掲載日:2022年05月27日 プロが造るカスタム
取材協力/TOP MOST
取材・写真・文/ガスグラフィックス
カスタムアーカイブとして紹介するために、膨大な量のカスタム車両の懐かしの写真を眺めていて、ふと忘れていたことがあったことに気付いた。それは、エアサス、フレーム加工によるロングホイールベース&着地ローダウン加工がハードカスタムの最前線だった時代は、まだフロントフェイススワップが一般的ではなかった、ということだ。当時の状況を知っているユーザーにしてみれば、そんなことは当たり前のこと。何を今さらと言われるかもしれないが、それぐらい現在のトップレベルを目指すスクーターユーザーの多くは、フロントフェイススワップか、オリジナルデザインを追求して大がかりな加工を施しているのが一般的なのだ。
今回紹介するこのキャンディオレンジのマジェスティCは、トップモストが2009年当時に製作した車両になる。ロングホイールベース化による、超がつくほど定番のロー&ロングスタイルであることは、誰の目にも明らか。しかし、このマジェスティCの純正デザインをそのまま残し、フロントチョップフェイスとサイドエアロを纏うだけで生まれたこの顔回りの表情。そして、長さを求めたフレーム加工の答えとして後端に突出したサブフレームの存在などに、いい意味での時代性を感じる。
トップモストは、当時から様々なアイデアを駆使して、完成度の高い車両を1台1台丁寧に作り上げてきた。ありきたりの結果を求めることなく常に挑戦し続けることは、試行錯誤の連続だったであろう。ブームから今に至るまで走り続け、誰もが記憶に残る車両を何台も生み出したその功績は、間違いなく永遠に語り継がれるはずだ。