 | 62 | M・ゴーキー | KTM | 25 | |
13 | 20 | B・ティックル | Suzuki | 22 | |
14 | 11 | K・チゾム | Yamaha | 22 | |
15 | 46 | W・ペイック | Suzuki | 22 | |
16 | 14 | K・ウィンダム | Honda | 21 | |
17 | 47 | M・ラモイン | Kawasaki | 13 | |
18 | 42 | V・フリッシー | Honda | 12 | |
19 | 800 | M・アレッシ | Suzuki | 9 | |
20 | 39 | R・キナイリー | Yamaha | 5 |
ラウンド2まではディフェンディングチャンピオンのイーライ・トマック(ホンダ)が圧倒的な強さで2連勝している250クラス ウエスト。ヒートレースではトマックに続きランキング2位のケン・ロクスン(KTM)が同じグループからの出走で、スタートからトップに立ちそのままゴール。ヒートレースながら今シーズン初めてトマックを下し、メインレースを迎える展開になった。
注目のメインレース。ホールショットは地元のコール・シーリー(ホンダ)が奪う。その背後にロクスン、さらにその後ろにはトマックという、ランキング3位までのライダーがトップグループを形成する展開となった。ロクスン、トマックが僅差で直接対決する展開に序盤からスタジアム全体が沸いたが、レースをリードしたのはシーリー。ミスの少ないスマートなライディングで後続の2人にパスするチャンスを与えない。8ラップ目、ここからレースが動き始める。ここまでトップ2を後ろからじっくりと観察していたトマックが、フープス直後の右コーナーでミスしたロクスンをクリーンパスし、さらにペースを上げてトップのシーリーに迫る。11周目、ここまで絶好調のシーリーに徐々にトマックが迫り、サンドセクション後のストレートでアウトサイドから豪快にパス。しかし簡単にトップを譲りたくないシーリーは、トマックにもう一度アタックするが、ここはしっかりとブロックされ、トップ争いはエンド。ラスト3周をきっちりとリードを広げながら走りきったトマックが、開幕から怒濤の3連勝を飾った。後はいつも通りの展開で、2位には後半ペースを上げてきたロクスン、3位にはシーリーが入り、メインレースはランキング通りの結果に終わった。
今回のラウンド3では、今シーズンはじめてトマックとロクスンの直接対決となり、トマックが勝利するという形になったが、ロクスンも毎レース毎にその差を詰めてきている。そろそろ中盤を迎える250クラス ウエストだが、トータルのポイントではまだまだ接近戦となっている2人に注目が集まる。常勝チームであるプロサーキットカワサキが、ブレイク・バゲットの離脱(開幕戦で手と手首を骨折し、スーパークロスシーズンの復帰は困難)を含め、今ひとつ精彩を欠くシーズンとなっているが、彼らもここからの巻き返しを狙っているだろうし、ロックスタースズキのライアン・サイプスやジェイソン・アンダーソンも依然好調をキープしている。他にも注目ライダーが多くいるこのクラスからは、相変わらず目が離せない。
順位 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | ベストタイム | |
1 | 1 | E・トマック | GEICO Honda | Honda | 54.031 | |
2 | 94 | K・ロクスン | Red Bull KTM | KTM | 54.470 | |
3 | 43 | C・シーリー | Troy Lee Design/Lucas Oil/Honda | Honda | 54.238 | |
4 | 338 | Z・オズボーン | GEICO Honda | Honda | 55.446 | |
5 | 23 | J・カナダ | Motoconcepts Racing/Smartop/JT Racing/FMF | Honda | 55.607 | |
6 | 59 | C・クレイグ | Troy Lee Design/Lucas Oil/Honda | Honda | 55.914 | |
7 | 21 | J・アンダーソン | Rockstar Suzuki | Suzuki | 54.731 | |
8 | 28 | T・ラトレイ | Monster Energy/ProCircuit/Kawasaki | Kawasaki | 56.409 | |
9 | 38 | K・カニンガム | StarRacing | Yamaha | 56.000 | |
10 | 536 | J・ネルソン | Troy Lee Design/Lucas Oil/Honda | Honda | 56.086 | |
11 | 32 | M・スチュワート | JDR/J-star/KTM | KTM | 55.158 | |
12 | 40 | M・ダバロス | Monster Energy/ProCircuit/Kawasaki | Kawasaki | 54.906 | |
13 | 31 | T・ベイカー | Valli Motorsports Yamaha | Yamaha | 56.246 | |
14 | 72 | D・テッダー | - | Kawasaki | 57.799 | |
15 | 78 | S・チャンピオン | - | Honda | 58.169 | |
16 | 396 | D・エプステイン | - | Kawasaki | 58.243 | |
DNF | 74 | M・アンスティ | Rockstar Suzuki Europe | Suzuki | ||
DNF | 176 | J・サバージー | JDR/J-star/KTM | KTM | ||
DNF | 35 | R・サイプス | Rockstar Suzuki | Suzuki | ||
DNF | 80 | M・リーブ | - | Honda |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | メーカー | ポイント | |
1 | 1 | E・トマック | Honda | 75 | |
2 | 94 | K・ロクスン | KTM | 66 | |
3 | 43 | C・シーリー | Honda | 58 | |
4 | 338 | Z・オズボーン | Honda | 47 | |
5 | 59 | C・クレイグ | Honda | 35 | |
6 | 28 | T・ラトレイ | Kawasaki | 35 | |
7 | 38 | K・カニンガム | Yamaha | 35 | |
8 | 21 | J・アンダーソン | Suzuki | 32 | |
9 | 35 | R・サイプス | Suzuki | 31 | |
10 | 40 | M・ダバロス | Kawasaki | 30 | |
11 | 36 | J・ネルソン | Honda | 30 | |
12 | 32 | M・スチュワート | KTM | 29 | |
13 | 74 | M・アンスティ | Suzuki | 26 | |
14 | 176 | J・サバージー | KTM | 23 | |
15 | 23 | J・カナダ | Honda | 19 | |
16 | 80 | M・リーブ | Honda | 16 | |
17 | 31 | T・ベイカー | Yamaha | 14 | |
18 | 76 | A・ポリテリ | Honda | 13 | |
19 | 4 | B・バゲット | Kawasaki | 7 | |
20 | 72 | D・テッダー | Kawasaki | 7 |
WEB・GRAPHIC DESIGNER/PHOTOGRAPHER 元プロMXライダー。トランスワールドMX編集部を経て、同社でデザイナーとして勤務。退社後に独立、いわきで バンザイマガジン (FMXフリーマガジン)を立ち上げ、編集長を勤めている。
愛車を売却して乗換しませんか?
2つの売却方法から選択可能!