掲載日:2013年01月30日 エクストリーム › モトクロス
文・まとめ/宮本 将平
ラウンド4のオークランドは先週のアナハイム2と同じカリフォルニア州の北の都市で、昨年はジェームズ・スチュワート(スズキ)がシーズン初勝利を挙げたラウンドだ。アナハイム2はライアン・ビロポート(カワサキ)が今シーズン初勝利を挙げたが、このオークランドで彼に2連勝させてしまうと昨シーズン同様、ここから一気に流れを作られてしまう可能性がある。そのため、どのライダーも気合いが入る大事なラウンドになっただろう。アナハイム2ではスリッピーなトラックコンディションだったが、オークランドは柔らかい土を使用しているため轍が多くでき、1つのミスが大きなクラッシュに繋がる危険性もあったが、ヒートレースではデイビー・ミルサップス(スズキ)、ビロポートの両ライダーが順当に勝利し、他のトップランカーたちも安定したライディングで、いつもと同じようにメインレースにコマを進める事となった。
そのメインレース(20周)をスタートから勢いよく飛び出したのはビロポートで、早くも独走態勢へ持ち込もうとする。しかし、そのすぐ後方ではシーズンの流れが大きく変わってしまうほどの大クラッシュが発生する。1コーナー直後のフープスで、セカンドグループにいたチャド・リード(ホンダ)がバランスを崩し、さらにその背後にいたジョシュ・グラント(ヤマハ)ともつれながら次のコーナーに進入し、共にクラッシュ。さらには、その後ろにいたスチュワートやトレイ・カナード(ホンダ)まで巻き込むビッグクラッシュとなった。特に、スチュワートはマシンに大きなダメージを受け、ここでこのレースを諦めなければいけないという最悪の結果に……。また、同じくフープスの出口でライアン・ダンジー(KTM)に接触してバランスを崩しクラッシュしたジャスティン・バーシア(ホンダ)は、身体へのダメージが大きくここでDNF(Did Not Finish リタイア)となる。一方、トップに立ったビロポートは2位を走るジャスティン・ブレイトン(ヤマハ)との差をどんどん広げ、序盤から早くも独走態勢を築き始めていた。3ラップ目、この日も好調のポイントリーダー、ミルサップスがそのブレイトンをあっさりとパスし2位へポジションをアップするが、その時点でトップのビロポートとの差は6秒まで広がっていた。接触やスタートの失敗があったダンジーはハイペースで追い上げを開始し、10ラップ目には3位を走るブレイトンをブロックパスし順位を上げるが、ビロポート、ミルサップスは遥か先を走っているため、これ以上順位を上げる事はできなかった。終盤には、2度もクラッシュしながらもアグレッシブなライディングを続けたカナードが4位まで順位を上げるが、やはりこちらもそれ以上順位をアップする事はできなかった。
レースは、今回もチャンピオンらしい圧倒的な強さを見せたビロポートが勝利。フィニッシュした時点では、誰も彼を止める事はできないというくらいの雰囲気だ。しかし今回も2位に入り、依然ポイントリーダーの座を守っているミルサップスも今年は本当に強い。もちろん、カナードも僅差でランキング2位に着けている。バーシアは2ラウンド連続でDNFという事態で、タイトル争いは難しくなってきたかもしれない。
次週はまた開催地をアナハイムに戻し、ラウンド5が開催される。シーズンはまだまだ序盤戦だが、ビロポートに2連勝を許してしまった事が残りのシーズンにどう響いてくるか? もし彼に3連勝させてしまうような事になれば、V3へ一歩近付いて行きそうだ。
順位 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | ベストタイム | |
1 | 1 | R・ビロポート | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | 54.995 | |
2 | 18 | D・ミルサップス | Rockstar Suzuki | Suzuki | 56.223 | |
3 | 5 | R・ダンジー | Red Bull KTM | KTM | 56.136 | |
4 | 41 | T・カナード | Musklemilk HONDA | Honda | 56.478 | |
5 | 800 | M・アレッシ | Motoconcepts Racing/Smartop/JT Racing/FMF | Suzuki | 57.404 | |
6 | 29 | A・ショート | - | Honda | 57.508 | |
7 | 62 | M・ゴーキー | BTOSports.com/KTM | KTM | 57.677 | |
8 | 20 | B・ティックル | RCH Suzuki | Suzuki | 57.255 | |
9 | 42 | V・フリッシー | Slaton Racing/Tuf Racing/ONeal/Dunlop/Shoei | Honda | 57.690 | |
10 | 10 | J・ブレイトン | JGRMX Toyota Yamaha | Yamaha | 57.261 | |
11 | 55 | J・アルバートソン | - | Honda | 57.970 | |
12 | 22 | C・リード | TWOTWO Mortorsports | Honda | 56.720 | |
13 | 411 | K・チゾム | Velocity3 Racing | Yamaha | 58.336 | |
14 | 54 | L・スミス | BTO Sports/KTM | KTM | 58.446 | |
15 | 39 | R・キナイリー | - | Yamaha | 58.525 | |
16 | 33 | J・グラントー | JGRMX Toyota Yamaha | Yamaha | 57.889 | |
17 | 920 | C・ソーベイヤーズ | - | Honda | 58.630 | |
18 | 47 | M・ラモイン | JAB Motorsports/SCOTT/Silkolene/FMF/JM Racing | Kawasaki | 58.084 | |
DNF | 7 | J・スチュワート | Yoshimura Suzuki | Suzuki | ||
DNF | 51 | J・バーシア | Team Honda Muscle Milk | Honda |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | メーカー | ポイント | |
1 | 18 | D・ミルサップス | Suzuki | 85 | |
2 | 41 | T・カナード | Honda | 78 | |
3 | 1 | R・ビロポート | Kawasaki | 77 | |
4 | 5 | R・ダンジー | KTM | 68 | |
5 | 22 | C・リード | Honda | 65 | |
6 | 29 | A・ショート | Honda | 56 | |
7 | 12 | J・ワイマー | Kawasaki | 47 | |
8 | 10 | J・ブレイトン | Yamaha | 42 | |
9 | 51 | J・バーシア | Honda | 41 | |
10 | 62 | M・ゴーキー | KTM | 39 | |
11 | 7 | J・スチュワート | Suzuki | 38 | |
12 | 33 | J・グラント | Yamaha | 37 | |
13 | 20 | B・ティックル | Suzuki | 35 | |
14 | 11 | K・チゾム | Yamaha | 30 | |
15 | 800 | M・アレッシ | Suzuki | 25 | |
16 | 42 | V・フリッシー | Honda | 24 | |
17 | 46 | W・ペイック | Suzuki | 22 | |
18 | 14 | K・ウィンダム | Honda | 21 | |
19 | 47 | M・ラモイン | Kawasaki | 16 | |
20 | 55 | J・アルバートソン | Honda | 12 |
ラウンド4 オークランドの250ccクラス ウエストは、3戦全勝で、ランキングもトップを快走中だったイーライ・トマック(ホンダ)がヒートレースのスタート直後の1コーナーでまさかの転倒を喫し、なんとヒートレース7位からのメインレース進出となってしまった。逆に、ポイントランキングで2位に着けているケン・ロクスン(KTM)は、ヒートレースを完璧なライディングでトップ通過し、メインレースをトマックよりも優位で迎える事となった。ここまでの3ラウンドでは、すべてヒートレースから危なげないレースが続いていたトマックだけに、この転倒は連勝ストップの予兆のように感じた。
迎えたメインレース(15周)。ホールショットはジョーイ・サバージー(KTM)。その背後には、ロクスンがピタリと着ける。しかし、1ラップ目のサンドセクション直後のリズムセクションでサバージーがミスし、そのミスに付き合う形になってしまったロクスンの2人を一気にパスしたコール・シーリー(ホンダ)が、先週と同じようにトップに立つがロクスンもすぐにサバージーをパスし、2人の長いトップ争いがスタートする。代わって、スタートで出遅れ8位を走行中だったトマックを、再び不運が襲う。2ラップ目、リズムセクション直後の左コーナーでタフブロックを引っ掛け、転倒。エンジンもストップしてしまったため、ほぼ最後尾まで順位を落とす事になってしまったのだ。このままでは終われないトマックは、そこから超ハイペースで追い上げを開始する。しかし6ラップ目、ストレートの直後にあるフープスでコントロールを失い、再び転倒してしまう。しかも、今回の転倒はレース継続が不可能な程の大きなクラッシュ。そのままDNFとなったトマックは、連勝が3で止まったのと同時に、ポイントリーダーもロクスンに譲る事となってしまった。
そのロクスンが絡むトップ争いは、依然、シーリーとの間で続いていた。ロクスンもかなりのハイペースでシーリーを追い続けていたが、この日も絶好調だったシーリーは簡単にはトップを譲らず、8周目までは逆に、ロクスンから数秒のリードを奪うほどだった。12ラップ目にようやく状況が動き、徐々にシーリーを追いつめ始めたロクスンが、お手本のようなバンクでのブロックパスでシーリーからトップを奪うと、そこからは彼の独壇場だった。抜かれるまでトップを快走中だったシーリーを一気に引き離し、今シーズン初優勝を完璧な展開で挙げた。2位にはそのままシーリーが入り、今シーズン3回目のポディウムをゲット。3位にはジェーソン・アンダーソン(スズキ)が入った。
ラウンド4 オークランドを終えた時点で、ロクスンはDNFとなったトマックからランキングトップを奪ったが、今回のクラッシュでのケガが相当なもので無い限り、トマックは全力で追撃に来るだろう。そしてランキングを2位にアップさせたシーリーも、そのままの勢いでトップを狙ってくるだろう。タイトル争いはこの3ライダーに絞られた感じの250ccウエストシリーズだが、それ以外のライダーがレースを掻き回す事もまだ十分考えられるだけに、今後も目が離せない。次のラウンド、アナハイム3も面白くなりそうだ。
順位 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | ベストタイム | |
1 | 94 | K・ロクスン | Red Bull KTM | KTM | 55.453 | |
2 | 43 | C・シーリー | Troy Lee Design/Lucas Oil/Honda | Honda | 55.988 | |
3 | 21 | J・アンダーソン | Rockstar Suzuki | Suzuki | 56.441 | |
4 | 40 | M・ダバロス | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | 56.611 | |
5 | 32 | M・スチュワート | JDR/J-star/KTM | KTM | 56.349 | |
6 | 176 | J・サバージー | JDR/J-star/KTM | KTM | 57.716 | |
7 | 38 | K・カニンガム | StarRacing | Yamaha | 56.833 | |
8 | 76 | A・ポリテリ | - | Honda | 57.265 | |
9 | 59 | C・クレイグ | Troy Lee Design/Lucas Oil/Honda | Honda | 57.845 | |
10 | 338 | Z・オズボーン | GEICO Honda | Honda | 56.862 | |
11 | 28 | T・ラトレイ | Monster Energy/ProCircuit/Kawasaki | Kawasaki | 57.694 | |
12 | 31 | T・ベイカー | Valli Motorsports Yamaha | Yamaha | 57.958 | |
13 | 36 | J・ネルソン | Troy Lee Design/Lucas Oil/Honda | Honda | 57.661 | |
14 | 98 | C・プルーフェ | - | Honda | 59.168 | |
15 | 992 | J・ラモス | - | Kawasaki | 58.895 | |
16 | 205 | J・カヒア | JDR/J-star/KTM | KTM | 59.220 | |
17 | 948 | K・モーシグ | - | Kawasaki | 1:00.135 | |
18 | 66 | K・ラスク | - | Honda | 1:01.604 | |
19 | 23 | J・カナダ | Motoconcepts Racing/Smartop/JT Racing/FMF | Honda | 57.679 | |
DNF | 1 | E・トマック | GEICO Honda | Honda | 56.022 |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | メーカー | ポイント | |
1 | 94 | K・ロクスン | KTM | 91 | |
2 | 43 | C・シーリー | Honda | 80 | |
3 | 1 | E・トマック | Honda | 76 | |
4 | 338 | Z・オズボーン | Honda | 58 | |
5 | 21 | J・アンダーソン | Suzuki | 52 | |
6 | 38 | K・カニンガム | Yamaha | 49 | |
7 | 40 | M・ダバロス | Kawasaki | 48 | |
8 | 59 | C・クレイグ | Honda | 47 | |
9 | 32 | M・スチュワート | KTM | 45 | |
10 | 28 | T・ラトレイ | Kawasaki | 45 | |
11 | 36 | J・ネルソン | Honda | 38 | |
12 | 176 | J・サバージー | KTM | 38 | |
13 | 35 | R・サイプス | Suzuki | 31 | |
14 | 76 | A・ポリテリ | Honda | 26 | |
15 | 74 | M・アンスティ | Suzuki | 26 | |
16 | 31 | T・ベイカー | Yamaha | 23 | |
17? | 23 | J・カナダ | Honda | 21 | |
18 | 80 | M・リーブ | Honda | 16 | |
19 | 205? | J・カヒア | KTM | 12 | |
20 | 992 | J・ラモス | Kawasaki | 10 |
WEB・GRAPHIC DESIGNER/PHOTOGRAPHER 元プロMXライダー。トランスワールドMX編集部を経て、同社でデザイナーとして勤務。退社後に独立、いわきで バンザイマガジン (FMXフリーマガジン)を立ち上げ、編集長を勤めている。