ドライバーの種類と使い方 その4

掲載日:2011年03月01日 バイク基本整備のイロハ工具の使い方実践    

ドライバーの種類と使い方 その4

バイクでマイナスドライバーを使っている場所といえば、キャブレターやコンタクトポイント周辺など限定された場面に限られていて、出番はもっぱらコジリ仕事という人も少なくないようです。しかしながら工具メーカーのカタログを見ると、マイナスドライバーのバリエーションも結構豊富なんですよ。

マイナスドライバーのサイズは
刃先の幅と厚さで決まる

ボルトやキャップボルト、プラスビスに比べて、出番がずっと少ないのがマイナスビスです。2000年代以降の現代的バイクでは、ほぼ皆無といっても過言ではありません。実作業でマイナスの出番があるのは、配線カプラーのツメを押し下げたり、ピッタリ合わさった部品をこじって引き剥がす作業ばかりという人もいるようです。一方で、日常的に旧車の手入れしていると、マイナスねじは今も現役選手という人もいることでしょう。

 

プラスドライバーと同様に、マイナスだってねじ溝とドライバーの刃先のサイズが合っていないと両者にダメージを与える可能性があります。マイナスねじのトラブルで多いのは、ねじ溝に対して刃先の薄いドライバーを使うことで、溝がグチャグチャになってしまう例です。溝の幅に刃先の幅が合っていても、ドライバーの幅の方が細くても、マイナスのねじ溝がささくれ立って型くずれが起こってしまいます。

 

スイスPB社製のマイナスドライバーは、刃先がテーパーでなく平行に仕上げられているのが特徴(一部精密ドライバーにはテーパー状のものもある)。これがマイナスのネジ溝にフィットするというわけだ。本文にもあるが、「5」とサイズ表記があるものの刃先の幅は8mmで厚さは1.2mm。

スイスPB社製のマイナスドライバーは、刃先がテーパーでなく平行に仕上げられているのが特徴(一部精密ドライバーにはテーパー状のものもある)。これがマイナスのネジ溝にフィットするというわけだ。本文にもあるが、「5」とサイズ表記があるものの刃先の幅は8mmで厚さは1.2mm。

こうなると、次に正しいサイズのドライバーを使っても、溝に合わずに締め緩めに苦労するとともに、やがて使い物にならなくなるという結末が待っています。そうならないために、マイナスドライバーのサイズの見方を覚えておきましょう。

 

プラスドライバーの#1、#2、#3がドライバーのどこかの具体的な寸法を特定するものではないのに対して、マイナスドライバーは「刃先の幅と刃先の厚み」がサイズの要素となります。例えば6.5×1.0というのは、刃先幅が6.5mmで厚みが1mmであることを意味します。これはプラスドライバーより分かりやすい表記のように思えますが、実は工具メーカーによってサイズ表記の方法が異なるという厄介な事実があるのです。

 

たとえばKTCの場合、商品名に刃幅を示す表記が入っているもの(例:樹脂柄ドライバのD1M2-6は刃先幅6mm)もあれば、商品名と刃幅がリンクしないもの(例:木柄ドライバMD-100の刃先幅は6mm)もあります。またスイス製のPBの場合、刃先に4の刻印があると6.5×1.0mm、5の刻印で8.0×1.2mmになっています。で、これを身近にあったドイツ製のスタビレーで見ると、同じ4でも5.5×1.0mm、6.5×1.0mm、10×1.6mmなんてものもあったりします。そうかと思えば日本のストレート社では、ドライバー本体のデザインによらず、刃先幅によるサイズ表記に統一されているようです。

 

こうしてみると、具体的な寸法が出ているにもかかわらずマイナスの方がサイズ表記が煩雑だという事実もあるのですが、いずれにしてもマイナス溝とのマッチングは刃先幅と厚み、いやどちらかといえば厚みが重要になってきます。

 

サイズと同時に、もう一点マイナスドライバーの特徴となるのが、刃先の形状です。一般的にマイナスの刃先は先端に向かって緩やかなテーパー状になっています。これに対して、PBを代表とする一部のメーカーでは、先端部分を平行に仕上げたマイナスドライバーを販売しています。これはテーパー状の先端がねじ溝に対して逃げ方向の力が加わる、プラスドライバーにおけるカムアウト現象を防止するのが狙いとされています。実際、テーパーの刃先はねじ溝の中で線接触、あるいは点接触状態で接していますが、平行な刃先はねじ溝の壁面に当たり、接触面積を多く確保することができるメリットがあります。

 

貫通タイプのマイナスドライバーだと、ついついタガネ代わりに使ってしまうことも多いですが、刃先の寿命を考えればそうした使い方は極力控え、ごくまれにしか出合わないマイナスねじを傷めないように、ジャストフィットのマイナスドライバーを選びたいものです。

 

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