【カスタムアーカイブ】スクーターブームを支えたフォルツァ用人気エアロ

現在はホンダドリーム八王子として活躍する
老舗店が製作したフォルツァのエアロカスタム

ブームが最盛期を迎えた頃は、バイクメーカーだけではなく、様々なバイク販売店やパーツショップ、さらには４輪パーツメーカーまでもがこのビッグスクーターカスタムというジャンルに参入していた。その中で、東京都八王子市に店舗を構え、現在はホンダドリーム八王子として活躍している旧店名バイト（BITE）も、そのブームを第一線で支えていたプロショップだ。ホンダ系ディーラーということで、各シリーズのフォルツァ、フュージョンでのカスタムを得意とし、さらには自社オリジナルエアロなども販売。特にMF08用フォルツァのエアロは大ヒット。老舗正規ディーラーとして、瞬く間に当時のカスタム戦線の中で、自らの立ち位置を確立していったのだ。

バイトから発売されていたエアロは、ヘッドライトやテールランプといった灯火類を隠さらない正統派なデザインが特徴だった。過激な方向性を求めるユーザーに合わせて、エアロメーカーなどのオリジナルパーツは、ヘッドライトの表情をいかに工夫するかがポイントだった。しかし、バイトは正規ディーラーとしての誇りを忘れず、純正の灯火類はそのまま活かすデザインで、さらに商品としてヒットしたというのが注目すべき理由なのだ。車両作りにおいても、今回のシンプルなラグジュアリースタイルから、ハデ系まで幅広いスタイルを手掛けてきた。絶妙なパーツチョイスや雰囲気作りにバイトらしいセンスが溢れ、そこにたくさんのユーザーが憧れたのだった。残念ながら当時のエアロを新製品として購入することができないのは、このバイトも同様。しかし、ひとつの時代を作り上げたエアロデザインは、いつまでも色褪せない美しさが溢れている。

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通称バイトフェイスとも呼ばれたフロントマスク。鼻筋がしっかりと通ったデザインにより、横側から見たボリューム感が増し、フォルツァらしさを引き立たせていた。チョップタイプではないためメーターもそのまま使用可。さらに、ご覧の通りヘッドライトも純正デザインをそのまま取り入れているのが大きな特徴だった。またサイドカウルも同様、純正ウインカーをそのまま使え、さらに存在感を強調するスタイルがポイント。

エナメルシートも純正デザインを尊重し、ラグジュアリー感を増したデザインで完成させている。リアスポイラーもバイト製で、存在感を主張しつつも張り出し過ぎない絶妙なデザインが秀逸。タンデムシートとの一体感なども含めて、フォルツァを知り尽くした正規ディーラーならではの造り込みだ。

装着された３つのメーターは、無限アシストメーターと呼ばれるもので４輪用を流用。水温、油温、油圧の表示が可能で、走行中のピーク値を表示したり、任意ハンドル回りは当時らしいシンプルな構成に。ハンドルバーブレース、立ち上がりを低く抑えたデイトナ製ミラー、そしてELメーターなど、当時の人気パーツを選択している。このように純正メーターをそのまま使えることが、このバイトフェイスが人気の理由のひとつでもあった。

これも当時大人気だったホットラップ製ガンフィンガーマフラー。極太でショートなサイレンサー、さり気ない取り付け角度、そして高級感溢れるステンレスフィニッシュと、ユーザーの心を理解したマフラーメーカーが製作した歴史に残る逸品だ。