カブ生活

第四十八回「SSTR2017」

掲載日:2017年06月18日 原付漫遊記松本よしえのゆるカブdays    

え・文・写真/松本よしえ

今年も「サンライズ サンセット ツーリングラリー 」(以下SSTR)に参加しました。太陽を追いかけて羽カブで走った一日です!

5月の爽やかな一日、日本全国から能登半島の千里浜を目指すSSTRが開催されました。このラリーは日の出以降に参加者各自が太平洋岸を出発し、日没までに能登半島の千里浜にゴールするというもので、オーガナイザーはバイクで北極点や南極点への到達など、世界的な冒険を成し遂げてきた風間深志さん。

今年は北海道から九州までのライダーが過去最多の2500台もエントリーしたそうです。おそらくツーリングラリーとしては日本一の規模! わたしはカブで3度目の参加になるのですが、この日ばかりはお腹いっぱい走るのを楽しみにしています。毎年、どんなルートを走るかを計画するのも楽しみのひとつ。今回は東京湾岸を出発して国道20号を西へ。諏訪で南下して権兵衛トンネルから木曽街道へ向かい、高山経由で富山を目指し、小矢部、羽咋へと北上するルートを取りました。途中、原付二種では走れない区間(大垂水峠や高山国府バイパス)を迂回して一般道を約473キロ。

道中、出会った参加者さんに「東京からカブで? 時間内にゴールできるんですか」と驚かれることもありますが、「じゃあ千里浜で(再会しましょう)」と互いに励まし合い、元気に手を振って別れます。車種や排気量が違っても目指すゴールは同じ。ゼッケンナンバーを付けた者同士には連帯感も生まれます。刹那の気持ちよい出会いを重ね、緑萌える木曽の峠道を地道にトコトコ上り、山間では思いがけず桜の花吹雪のご褒美もいただきながら走っていきます。日本の春の絵巻物を早回しでたどるような一日でした。

さて、そうしてたどり着いた千里浜のゴールでは、3年目にして初めて黄金色の夕陽を浴びました。潮風を受けて約8キロ続く海岸線を気持ちよく走り(あとで念入りな洗車を忘れずに)、沈みゆく夕陽を眺めながらゴールゲートを潜りました。迎えてくださる地元の方達やボランティアのスタッフさんの笑顔で心がほぐれ、恒例のおむすびや浜汁が乾ききった身体に沁み渡ります。目をつぶれば走ってきた道の景色がくるくると甦り、ゴールで再会した参加者や友人と一日の無事を喜びました。カブで長距離を走る達成感はもちろん、一人で参加してもツーリングラリーを通じてたくさんの人と出会えますよ。

SSTRの一昨年(2015)の様子は「ゆるカブdays」第37回と38回に。昨年(2016)はツーリングマガジン「OutRider」誌の2016年12月号に寄稿させていただいたので、興味のある方はご覧ください。

4時50分 東京ビッグサイト脇から出発。朝日にほんのり染まった東京湾がきれいでした。

(左上)8時30分 立ち寄りどころの「道の駅甲斐大和」(山梨県)に到着(右上)出会う参加者はとびきりの笑顔です。(左下)11時13分 こちらも立ち寄りどころの「ぷらっとパーク辰野」(長野県 辰野PA)。高速道路のPAやSAには一般道から入れるところがあります。(右下)ゴールの千里浜へと続く今浜の「なぎさドライブウエイ」の入り口です。

(左上)18時14分 千里浜で黄金色の夕陽に包まれて。(右上)日没後、花火が上がりました。見上げる人はどんな一日を走ったのでしょう。(左下)翌朝の千里浜。カブの垂れ幕を掲げて記念写真。クロスカブに乗る悦子さんが作った力作です。(右下)今回は千里浜までの道順を暗記して走りました。その感想をアンケートに寄せたところ、印象的なライダーとしてSPECIALAWARDを頂戴しました。誉れです。どうもありがとうございました。

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