掲載日:2012年03月21日 バイク購入ガイド 件のユーザーレビュー
文/田宮 徹
スウェーデン生まれのハスクバーナは、1986年にイタリアのカジバ社、2007年にドイツのBMW社の傘下となって以降も、オフロードシーンやモタードシーンをメインに活躍してきた。このSMR250は、そんなハスクのレーサーレプリカ系モタードシリーズに属する1台。保安部品を装着し、公道走行も可能だが、コンペティティブな雰囲気を全身にまとっている。
2010年型から採用している、単体重量がわずか22kgしかないことからX-Lightと名付けられたエンジンは、排気量249ccの水冷DOHC4バルブ単気筒。ショートストロークの高回転高出力型で、燃料供給にはF.I.をチョイスしている。始動はセルスターターでもキックペダルでも可能。これと組み合わさる6速トランスミッションは、トップギアがオーバードライブ的なギアレシオとなっていて、ストリートユースでのストレスを緩和してくれる。また2011年型では、燃料タンク容量が以前よりも2L増の8.5Lとなり、公道でより使いやすい仕様となった。軽快な操作が可能な油圧式クラッチを標準装備している点も見逃せない。このエンジンを搭載するのは、クロモリ素材を使ったスチールフレーム。近年、スポーツ性を重視したオフロードモデルやこれをベースとしたモタードモデルのメインフレームは、アルミ化されることが多いが、ハスクは一貫してスチール製にこだわっている。これは、剛性だけでなく適度なしなやかさを重視しているため。最新型では、ステップまわりの剛性を高め、シャープでダイレクト感のある操縦性をさらに高めている。前後の足まわりは、マルゾッキ製の倒立式フロントフォークと、ザックス製のフルアジャスタブル式モノショックの組み合わせ。また前ブレーキには、320mmの大径ディスクと、ブレンボ製のラジアルマウント式4ポットキャリパーを採用している。
最高出力や最大トルク、車両重量については未発表となっているが、エンデューロモデルのTE250をベースとしていることを考えれば、その高いエンジン性能や車体の軽さについては、容易に想像がつくだろう。ちなみに少なくとも2011年型SMR250に関しては、日本のレースを統括するMFJの公認車両にもなっている。ストック状態で高い戦闘力を誇るSMR250なら、保安部品を外し、多少の加工を施すことで、すぐにレース参戦できる。そして、たとえレースにはまったく興味がなくても、そんなハイスペックマシンを公道で乗れるということに、多くのスポーツライディング派がワクワクするはずだ。