掲載日:2015年03月30日 試乗インプレ・レビュー
取材・写真・文/野岸“ねぎ”泰之
前後のタイヤは14インチと大径のものを採用しているが、実車のサイズ感は意外とコンパクトだ。シート高は前モデルに比べて5mm低くした750mmで、フロアの後端を若干狭めることにより足着き性を高めている。また、最低地上高は前モデルよりも10mmアップの130mmとして、駐輪時の段差の乗り越えなどもしやすいよう改善されている。
セルによるエンジン始動はACGスターターの採用でとても静かだ。アクセルを開けると、あくまでジェントルなエンジン音ながら、スルスルっとスムーズかつ力強い加速を見せ、あっという間に法定速度に達する。後にクローズドな環境で思い切り加速してみたところ、80km/h付近まで一気にスピードに乗るのが確認できた。前モデルに見られたような中速域でのちょっとしたもたつきは見事に改善され、ストレスなく加速していく様子は125ccクラスにも引けを取らない素晴らしいもので、名前こそ同じDio110だが、全く別のモデルに生まれ変わったといってもいいだろう。
この伸びやかなエンジンに加え、フロントに備えた190mm径のディスクブレーキと安心感のあるコンビブレーキ、走破性の高い14インチのタイヤを備えているため、路面のうねりやギャップで不安がないのはもちろん、急停止する車両をサッとかわして再加速する際など、混雑する都市部での機動力も抜群。通勤・通学などで毎日乗っても疲れは少なく、むしろ爽快に走れるはずだ。さらに、信号待ちでスッと止まり、ちょっとアクセルをひねると絶妙なタイミングで再始動するアイドリングストップ機構を備えたエンジンのおかげで燃費もいいとなると、日常の足として非常に優秀なマシンと断言できる。同じホンダでもPCXのような豪華さはないが、コストパフォーマンスの高さと俊敏な走りの両立を求めているユーザーには、文句なしにお勧めできるマシンといえるだろう。