掲載日:2023年11月18日 試乗インプレ・レビュー
取材・写真・文/伊井 覚
Surron Light Bee L1e-C
サーロンは2019年に日本上陸を果たし、オフロードバイク好きの間で爆発的に広まった。当時のラインナップはLight Beeシリーズ4車種のみとなっており、簡単にまとめると125ccクラスの公道走行不可モデルがLight Bee X。125ccクラスの公道走行可がLight Bee L1e-C。50ccクラスの公道走行不可がLight Bee S。50ccクラスの公道走行可がLight Bee L1J。モーター出力の差はあれど、基本設計はどれも共通としている。メインとなるエンジン式バイクの他に、このLight Beeを増車して遊びに使うライダーが全国規模で増加中なのである。
Light Bee L1e-Cは125cc相当のモーター出力を搭載しており、原付2種免許で乗ることができる。最高速度は80km/hくらい出すことができ、これも125cc相当と言えるだろう。走り方にもよるが満充電時の走行可能距離は50〜70km程度で、ツーリングには少々厳しいが、通勤や通学など決まった距離の走行には十分使える。また、追加でバッテリーを単品購入することで距離を伸ばすことも可能だ。
バッテリー0%からのフル充電に要する時間はおよそ4時間となっていて、往路で使い切ってしまっても学校や会社で充電しておけば帰りには満タンになっている、という寸法だ。バッテリーは簡単に取り外して屋内で充電することができる。
また電動バイクの良いところは音がほとんどせず、排気ガスも出ない点。早朝の出発や深夜の帰宅で近所迷惑になることもないし、自宅の庭やスペースさえあれば屋内でも乗ることができる。実際、日本国内にも屋内でこのLight Beeに乗って遊ぶことのできる施設がいくつか存在しているのだ。
電動バイクとエンジンバイクの大きな違いは、その出力の出方である。簡単に言ってしまえば、加速が驚くほど速い。最大出力は6KWとスペックだけ見ると少々物足りなく感じるが、最大トルクは250N・mと電動ならではの数値を誇っており、車両総重量59kgという軽さも合わさって、ゼロスタートでは同クラスのエンジンバイクにはまず負けないだろう。
シフトチェンジ不要のオートマだから信号待ちでストレスを感じることもないし、その軽さゆえ転倒時の故障や怪我のリスクも少ない。まるで自転車感覚で気軽に乗り回せるのが、最大の魅力と言える。ライディングモードはスポーツモードとエコモードを搭載しており、快適なワインディングではスポーツモードで走りを楽しみ、都市部ではエコモードで電力消費を抑えて移動することができる。
さらに前後ブレーキ連動のCBS(コンビブレーキシステム)を備えており、前後ブレーキが連動するため左手ブレーキの操作に慣れないライダーでも安全に乗ることが可能なのである。おまけに4輪の電動車と同じで回生ブレーキを搭載しており、エンジンブレーキ時に運動エネルギーを電力に変換することもできる。
通常のオフロードバイクを積載できるトランポを持つのは敷居が高く感じられるが、Light Beeはサイズも小さく、さらにオイルを用いないことから横に倒して積載することもできるため、少し大きめの乗用車やミニバンなどにも気軽に積むことができる。そのため車に積んでワインディングや林道に移動し、Light Beeでバイク遊びを楽しんでから、また車に積んで帰宅する、といったMTBのような遊び方もできてしまうのだ。
とにかく軽量でコンパクトなため、体を思いっきり動かしてアグレッシブな走りができるし、自然とそういう乗り方になってしまう。それでいて車体はかなりしっかりしているため、限界までスピードを出しても破綻することはない。オフロードコースに持ち込んでも面白いし、一般道でもスポーツ走行の楽しさを気軽に感じることができる。
クラッチレバーを操作してのシフトチェンジや、右足でのリアブレーキ操作など、初心者が最初にぶつかる壁が取り払われており、スクーターしか乗ったことのない人でも気軽にオフロードバイク遊びができてしまう、Light Beeは最強のファンライドマシンと言えるだろう。